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2022年度からの新学習指導要領の高校数学まとめ

こんにちは、すうじょうです。今更ですが、2年ほど前に文部科学省が発表した2022年度から実施予定の新学習指導要領の数学を軽く読みました。私は、教師や塾講師等ではないので、軽く流し読みをしただけですが、それでも変更点についていくつか分かったので、それをここにまとめてみたいと思います。この記事では、文科省が平成30年度に告示した高等学校学習指導要領の数学編解説を読んだのを基に、数研出版がまとめてあったものを参考に記事を作っています。また、学習指導要領改訂全体では、こちらのサイトを参照しました。

この学習指導要領の対象者は、2022年以降に高校1年生となる人です
共通テストの内容について、2022/11/10に追記しています


そもそも新学習指導要領全体では何が変わるの?

学習指導要領は、時代の変化に合わせて約10年ごとに改訂されていて、それによって教科書の中身が変更されているそうです。高校での前の変更は平成25年で、このときは数学では数Cが消滅して、行列の代わりに複素数平面が登場しました。(平成24年更新 高等学校学習指導要領解説 数学編より)その細かい内容については触れませんが基本的に指導要領の変更では、教科が増減して内容も変更されます。つまり、それだけ大きな影響を及ぼしているということです。また、学習指導要領の改訂は高校だけでなく、幼稚園・小学校・中学校もあります。幼稚園は2018年度、小学校は2020年から変わっていて、中学校は2021年から実施です。

今回の改訂全体の概要

ここでは、数学についてはあまり着目せず、高校の改訂内容全体の概要と小中であった改定の概要をまとめたいと思います。今回のテーマは、情報化・の加速度的な進展や人工知能の飛躍的な発達により、将来が予測困難な時代となった現代において、社会の変化に対応し、生き抜くために必要な資質・能力を備えた子どもたちを育むためだそうです。

小学校(2020年度から変更)
外国語(英語)を3年生から始め、4年生までは「聞く」「話す」のコミュニケーション重視の授業で、5年生からは正式な教科となり、それらに加え「書く」「読む」も含んだ授業を展開する4技能型の授業になったみたいです。そして、プログラム教育が必修となりました。と、いってもCやpythonのような言語を使った学習ではなく、すでに用意された選択肢や操作を組み合わせて目標とする動作を実現させるというようなプログラミングをするうえで重要な問題を分割して、それらを組み合わせることによって解決することを学ぶみたいです。

中学校(2021年度から変更)
小学校の改訂を踏まえ、プログラミングにおいて従来よりもやや本格的な内容となり、課題をコンピュータを使って解決するといった内容に取り組むことが推奨されていたと思います。

高校(2022年度から変更)
現代社会の代わりに、新教科・公共が登場し、必修となるみたいです。そして、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の視点でのアプローチによって、子どもたちの学習方法を変えることを重要視しているそうです。つまり、生徒が学ぶ姿勢に重点がおかれ、課題についてしっかりと議論し考察する力を育成するのが求められていると思います。

高校 学習指導要領の変化に伴う教科変遷

文部科学省「高等学校学習指導要領の改訂のポイント」p4より、高校の学習指導要領の変化に伴う教科変更・統合をまとめた表です。

見ると、現代文が論理と文学に分かれる。社会科のA・Bが総合となっている。英語表現が論理・表現となって、ⅠからⅢになっている。情報科目がⅠ・Ⅱとなっている。などなど細かい変化や大きそうな変化がいくつかありますね。ちなみに、これらのカリキュラムの立て方の例については、数研出版がこちらのPDFで授業時間に合わせて3パターンに分けて案が出されています。

数学はどう変わるの?

ここでは、数学について主に高校に焦点を当てつつ、必要な部分は中学校の変更についても触れます。主に参照したものは、最初に触れた数研出版のものです。

まず、結論から先に示すと、以下にある数研出版のまとめたPDFのp2の表が分かりやすく示されています。

高校数学 学習指導要領の変化に伴う内容変遷

まず、データの分析の四分位範囲・箱ひげ図が中2に移動し、統計の仮説検定について軽く触れることになりました。そして、数Ⅲの平面上の曲線(2次曲線)と複素数平面、数Bのベクトルが新しくできた数Cへ移動しました。数Aの整数は、別単元の一部となりました。確率では、統計から期待値が移動しました。統計では、区間推定・仮説検定を扱うことが明記され、有意水準を用語として導入することになりました。そして、見てわかるように、生活と関わる数学についての単元が3つできたようです。そのうち、数Cのものに関しては、離散グラフや行列を扱うことになっています。

2022年度からの数学共通テストについて

※以下の内容は、2024/04/28時点の大学入試センター発表の情報に基づくものです。まだ検討中の内容であるため、変更される可能性があります。

改訂後の共通テストの範囲については、『数学Ⅰ,数学A』か『数学Ⅰ』と『数学Ⅱ,数学B,数学C』の2科目です。そして、数学Aについては、図形の性質、場合の数と確率のみが出題対象で必答となるようです。数学Bについては、数列、統計的な推測のみが出題対象で、数学Cについては、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面のみが出題対象で、『数学Ⅱ,数学B,数学C』ではこれら4項目のうちから3項目を選択し、解答することになるようです。試験時間はそれぞれ70分で、いずれも100点が満点です。(令和7年度以降の試験に向けた検討について- 大学入試センターより)

つまり、現共通テストからの変更点としては、『数学Ⅰ,数学A』から整数の性質の問題が消え、確率の範囲に期待値が追加され、すべて必答になった。『数学Ⅱ,数学B,数学C』の選択問題に平面上の曲線と複素数平面が増えるということのようです。ちなみに、平面上の曲線と複素数平面については、1997年から2006年の間のセンター試験では出題されていたので、復活といったほうがいいかもしれません。

ここからは、私個人の考察です。期待値の移動により、多くの大学の2次試験から期待値の問題が復活するのではないかと思われます。共通テストについては、文系は『数学Ⅱ,数学B,数学C』で数列、統計的な推測、ベクトルを選択する人が多くなると思われます。(多くの学校では、文系は複素数平面などを教わっていないようです)

私の感想

以上で、新学習指導要領の数学の紹介を終わって、全体の感想です。小中高でのプログラミング教育は、情報系の私からするとうらやましいです。英語の教科化も私は好印象ですが、嫌いな人もいると思います。しかし、近年のグローバル化、インターネットの普及等の影響で仕方ないのかなとは思います。数学については、行列の完全復活とはならないと思うので、それはどうなのだろうかと思います。個人的には理系なら、ほぼ必ず大学1年で行列をやるので、高校で行列の基礎に触れておいた方が楽になると思います。では。

2022/02/20追記

大きく変更される高校の情報Ⅰについて、内容をまとめた記事を書きました。以下にリンクを貼っています。


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