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片づけで人生が変わるのは「脳の低下が回復し、学習能力が向上するから」説

今回も「片づけ」と「人生」の結びつきを解き明かすシリーズ。両者には「つながり」があるようだが、明確に説明するのが難しい。そこにミッシングリンクがある。その「見えないつながり」を探る。

今回は、低下していた脳のワーキングメモリの働きが、部屋の片づけによって回復し、学習能力が向上するから人生が変わる説をご紹介。

つまり、片づけで脳の動きが変わるから人生が変わる。

1.ワーキングメモリとは

脳には短期記憶と長期記憶、そして両者から必要な情報を検索し、進行中の作業に活用する「ワーキングメモリ(作業記憶)」がある。

例えば、言葉を理解して会話を成立させたり、数字を組み合わせて計算ができたりするのは、ワーキングメモリが必要な情報を取り寄せて、活用しているからである。

2.人生を変えるために大切なワーキングメモリ

このように、ワーキングメモリは読解力や思考力、さらには感情のコントロールといった、私たちの生活にとって大切な働きをしているが、ここでは以下の能力に注目する。

❶学習する。
❷好き嫌いを判断する。
❸不測の事態に対応する。

「ワーキングメモリが果たす10の役割」

まず❶の学習については、ワーキングメモリによって、あふれる情報の中から必要な情報を選び整理し、反復することで短期記憶を長期記憶にする。その長期記憶を活用して、さらに新しいことを学んでいく。

❷の「好きか嫌いか」という感情に、記憶が左右する要素が大きい。過去の経験や自分が持つ好き嫌いの情報を用いてワーキングメモリが判断する。

❸については、例えば面接のときに、予想していない質問に対しても、頭の中にある過去の情報にアクセスして対応する。

上記のように、ワーキングメモリは新しい世界に関する学習や好き嫌いの判断、不測の事態への対応など、人生を変え「成功の鍵」を握る大切な力である。人生を変えるためにワーキングメモリは大きな役割を果たしている。

3.ワーキングメモリを低下させるもの

ワーキングメモリを円滑に動くようにするための方法の1つが「無駄な消耗を抑える」ことだが、ワーキングメモリの働きを低下させる8つ原因が、以下のページで紹介されている。その主なものは次の3つ。

❶情報量が多すぎる。
❷時間に追われる。
❸強すぎるストレス。

許容できる以上の情報が入ってきたり、時間に追われたり、強いストレスがかかったりするとワーキングメモリの働きが鈍る。

また、以下のページでは、「選択」を行う時にワーキングメモリが低下すると紹介している。

例えば、スティーブ・ジョブズが毎日、黒のタートルネックにジーンズといった同じ服を着ていたのも、服を選ぶという「選択」を減らしていたからと言われている。

以上のように、情報量を減らし、ストレスを減らし、選択を減らすことで、ワーキングメモリの低下を防ぐことができる。

それでは、メインテーマである「片づけ」は、ワーキングメモリの低下に対して、どのように貢献できるのか?

4.片づけでワーキングメモリの低下を防ぐ

片づけは、部屋の中のモノの情報量を減らすことで、ワーキングメモリの負担を軽くする。

モノには、「モノ自体の情報」と「モノと所有者がかかわった歴史や思い出」と言った情報もある。モノを減らすことによって、モノに含まれる全ての情報を手放し、情報量の少ない部屋にできる。

また、片づけをすることで、「残す」か「手放す」かと言った選択の余地を残さない。部屋にあるのは「選択した結果」だけである。

また、片づけで居心地の良い部屋になれば、ストレスを軽減してくれる。さらに探しものをしなくてもよいように整理収納されていれば、モノを探すストレスもなくなる。

このように、片づけはワーキングメモリの負担を軽減できると考える。

よく「片づいていない部屋にいると元気が吸い取られる」と言われることがあるが、まさしくワーキングメモリが低下し、消耗している状態である。

5.まとめ

以上のように片づけによって、ワーキングメモリが回復し、学習能力が向上することで人生が変わるのである。

あなたにお子さんがいるのであれば、部屋の片づけをして、成績が良くなるか試してほしい。その際に、学年が進んで使っていない教科書が何年分もある場合は、処分する。片づけの効果を確認してほしい。

そして、あなたには、この説を基に視界に入るモノを少なくしてほしい。少なくとも机の上は、今、必要なモノだけを置く。あなたの机や部屋の片づいた状態が、あなたのワーキングメモリを助け、人生を変えてくれる。

(参考文献)


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