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2022年度からの新学習指導要領の情報Ⅰまとめ

こんにちは、これが290本目の記事となったすうじょうです。今日は、もうすぐ4月ということで、2022年度から実施予定の新学習指導要領の情報Ⅰについて、簡単にどのような教科になるのか紹介してみたいと思います。私は、教師や塾講師等ではありませんが、情報系を専攻しているので、多少の理解はあると自負しています。内容についていくつか分かったことを、ここにまとめてみたいと思います。

この学習指導要領の対象者は、2022年以降に高校1年生となる人です。
共通テストの内容について、2022/11/10に追記しています。

過去に学習指導要領全体の変更点と高校数学の変更点をまとめた以下の記事を書いています。それらのことについては、そちらをご覧ください。

情報科目の変更点と情報Ⅰの内容

情報科目は、以下の表のような教科構成の変更が予定されています。

情報編  高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 より

このうち、情報Ⅰが必修科目ですべての高校生が学ぶことになっている。情報Ⅱを学ぶ高校は少ないことが予想されるので、この記事では、主に情報Ⅰの内容について書いていく。

情報Ⅰの内容は主に以下の4つで構成されている。
(1)情報社会の問題解決
(2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング
(4)情報通信ネットワークとデータの活用

その具体的な内容については、高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材の目次によると次のようになります。

(1)情報社会の問題解決
情報やメディアの特性と問題の発見・解決
情報セキュリティ
情報に関する法規,情報モラル
情報社会におけるコミュニケーションのメリット・デメリット
情報技術の発展

(2)コミュニケーションと情報デザイン
デジタルにするということ(情報のデジタル化)
コミュニケーションを成立させるもの
メディアとコミュニケーション,そのツール
情報をデザインすることの意味
デザインするための一連の進め方

(3)コンピュータとプログラミング
コンピュータの仕組み
外部装置との接続
基本的プログラム(「順次」、「分岐」、「反復」)
応用的プログラム(「リスト」、「乱数」、「関数」、「WebAPI」)
アルゴリズムの比較(「線形探索」、「二分探索」、「選択ソート」、「クイックソート」)
確定モデルと確率モデル
自然現象のモデル化とシミュレーション

(4)情報通信ネットワークとデータの活用
情報通信ネットワークの仕組み
情報通信ネットワークの構築
情報システムが提供するサービス
さまざまな形式のデータとその表現形式(リレーショナルデータベース)
量的データの分析
質的データの分析(テキストマイニング)
データの形式と可視化

このすべてを情報Ⅰの授業の中で行うのは、時間的に厳しいと思われるので、高校によって一部実施しない内容があると思います。プログラミングで使用する言語としては、アンケートによると多いものから順にPython, JavaScript, VBA, Scratch,…というようになりそうです。実際、この中で最も使用人口が多く、参考書がそろっているのがPythonなので妥当なところです。

2025年度から必須の共通テスト「情報」について

※以下の内容は、2022/11/09時点の大学入試センター発表の情報に基づくものです。まだ検討中の内容であるため、変更される可能性があります。

2022年度以降入学の高校生が受ける共通テストに、情報Ⅰの内容の科目「情報」があり、それが国立大学で原則課される方針となっている。ここから、国公立と一部私立において、大学入試の共通テストで課される科目に情報が追加されることが予測される。ただ、国立大学の北海道大と徳島大などが情報を共通テストの受験科目として課すが、配点を0点にし合否判定に利用しないと予告しており、大学によって対応が分かれている。

情報Ⅰを履修していない浪人生が受けることができるように、「社会と情報」、「情報の科学」のいずれの科目を履修していても不利益が生じないように作成された「旧情報(仮)」が「情報」とは別に用意されることになっている。また、「旧情報(仮)」と「情報」の間で、難易度の差により平均点が20点以上開いた場合は得点調整が行われることになっている。これは、受験者数が1万人未満の場合であっても対象とされる。

現在、情報Ⅰのサンプル問題と試作問題が大学入試センターのページで公開されています。サンプル問題は、あくまでサンプルなので、どんな問題か気になる人は、試作問題の方を読むことをおすすめします。また、過去に実施されたセンター試験と共通テストの「情報関係基礎」の問題も参考になると思います。

試験時間は、60分で、100点が満点です。

情報の共通テストでは、様々な用語の意味や概念の理解、疑似言語のコード(試作問題のものは日本語が含まれるが、Pythonのコードに近い)とアルゴリズムの理解、数学「データの分析」の理解が必要になると思われる。

私の感想

以上で、新学習指導要領の情報のまとめは終わりです。ここでは、私の感想を述べます。高校の情報科の内容が大きく変わり、共通テスト対策のためにもプログラミングを教えなければならないようになると思われます。ただ、現在の情報科の教育状況は、情報の教員免許を持っている教員が少なく、プログラミングを教えた経験がない先生も多いのではないかと思います。なので、多くの高校で混乱が生じると思われます。また、共通テストの必要科目が増えることにより、受験生の負担が増えることも心配です。ただ、情報セキュリティ教育やプログラミングを教えること自体はよい試みだと思います。プログラミング言語として、Pythonは比較的初心者に優しい言語なので、入り口としては十分だと思います。ここより下では、記事作成にあたって参考にしたサイト一覧を挙げています。では。

参考

この記事を作成する際に、参考にしたサイトを以下に挙げます。

文部科学省-高等学校情報科に関する特設ページ

「情報Ⅰ」の教科書とプログラミング言語に関するアンケート結果

国立大受験生に「情報」課す方針 国大協理事会が了承 1月に決定へ

大学入試センター-令和7年度以降の試験に向けた検討について

情報Iの教科書におけるプログラミング分野の比較と分析

共通テスト新科目「情報I」を配点0 国立大の予告に識者「世界からのデジタル化の遅れが発生」


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