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【ビジネス考察】何が正解なのか、ますますわからない

入社して2~3年後のことでした。万札を握りしめた僕は前から目を付けていた新宿の時計屋にいました。


独身貴族にものを言わせ、そこで念願だったオメガのスピードマスターを買いました。文字盤が白い、拘りの一品でした。

まだ、ネットで高価なものを買う習慣の無かった時代。10年以上も前の話。


■時計とは・・・。

拘りの一品を腕に巻き、大満足だった僕だが一方で、あこがれの先輩がつけているロレックスのデイトナが欲しかった。

価格は倍以上。


そうこうしているうちに、サッカーのアディショナルタイムのスポンサーがHUBLOTになりました。残り時間を示すボードが妙にごつくなったあの瞬間、僕はHUBLOTのビッグバンが欲しかった。

最低でも300万は下らない代物です。


時計とは、時を知らせる道具。 +ステイタス

当時の僕にとって、直径の大きな時計は、僕を動かすガソリンのひとつでした。


そう、あいつが登場するまでは・・・。


■時計とは・・・。その2

2015年 アップルウォッチが市場デビューしました。

スマートデバイスがウェアラブルになる。それが売りだった新ガジェットは、出足が今一つでした。

まだ市場が熟していなかったせいもありました。5年たった今では少しずつできることが増え、徐々に浸透してきています。

が、そんな彼(アップルウォッチ)は、すでに5年前に大きな概念を変えていたのです。


高級か、それ以外か。の括りしかなかったビジネスマンの腕時計の世界に、「スタイリッシュな実用性」という新しい立ち位置を確立しました。

ステイタスを自らアピールしていない分、彼はとてもスマートでまぶしかった。


時計とは、時を知らせる道具。 +スタイリッシュな実用性

数万で手に入るこのガジェットは、存在そのものより、それで何ができるかを追求しており、そのスタンスもまたスマートでした。


■価値観のほとんどは幻想

アップルウォッチが登場したからと言って、時計に相変わらずステイタスを求めることは何ら問題ないし、

もっと言えばアイドルが好き、骨董品が好き、犬が好き、石が好き、草が好き、もはやその人が良いと思えば、なんだってそれ以外の人には理解できないほどの投資をするわけで、価値観というものは人それぞれです。


ただ、その代表格というか少なくともそこ(時計)に価値を感じていた私にとって、アップルウォッチの概念のすり替えは、例えば合気道のおじいちゃんが屈強な男の手首をひねってひっくり返しちゃうような。、そんな鮮やかさすら感じました。

で、

結局モノの価値観って何なんだろうな?と思ったとき、そのほとんどが幻想では無いか、と妙に勘繰るようになりました。

例えば、会社


優秀な人は、いい大学を出て、大きな会社に入って、課長を目指し、部長を目指します。

あいつにもこいつにも負けたくない。誰もが知っている会社に入るんだ。入ったら同期でオレが一番に昇進するんだ。

それが価値観でした。

言葉にしないまでも、予定調和的に僕たちはいい大学と大手を目指していました。


それが、アップルウォッチが、「え、300万とかホントに言ってる?数万でも全然価値あるよ。何ならこっちのほうが色々できるし」とか言うもんだから、

僕らは、会社と仕事に対して価値観の幻想に気付いてしまいました。


■何が正解なのか

ヒーヒー言って苦労して、ある価値観に自分を沿わせることは本当に幸せなのだろうか。

これまで「そうだ。」と思っていたことが、実は間違っているかもしれない。もっと言うと「そうだ。」と思っていること自体も、あんまりよく考えたことが無いのが実態ではないだろうか。


これからもこんな、価値観の小手先をクイっとひねって、ある日を境にガラッと景色が変わってしまうことが、たくさん起こるだろう。


価値観なんて、ほとんどが幻想。変に凝り固まらず、流れるように生きていければいいのではないかと思うのです。

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