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HANA-BI ベネチア映画祭金獅子賞受賞作品。

北野武監督7作目の作品。

「HANA(花)=生」と「HI(火)=死」破滅・・・その先に。

犯人を尾行し、追い詰めた時に起きた「銃撃」により殉職した刑事(芦川誠)の妻(大家由祐子)、見張りを変わったことにより犯人に狙撃され下半身不随になり、家族も失う堀部刑事(大杉漣)への強盗を犯してまでの償い。返済したにもかかわらず、追っ手を送るヤクザとの戦い、余命幾何の無い「妻」とのロードムービー。

映画を撮る気はなかった。談志師匠がきっかけ?

戦場のメリークリスマス公開の頃に放送されたオールナイトニッポンで立川流落語(芸能Bコース) の師匠でもある立川談志がビートたけし(立川錦之助 現:梅春)へ映画を「なんでテメェで撮らねぇんだ」と言い、それに対してビートたけしは「俺が?撮れないですよ」と返した。

その数十後に映画を撮り金獅子賞を取った。

時は巡り金獅子賞を取った後に今度はFM番組の「街でいちばんの男〜ビートニクラジオ」(TOKYO FM)のゲストとして立川談志が登場しビートたけしへ「(俺:談志)なんか似てる所があり、狂気があって~とても可愛い」「(映画)HANABIなんて作品を撮るんだからな~」と評価をしていた。

黒澤明監督も認めた作品

フランスの国営テレビで製作された蓮見氏とのインタビュー対談の中で「HANABI」のやくざとの乱闘シーンは自身の喧嘩や見てきたものをうまくシーンに取り入れたと語っていた。殴り殴られないとわからない痛みのあるシーンは北野映画独自のもの。他の作品では一歩的な暴力でただ残酷な感じを受ける。そしてこの作品は黒澤明が選んだ100本の映画の100本目に選ばれている。

生理的なシーンは嫌い。

今作品では、夫婦が描かれている。妻(岸本加世子)と写真を撮るシーンで、腕を組んでくる妻の手を振り払う。

監督は「女性には滅法弱い。何かを言われたら、すぐにはい!と言ってしまう。女性を殴るようなシーンもあるけど、基本的には性的な事、セックスと食べることが大嫌いでね~見られる事が。生理的な事を(他人)見せたくない。

ゴダールの映画「HANABI」への感想二転三転劇


フランスのカイエ・デュ・シネマの元編集長のティエリー・ジュスから聞いた話では、作品をみたティエリーがゴダール監督へ「HANABI」は1990年代の「気狂いピエロ」と言って作品を観るように勧め鑑賞後に感想を求めたらゴダールから「素晴らしい」と言った。

しかし北野監督は「(ゴダール)の※奥さんが喜んでいたというのは聞いたけど。3回見たって聞いた。それでその奥さんが「北野監督に手紙を書きたいからFAX番号を教えろ」って誰かに言わされたって。「ゴダールは手紙を書くと金を取るぞ」って言うから、なんで手紙をもらって金払わないといけないんだって(笑)

ゴダールが褒めたことを宣伝に使おうという話になったら、蓮實さん(映画評論家)が「いや~

ゴダールはどんなものでもコメント発言はしないことにしている」ってことで、しょうがないから「ゴダールが素晴らしい!」といった」というコメントをティエリー・ジュスからもらって、さらに

「ゴダールが素晴らしいと言ったティエリー・ジュリから聞いて私は大変うれしかった」と蓮見重彦が書けばいいことになった。それはまるで山一證券の※「飛ばし」行為だっていう。。

アンヌ・マリーミエヴィル夫人

(北野武/そしてあるいはビートたけし ユリイカより)
※飛ばし行為・・含み損が生じた資産を市場価格よりも高値で第三者に転売することによって損失を隠すこと。グーグル調べ。

この映画のタイトルは「沖縄ピエロ」だった。やはりゴダール監督の影響を感じる。

HANABIの観てほしい6つのポイント!

北野監督の「振り子の原理」

北野作品の特徴は言語を介さないノンバーバル(非言語のコミュニケーション)にて観ている側のそれぞれの感性に訴えることを念頭に置いていたと思う。オールナイトニッポンで速射砲と言われた人物が映画では「寡黙」になる。まるで振り子の原理のように相反する状態が根底にあるのかな~と改めて今作を観て思った。

思えばテレビ東京の「気分はパラダイス」というトーク番組でゲストとの楽しい雰囲気のやり取りで笑い、番組の挿入歌は「たかを くくろうか」でしんみりしたな~と思う今日この頃。

たかを くくろうかの作曲は故坂本龍一氏。



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