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旅の成果のご報告

無事に旅を終えました。

最高の旅になりました。


せっかくなのでその成果をお伝えします。

旅の余韻と共に、これだけはお伝えしたいと思う出来事を旅行記のような形にまとめました。


時系列でお届けする熱の籠った約4500字。

読むために10分ほど必要なので、読みやすいように『節』で区切っておきました。


過去と未来を繋ぐお話であり、僕の感覚を共有するためのお話。

一つの読み物として是非ご覧ください。



1. 第一節 : 過去と現在

この旅では僕が大切にしている場所を訪れました。

それは25歳で会社を辞めた後、日本一周の旅の道中で見つけた場所。


当時の旅の目的は写真の腕を磨くため。

そして本当に写真家を志す覚悟があるのかを見極めるため。


自分の意志を貫き通すことができるか。

全てを捨てて挑戦し続けることができるか。


克明に記された日記には毎日のように不安の言葉が並び、それらを打ち消すように自分を奮い立たせる言葉たちが溢れていました。


今にして思えば

写真の腕を磨くことよりも

何をどうしていいかわからない

教えてくれる人もいない

それでも写真で生きていきたい

その覚悟を決めるための旅だったように思います。


そして7年の時を経て、今回の旅を迎えました。

出発前にお伝えした通り、今回は人生の微調整が目的でした。


実家へ立ち寄ってから一気に高知まで。

大好きな桂浜を何度も訪れて、大きな海をひたすら眺めて、過去を整理することから始めました。

その後も前回の旅で訪れた大切な街。

銀行員時代に住んでいた街。

旧友が長く住む街。

電車やバスに乗って、時間をかけてまわってきました。


2. 第二節 : 不思議な体験

その道中。何度か不思議な体験をしました。

尾道で一度、長崎で一度。

霊感のない僕が感じた全身に鳥肌が立つ感覚。

うまく言語化できませんが、何かに生かされているような、導かれているような。

そんな気持ちになりました。


不思議な体験がもう一つ。

僕が大切にしている歴史を追ったその先に、日本で最初の写真師であり、日本で最初に写真館を開いた上野彦馬という方の存在に辿り着きました。

7年前に同じ場所を訪れた際、隅から隅まで見たつもりが見逃していた情報。

一通り勉強したはずの写真史。

その中でも最高位に重要な情報。


「写真を撮られると魂を抜かれる」


そう恐れられていた時代に負けず、自分の意志を貫き通した偉大な方。


スペインへ渡ったこと。

そこで写真に出会ったこと。

本当に写真家になってしまったこと。

社会情勢で一時的に海外撮影を断念したこと。

改めて国内を旅したこと。

日本に写真を持ち込んだ人物の存在を知ったこと。


それぞれの出来事があらかじめ決まっていたのかもしれないと感じました。


自分の意志でここまで来たのか、何かに導かれてここまで来たのか。


後ほどお伝えする僕の特性を含めて、今の僕が今の僕であることは必然だったのかなと感じました。


そして記憶から抜け落ちた重要な情報がこのタイミングで繋がったのはきっと偶然ではない。


時代に負けることなく自分の意志を貫く


その大切さを再確認するため。


そう感じました。



その後も友人に会ったり、素敵な出会いがあったり、旅らしい旅をしながら最終目的地である萩へ。

7年前に唯一訪問できなかった街。

歴史深いこの街を歩きながら、自分の人生としっかり向き合いました。


この命は何のためにあるのか。


ただ生きるのではなく、何のために生きるのか。


なぜこの歳まで結婚せず


なぜ世の中の人が楽しいと思うことを諦めて


何故に自分が持つ全ての時間を写真に捧げたのか。


有名になりたいとか、お金持ちになりたいとか、そんな薄っぺらいことではない。


それらは志を果たすための手段でしかない。


もっと大切なのは


命を燃やして生きていくこと


そう感じました。



死ぬ瞬間に自分が生きたその轍を誇れるか


自分が死んだ時にどれだけの人が泣いてくれるのか


次世代にその生き様を届けることができるか


20代後半で理解していたはずのこんな考え方を改めて感じることができました。


3. 第三節 : 覚悟

こうして繋がった過去と現在。

そして辿り着いた一つの結論。

それは今回も覚悟を決めるための旅であったこと。


何もなかった7年前の覚悟とはまた違う。

自分の理想に真っ向勝負する覚悟。


これまでも全力で駆け抜けてきました。

歩んだ道に一つの後悔もありません。

今、この文章を読んでくださるみなさんに出会えたのはこれまでの僕があったから、そしてそんな僕を見つけて頂いたからです。


ただ、この数年は前例のない挑戦をためらっていたように思います。


僕も32歳。

生き急ぐわけではないですが、感覚でこの8年。もっと言えばこの5年。さらに言えばこの3年でその先の人生が決まってしまうような気がしています。

気力も体力も今が一番充実している。

上の世代の方々にも下の世代の子達にも背中を押してもらえる。

今、この毎日こそ勝負の時だと感じています。


写真を始めた頃のように。

必死で、無様で、ただ夢だけを追っていたあの頃のように。

何をやっても失敗をして、その度に悔しい想いをして。

夢中という言葉さながら、不安と、恐れと、自分と戦い続けた胸躍る日々。


ステージが変わり、二度と同じ気持ちを味わうことはできません。

それでも簡単な道を選ばず

まだ誰も達成してないことに挑戦する姿勢が

あの頃のような日々に少しでも近づくための鍵だと感じました。


4. 第四節 : 未来

この先僕がやっていくことは以前からみなさんにお伝えしている通りです。


写真家が自前のギャラリーを保有する


この目で見たあの美しい世界を実現する。

箱を作るだけ、小さい写真を額装して飾るだけなら誰でもできます。

そうではない。

作品も照明も音楽も、そこに立つ人間まで全てがパーフェクトな空間。


写真という作品をじっくり楽しめる場所。

来てくれた人たちが心から感動できる場所。

次は自分の番だと思ってもらう場所。


そこに辿り着くことを焦ってみたり、ためらってみたりしていましたが、ようやく覚悟ができました。

日本の芸術への価値観を変える戦いになるのでそれなりの時間が必要になります。

だからこそやり甲斐があるのだろうし、だからこそやる価値があるのだと思っています。


自分の志を大切にしながら

できることからやっていって

自分という人間をさらに磨きながら

足りない部分を補ってくれる仲間を見つけて

その過程も楽しみながら

少しずつ前に進んでいく

そうして気が付けばギャラリーができているという結論です。


ただの写真ではない現代アートとしての写真が日本にも根付くような活動。

風景写真の価値がさらに上がるような活動。

今よりもう少し速度を上げて取り組んでいきたいと思います。


5. 第五節 : 旅の土産

このような流れで旅の目的を果たしました。

そしてこの旅には大きなお土産がありました。

それが萩で得た2人の方との出会いです。


まずは人生をかけて陶芸を極める方と、その方を支える素敵な奥様

お会いしたのは2度。過ごした時間は全部で6時間もありません。

それでも、未来に繋がる経験を頂きました。


何か一つのことを50年以上継続する。


その意味を。

その重みを。

その難しさを。


この目で見て、この耳で聞いて、この肌でしっかりと感じてきました。

創られた作品のエネルギーに圧倒され、その方自身の美しさに憧れました。


ただ継続するだけではない


その上に何を乗せられるか


その先に唯一無二がある


そう感じました。



まだまだ成長できる。


別れの後の帰り道、そんな喜びを噛み締めました。




大切な出会いがもう一つ。


僕より先輩で、違う分野で活躍されていて、僕と似たような生き方で、『今』この時を輝いている方。


素敵な人だな。

なんだか波長が合っているな。

生き方が類似しているのはただの偶然だろうか。


そう感じながら数日を過ごし、萩に何かを感じて延泊をして、迎えた最後の夜。



この方の口からある言葉が出ました。



相手のある話なので詳しくはお伝えできませんが、それは僕が生まれ持った特性とその方の特性が一致した瞬間でした。


それは永らく僕を苦しめてきた特性であり


写真家にとって何よりも大切な特性です。


波長が合う理由も、同じような生き方をしている理由も、全てが繋がりました。


心地よくて、懐かしくて、遠く離れた地に自分と同じ境遇の人がいる。


自分のやりたいことをしっかり実現して、まだ先を見ている人がいる。


僕が探し求めていた本当の仲間を見つけた気がしました。


この先の人生で必ず関わることを確信できる出会いでした。


萩という地も、この出会いも、この記憶も、大切にしたいと思います。


6. 第六節 : 志

最後に。

およそ半年をかけて自分と向き合った前回の旅とは比較になりませんが、今の僕にとっては十分な3週間でした。


知識もある。

技術もある。

経験もある。


写真を撮るための装備も。

届けたいことを届けるための場所も。


成長したいと思う気持ちも。

そのための手段とそのための余白も。


慕ってくれる人たちも。

助けてくれる仲間たちも。


目指すべき先人も。

新しく出会った仲間も。


そして

これから応援してみようという人たちがいてくれる。

昔から変わらずに応援してくれる人たちがいてくれる。


これだけ揃っていて実現できないはずがないと心がそう言っています。

過去の経験上、自分が確信できたことについては全て実現してきました。

形は違えど、タイミングは違えど、その都度願いを叶えてきました。

だからきっと今回もできるはずです。



本格的に写真を始めて7年。

この世界ではまだまだルーキーです。

知らないこともたくさんあります。

それでも思うことがあります。


もっと立派な写真家になって、『写真』の価値を高めたい。

これまでのような撮って終わりの世界ではなく。

頑張って展示しておめでとうで終わる世界でもなく。

業界の人たちだけでぐるぐる回るような閉鎖的な世界を脱却して

誰もが写真の真価を楽しめる世界が来るように。


人との距離感が分からない。

社会に適合できない。

みんなが楽しいと思うことを楽しめない。


自分はなぜ生まれたのか。

なんのために生きているのか。

そんな問いを抱えて生きる子供たちに


「自分の感情を思いっきり表現していいんだ」


そう伝えてあげたい。


『カメラマン』ではなく『写真家』が当たり前に生きる未来を。


「将来の夢は写真家」だと胸を張る子供たちが出てくるような未来を創りたいと思います。



そのためにはごちゃごちゃ言わずに僕がその道を切り拓くしかありません。


自由な表現こそが正義の写真


その写真をどこまで楽しめるか。


そして誰よりも写真を楽しんだその先に。


さっきお伝えしたような未来が待っていればいいなと思っています。


7. 第七節 : まとめ

以上が旅のまとめです。

色々書きましたが、何かが大きく変わることはありません。

ただ少し軌道修正をして、いくつか新しいことにも挑戦してみようと思います。


全ては目指すべき未来に到達するため。

大きな目標を達成するため。


これまで通り丁寧に。

これまで通り少しずつ。

これまで通り感謝の気持ちを忘れることなく。


自分が大切にしている人たちと


応援して頂けるみなさんに


「この人を信じてよかった」


そう言ってもらえるような生き様を示していきたいと思います。




大変に長い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。

以上、旅のご報告でした。

これからもよろしくお願いします。


2021.03.03

いつもありがとうございます。いただいたサポートは全額、写真家としての活動に充て、作品制作や個展開催という形でお返し致します。ご賛同いただける方はサポートをお願いします。