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春雨日和。【日記】

雨の日は息をしやすい。
スギ花粉もさすがに勢いがなく、
窓を大きく開いて部屋の空気を入れ替えられる。
この際、湿気が入り込むことなど考えない。
換気大事!
雨の匂いが部屋を通り抜けてゆく。
雨だからといって
悪いことばかりじゃないことは知っている。
雨の日に買い物に行けばお店は空いているし、
街中の人々の傘の趣味もわかる。

靴下が濡れることと
髪が湿気で膨らむことと
傘という荷物が増えることと
スカートの裾に泥ハネすることと
布製のバッグが雨を吸い込むことと
世界がなんとなくグレーな色合いに染まること

を除けば
たくさんの良いところが発見できるはずなのだ。


そんなわけで、
傘をさして散歩に出ることにした。
三月も半ばに差しかかろうとしているのに、
未だに厚手のコートが手放せない。
軽くて明るい服を着て歩きたい気持ちが、
おあずけを喰った犬のように
私の中でじっと待っている。
ああ早く本気の春になれば。


春先の雨の匂いは、
私の部屋だけじゃなく
そこらじゅうに満ちていた。
いつもマスクをして歩いていたから
気づかなかったのだ。
緑のもの達の匂いが混じっているからなのか、
冬の雨の匂いより甘さが感じられる。
雨に打たれながら、
植物はきっと考え事をしている。
次はいつ芽を出そうかな。



植物たちを見習って、
私も晴れたらしたいことを考える。
太陽のひかり降り注ぐなか、
光合成できる瞬間の訪れを心待ちにする。
やらなければいけないことと、
やりたいのにできないでいることに
心が割かれているけれど、
それらひとつひとつに印をつけるように
順番に咲かせていったら、
自分のなかで何かが変わるだろう。
雨の日は
それをどうやって進めていくのかを
考える時間を与えられたのだと思おう。

雨日和の今日は、
そんなことを思いながら過ごしている。
散歩先で買った手帳に
思いのままに書き込んでいる。


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