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【読書感想文】「せいいっぱいの悪口」堀静香


とても素敵な本に出会ったので、
感想を記しておきたいと思う。

堀静香さんの「せいいっぱいの悪口」

このタイトルと、
なんとも言えない雰囲気漂う表紙のインパクト!

"日常"を綴ったエッセイなので、
自分の"日常"の中にあった
コーヒーとカレーパンとともに。


ジャンルとしては「エッセイ」に入るかと思うのだけれど、ただ一言「エッセイ」という表現で
終わらせてしまうには、ちょっと惜しいというか…

もっと"深み"があるんだよ!と
つい訴えたくなるような感覚

著者の堀さんの人生における様々なエピソード

幼少期、仕事、パートナーとの関わり、子育て…

はじまりは、
日常の身近なエピソードなのだけれど、
そこからふと、
堀さんの思考が、
少し唐突に、
でも確実に今から繋がって、
いろんな方向に展開されていく…

この世界で生きていく中で感じる、
切なさ、やるせなさ

自分という人間はなんなんだろう、
自分はどうしたいのだろう、
どうしたらいいのだろう

人と関わるときの感覚、
この人とわかり合いたい、
でも完璧にはわかり合えない

それでも、
それでも誰かと今ここにいるということ

その孤独と、
でも決して完全には失われない希望と…

日常から紡ぎ出される
思考と感情の流れに、
ときに共感し、
その得体の知れない人生の心もとなさを
同じように感じている人がいるのだということに
小さな安堵と希望を覚えたり…

その思考が流れ着く先は、
明確な着地点があるわけではないような、
でも不思議と何かに到達する感覚はあるような

いろんなことを考え、感じる過程を、
堀さんの思考の流れに
一緒に漂いながら体験していく

そんな不思議な読書感覚

またそのエピソードというものが、
ものすごく突拍子もないことではなく、
あくまでも"日常"の中にあり、
読んでいる読者もまた、
いつかどこかで
目にしたことがあるような、
体験したことがあるような、
どこか"身近"に感じられること

そして、
その日常から繰り広げられていく
思考の流れというのもまた、
私たちもいつかどこかで
考えたことがあるような、
感じたことがあるような、
そして今も同じように考えたり悩んだり、
モヤモヤしたり、試行錯誤しているような…

そんな感覚を得た一冊

全然内容の説明には
なっていないかもしれないけれど…(笑)

一人の女性のエッセイとしても
いろんなエピソードを楽しめるし、
日常の中から流れ出す
著者の思考の流れに身を委ね、
自分もしばしその流れとともに
自分の日々のこと、人生に、
思いを馳せたり、
不思議な共鳴を体験してみたい…!
という方にもオススメ

読めてよかった。
この先も読み返すと思います。

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