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【雑記】指示待ち人間が自由を持て余したので、ファスティング旅行した

 30歳をすぎて、仕事や生活に考えることが増えた。
 今まで、私が、ポワーン、ふにゃーんと生きていただけで、この考えるという過程は、おそらく私以外の全ヒトがやってきたことなのだろう。きっと、本来ならば、何も苦痛ではない。当たり前のことなのだけれど、もう本当に、私は嫌になってしまった。

 生きていると、自分で決めることが多くて、驚く。
 自分で決められる自由がある喜びと、さて何に向かえばいいのかという虚無。その間で、ふらりふらりと幸せと不幸せの間を行き来している。なんて私は、幸福で、能天気なんだろう。だからなのか、友人や会社の知り合いに話せば、呆れられ、「あんたは恵まれているんだから、大丈夫」という、私にとって何も励みにならない言葉を受けとっていた。そう。恵まれているけど辛いんだ。本当に自分が嫌になる。

 マッキーが私が生まれる前の年に「僕が僕であるために」をリリースした。”僕が僕らしくあるために”と歌っているけど、私は毎日嫌というほど私だ。どうせなら、時々、朝起きたら、バナナマン日村さんになったり、堺雅人さんになったり、佐藤栞里さんになったりしたい。
 毎日毎日、どうしようもなく、自分であるということが嫌だと思ってしまう私はどうしたらいいのでしょうか。私は会社勤めしてから、どうしようもなく、平日の朝の体の重いことは、私らしくいないという証明なのでしょうか。

 不快は、自分で体感できる。それなのに、自分で決めることはできていない絶望と、うっすらとした希望。元気だ、元気じゃない、恵まれている、辛いの繰り返しである。

 思えば、学校は、日本の義務教育は、私のような人間には向いているシステムだった。与えられたミッションをこなせば、学校に居場所があった。でも、社会は自分自身で居場所を作る必要があるようだ。どうしよう。どこが居場所だ。私はどこにいるといいんだ。

 そう思っていたら、ある日、すっかり幸運にも会社員になれた私は、急に気持ちが落ち込んだ。精神科医からは、抑うつ状態だと診断された。たしかに、診断を受けた週の何日かは寝れない日があったし、精神科医のカウンセリングを受けている時に泣いたんだけど、自分は、診断にイマイチ納得できてない。
 だって、私のBMIは、やる気と自信に満ち溢れた20代からずっと21をキープしていたし(なんと健康体)、3食全部食べていたし(なんと健康)、何が何やら。まあでも、医者が言うから、抑うつなのだろう。そして、その診断を受け入れて、私は会社を休職した。

 休職はいいぞ。
 でも、自由が、時間、が有り余る。

 朝、起きる。コーヒーかお湯を飲む。散歩する。本を読む。首を痛める。Youtube。外に出る。買いたいものはない。家に帰る。Youtube。寝落ち。お腹が減る。冷麦茹でる。寝落ち。Youtube。本を読む。首を痛める。Youtube。夜ご飯を作る。1人で風呂。同居人が帰宅する。同居人と雑談。寝る。寝れない。Instagram見る。本を読む。寝落ち。そして、次の朝。

 大体こんな生活を続けていた。初めは、会社のことを考えて、気づきがあったりしたものの、2週間も休めば、ひとりの時間が急に手持ち無沙汰になった。

 そんな中、ルーティーンである”Youtube”の中で見たアッパー体験が、ファスティングだ。
 Youtuberの各々が、気づきと変化を得たファステング体験を動画にまとめている。変化の薄い日常を過ごしていた私にとって、それらの体験は、ゆるい期待のように見えた。
 変化は私の生活に彩りをくれるかもしれない。そう思って、私はGoogleの検索窓に『ファスティング 関東』と入力し、旅行の手配をはじめた。


ファスティング旅行をする

準備

 関東圏の宿泊施設の利用料は高かった。ファスティングをやりたい割に、それに期待している割に、私は金銭については冷静だ。しばらく、ネット検索して見つけた静岡の施設。どうやら、ファスティング専用の施設。直前割かな。安い。あと、専用か、ありがたい。同じホテルの隣の部屋で、恋人とイチャイチャする人、フレンチレストランを普通に食している人がいたら、辛抱堪らん。私は、迷わず、そこの2泊3日の宿泊を、出発の5日前に予約した。

1日目

 初日から詰んでいた。どうやら断食前日から準備が必要だったようだ。私は、すでに前日の昼に、私は何も気にせず、もぐもぐとハンバーガーとビールを食べていた(へへへ)。
 今日から頑張る。そんな気持ちでも食べれないことの不安は拭えない。あたりめ(小袋)を2つ、近所の購入して、予約した静岡の施設に向かった(ごめんなさい)。

 家の近所の駅から、静岡に着くと、旅行の楽しみのほとんどは飲食で占められていたことに気づく。なぜなら、私の心が踊らないからだ。特急に乗ってきたのに、嬉しくない。普段住んでいる土地と異なる都道府県に到着したにもかかわらず、私の脳内は文字情報が右から左に流れるのみだ。うなぎ、あんみつ、焼肉、海鮮など文字情報で勧誘の手が私に伸びているが、全く関係ない。知るか知るか知るか、大事なことなので、3回、脳内で繰り返した。安住の地である自宅近所の近所のコンビニであたりめを買う暴挙に出た割に、私は極めて冷静にそれらを受け流し、施設に向かった。

 施設は、小綺麗なデカいコテージだった。
 事務的に手続きが済んで助かる。「部屋はココです」「入浴はここです」「ここにお茶があります」「これはお茶です」
 そんな感じで案内を受けた後に行き着いた1人部屋は、一人暮らしの時の部屋に似ていた。テレビとベット、机がある。ミニマル快適ルーム。ここで3日間過ごすようだ。

 部屋で少しくつろぐと、身体検査を受ける。身長、体重、血圧を計測し、その結果を受けて、担当者と面接をする。当日、私は、相変わらずBMI21の健康体を維持していた。それもあり、担当者に「なぜファスティングしたいのか?」を何度か聞かれた。
 『バナナマン日村さんになるような非日常感を体感したいからです!』など、そんなことは私の口からは言えない。だから、私は「お酒を1週間に何日か飲んでー、なんか内臓脂肪が気になるなーとかー痩せたいなーという気持ちでーす」とダラダラ回答して、間を埋めた。
 面接担当である相手は、納得していない様子だった。だが、断酒目的で参加する人は多いようだ。あまり言及されずに、「あーそういう人いますよー。わかりますー。」と言われた。否定されないことが、私は救いだった。

 施設側で準備された、お決まりの注意説明や施設案内を完了すると、今日接種していい、唯一の栄養素である酵母ドリンクを私は受け取った。500ccのペットボトルに入ったソレは白濁しており、どぶろくに似ていた。お酒が飲みたい。
 私は部屋に入ると、ベッドに顔を埋めたが、久しぶりの非日常にテンションが上がり、チェックイン時に紹介された温泉にすぐに向かった。

 「フラフラするかもしれません」と宿泊施設の職員からは注意を受けたが、私の体調は良好だった。だから、近所の図書館で借りた本を読んだ。
大丈夫だった。

 大丈夫じゃなくなったのは、夜だった。22時をすぎた頃には、空腹で、食べること以外考えられなくなった。頭が働かないので、寝ようとして布団に入るが、空腹状態で寝れなかった。あっという間に寝れないまま、AM2時をすぎた。もう、流石に寝たい。一旦、近所で購入した罪深いあたりめの袋を開封し、10分もかからずに完食した(もうこの時点でファスティングしていない)。だが、あたりめを完食した後も、空腹とは折り合いがつかず、全く寝れなかった。そこで、モッパン動画と琥珀糖のASMR動画を大量に見た。この時点でAM3時。ASMR動画でよく食されている、グミッツェルが食べたくて仕方がない自分に気づいてから数分、いつの間にか寝落ちしていた。


2日目

 6時に起床。スッキリした気持ちはなく、ちょっとした寝落ちをやっちまったな、、というモヤモヤとした気持ち。寝落ちした時の変な体勢の影響か、首と肩が痛い。せっかく早起きしたので、朝風呂をして、昨日もらった酵母ドリンクの残りを飲む。風呂後は妙に元気で、部屋に帰って、ヨガと筋トレをした。全ては空腹を紛らわせるためだった。
 この日の朝から食事復活。味噌汁とお粥を朝食として食べる。昨晩、あたりめを食べてしまったので、参加前に見たファスティング体験者のような感動は薄いのではないかと思ったが、そんな反則をした私でも、味噌汁とお粥は美味しく食べた。
 ただ、あの、参加前に見たようなアッパー感が薄い。
 11時、朝食も食べ終え、宿泊施設の外を散歩することにする。この時の外の気温は37度。20分も歩けば、ヘロヘロになった。あと、コーヒーを毎日500ccは飲んでいる私。昨日から、全くコーヒーを口にしていない影響か、または空腹からか、散歩から戻った11時半をすぎた頃から頭痛が悪化する。
 12時、頭痛がひどくて、何もする気にならず、仮眠。
 13時、ヨガ。頭痛が少し良くなる。
 14時、体重測定と面接。3kg痩せていた。へー。
 15時、映画を観る。

 17時、晩御飯。ここでもお粥、味噌汁、小鉢のようなもの。食事と対面した時は、「足りねえ!」と怒ったが、食べてみると、意外とお腹がいっぱいな感覚がある。へー。
 18時、風呂。露天風呂があったから、外に出ようとしたが、夏の虫が怖くて断念。
 19時、頭痛がぶり返し。うんうんと言っていたら、いつの間にか寝落ち。20時には寝ていたと思う。

3日目

 起きたら、朝4時だった。頭痛まみれの昨日とは変わって、起床時に体が軽い気がして、驚いた。これがみんながいうアッパー感かしら。

 朝食まで時間があったので、ヨガと筋トレ→お風呂→読書をした。私には珍しく、朝から活動的。その後、テレビでニュースを見てから、朝食を食べた。
 ご褒美食と名のついた朝食は、西京焼きの定食だった。美味しい。塩分が嬉しい。15分くらいで完食し、ファスティング旅行を完了した。ちょっと空気が気持ち良い。イエーい。

チェックアウト。
 

ファスティングして気づいたこと

 非日常を過ごしてみると、信じて疑わなかったことも、「時と場合による」を体感できてよかった。

 ”食事を少なめにとった次の日の目覚めがいい”ということ。1日目の空腹は辛かった。だから、何かしら食べた方がいい。でも、腹八分目未満の食事を摂取した2日目を終えた、3日目の朝はスッキリしていた。自分の身体感覚は難しい。ちょうどいい、気持ち的に大満足なのは腹八分目だが、本当はちょうどいい量があるのかも。

 地味だ。しかも、1個しか気づいてないぞ。
 でも、思えば私は、従う楽さに甘えて、自分でちょうどいいを調整することが少なかったかもしれないとも思えた。今回の旅行では、食事も限りなく制限された状態にさせられたところに従っているんだけど。
 食事は難しい。生活も難しい。もうこの年齢まで住んでいると、違和感にも気づきにくい。じゃあ、このために休職期間を使うか。と旅行を終えてから少しポジティブである。
 そうか、自分のちょうどいいを確立しているから、みんな自己肯定感を得ているのかもしれない。だから、他の人は、次の日、急に、バナナマン日村さんになることがキツイことだと頭でわかるんだな。私の中で、もう1個、気づきが増えた。

【休職中の気付き①】食事を少なめにすると、次の日、体が軽い

【休職中の気付き②】「自分にとってのちょうどいい」を探すと、良さそう

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