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魅力的な“人”の力が、食を通じて感動体験を提供する。みんながうれしい食の循環を創り出す「コミュニティーデザインの考え方」とは

こんにちは、SUZU GROUP代表取締役、オーナーシェフの鈴木 将です。ここでは僕たちの事業に少し踏み込んだ話や、これまで実施してきた(これからしていく)繋がりや場のデザインについてご紹介できたらと考えています。

早速ですが、SUZU GROUPの事業には「コミュニティデザイン」という言葉があります。コミュニティデザインは、私たちが掲げる「みんながうれしい食の循環」を創り出すために必要な要素と考えています。
(ちなみにTHE SUZUTIMESの『マガジン』では、その6要素に分けて記事をアーカイブしています。他の5つについても、ぜひご覧ください!)

記事を作るにあたり、なぜ「コミュニティデザイン」という考え方にたどりついたのかを考えました。
そのきっかけとなったのは、地域の食と向き合い、地域の様々な課題と対峙する上で、”地域コミュニティ”や“信頼関係”といった、お金以上に大切な繋がりを作ることが最も重要なことであると、身を持って実感した経験でした。

店舗の運営や、その他のイベントを企画・運営してきた中で、人と人が繋がる場を作ることについてさまざまな気づきがあります。
コミュニティデザインという考え方を通して、私たちの想いや、そんな気づきを伝えていきたいと思います。


1、コミュニティデザインのはじまり

僕のコミュニティデザインの始まりは、父がやっていた大衆酒場のカウンター席での風景。そこには「昭和の良き時代の酒文化」というコミニュティがありました。
店主もお客様も立場関係なく、笑い、楽しみ、時には怒り、悲しみ・・・そんな人情的な文化が、僕が幼少期に見ていた世界でした。

先代の鈴木 千秋(父)と恵美子(母)

美食の街として世界的に知られているスペインでは、バル文化やスローフードなどから始まる食を楽しむ文化が根付いており、そのスタイルが注目されています。
スペイン・サンセバスチャンのバル街を体験しにいった時、僕はどこか懐かしい不思議な感覚を覚えました。それは僕が幼少期に見てきた、昭和の良き酒文化とそっくりな風景だったのです。
そこで僕は、食を楽しむボーダレスな楽しむ場が日本にもあったということに気がづいたのです。

サンセバスチャンの様子

ガストロノミーや美食といったレストランのようなサービスもありだし、雑多でめちゃくちゃなんだけどもなんだか楽しくなっちゃう雰囲気だってあり。
コミュニティや場づくりの中では、何を伝えるか・何を感じてほしいのかの答えは多様にあること気づき、コミュニティデザインの重要性に目を向けるようになりました。

2、農家さんとの繋がり

SUZU GROUPの特徴の一つに、農家さんから直接仕入れる『直取引』が多いということがあります。
今でこそ、新潟県内では会社や活動の認知がだいぶ広まっていて、農家さんが喜んでくれたり活動を知っていてもらえることで取引がスムーズに進んだりすることもありますが、当初は何度も農家さんの畑に足を運び、まずは信頼関係を築くことからの作業でした。

当時は農家さんから直接取引をするという考え方があまりなく、実例もなかった時代。農家さんと飲食店との間に市場があり、その間の中で循環するのが一般的でした。
しかし、海外からの輸入品、冷凍食品、ディスカウントスーパーなどが出てきたことにより、市場中心での流通が力をなくし、地場食材の流通が縮小してきたタイミングでした。
そんな背景もあり、農家さんと直接のやりとりは必然ではあったものの、“市場”という大きな買い手に対して、1つの飲食店が使う程度なんかは、その100分1もない程度。その上、農家さんと直接やりとりする状態を創るなんてことは、売買関係以上に信頼関係が必要です。そしてそれは、まず農家さんの考え方や想いを聞き、それを理解したうえで初めてできるものだと考えています。

長い間お世話になっている魚沼の農家さん、八木さん。

農家さんはその土地に根付きその土地と一緒に農作物を作ってくれています。そしてそれらのほとんどは生鮮品なので、賞味期限は2〜3日。そんな中で農業を営んでいます。
そういった、相手のもつ背景を知ることや相手の立場に立った視点が重要です。コミュニティデザインの始まりは『その人の立場をとること』から始まります。

3、飲食店や食におけるコミュニティ

飲食店とは、その名の通り飲食をするお店を指しますが、あらゆるものが多様化された現代では、飲食店に求めることやその意味合いも多様化してきていると感じます。「食事をする場所」という意味で見ると、今やコンビニもスーパーマーケットも飲食店のジャンルに入ることも。山奥にある1軒のレストランからどこにでもあるようなチェーン店まで、その全てが飲食店です。
そんな中にある「飲食店」の立場から、コミュニティデザインの重要性についてお話ししていきます。

農家さんのお力を借りて開催したイベントの様子

SUZU GROUPは、飲食店や食を通じて豊かな地域循環を作ろうとしている会社です。
単に食事をするだけでなく、食すことで何かを感じ、その土地の豊かさを感じてもらいたい。そのために何が重要かと考えに考え・・・『食を通じて感動体験を提供する』という考えに辿り着きました。
これは多種多様な現代の飲食店の中で、飲食店の特徴を最大限に活用した取り組みであり、魅力的な“人”の力が必要なことです。飲食店という場が食を楽しむ場であり、楽しみながら美味しさとともに“何か”を伝える場所になることで、今までにない大きな付加価値がつく。
これが飲食店におけるコミュニティデザインの重要なポイントです。

4、目的、エンターテイメント、学びの要素

コミュニティデザインの中で重要なことは、目的とエンターテイメントと学びの要素です。何を伝えたいか、それをどのようにして楽しく魅力的に感じてもらいたいか。

エンターテイメントとは、“楽しむ”や“興味をそそる”など、様々な要素が重なりあってゲストが主体的に学びの要素を組み込んでいくものだと考えます。
何かを伝える為には、教育のようなインプットだけでない、楽しみながら学ぶエンターテイメントのようなコミュニティや、場のデザインが重要だと考えています。

TABI BARにて、“日本酒観光案内”をしている様子

現代社会にとって必要なコミュニケーションツールはこの中に隠れている。そして、それは人から創られるものだと思います。AIやNFT、メタバースなど様々な新しい体験やサービスが次々と生まれてくる中で、リアルコミュニケーションとしての人と人の可能性を高めていくこと。それが現代社会にも必要で、今後求められることだと思っています。

5、「食」を「体験」することの可能性

食というジャンルの可能性を考えた時、『その土地でしか味わうことができない体験』であることが一番に思い浮かびました。
その土地の魅力を活かしたビジネスを発展させることは、地域循環・伝統継承・観光産業にとっても重要な役割を持っています。
地域の食を美味しく提供するだけでなく、その土地の魅力を再編集して伝える場を創ることが、僕の考えるコミュニティデザインです。

HAKKO HOUSEでの様子

僕たちのフィールドである新潟の場合、新潟の高級食材を楽しむだけではなく、その高級食材がどのような背景で育ったのか、なぜ高級食材であるのか、というストーリーを伝えながらお食事を楽しむことで、「美味しかった」だけでなく、その土地の文化や背景を感じながらの食事に変わります。
例えば、日本酒の魅力を伝える為に、メニューブックの説明や商品名だけでなく、蔵人やその地域内の人と交流をしたり、地域内の新潟の酒を飲み交わす酒文化を体験してもらったりすることで、観光客にとってはスペシャルな体験となるはずです。
そういった動きを、飲食店が地域を巻き込んで行うこと。このような取り組みは、今後各方面で必要なものになっていくはずです。

6、地域にとってを考える

地域内のコミュニティーの価値と、観光や商業などのビジネスと。その全体を俯瞰的に見て、それを編集して形にしていく『地域プレイヤー』が必要です。

日本には長い歴史と文化があり、その土地ごとに素晴らしいものがたくさんあります。その魅力を伝えていくために、多様化された情報化社会の中で『コミュニティデザイン』の考え方が地域の魅力をさらに高めるきっかけになると思います。


これらが、僕が定義するコミニュティデザインの考え方です。今後はSUZU GROUPで実施しているイベントや実際の取り組みの様子をご紹介していく予定です。ここでの共有が、さまざまな地域の魅力を届ける、何かを実践するきっかけとなれば嬉しいです。

鈴木 将

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