【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑩完結】現在
…
走馬灯かと思うほど、過去の事を思い出していた。
16時を過ぎている事に気づき、我に返って本屋を少し徘徊する。
そこにはいろんな人の、たくさんの想い、思想が詰まった本の束。
それはいたるところに積まれていたり、きっちり棚に並んでいたり、堂々と飾られていたり。
その風景を見ていると、不思議と心が和らいでいくのを感じた。
それぞれの世界がこんなにたくさんある中で、私のこの変な世界はとても小さくてちっぽけで、大袈裟に悩む必要なんてないなと感じてくる。
むしろ少し愛おしいくらい。
普通じゃないおかげで分かることだってたくさんある。
痛み、悲しみ、憎しみ、虚しさ、孤独感、どうにもならない事、どうしようもない事…。
今は普通じゃない事を誇りに思う。
なぜなら、必要としている人に、大変だね、つらかったね、と言えるから。
この少し変わった小さい世界を大事に育んでいきたい。
そんな事を考えながら、あらかじめ買おうと決めていた雑誌と、表紙の爽やかな青い挿絵が気に入った本を手に取ってレジに並ぶ。
そして、ふとスマホを開くと、『帰るよー』と夫からメール。
私も早く帰って、お味噌汁を作ろう。
今日は納豆ご飯の日。
(おわり)
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