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# 146 医師が覗き見る「日本社会のイマ」

今回は政治的な話であり、新自由主義とSDGsの話でもある。

新自由主義は西村 國彦さんの著書を参考に考えると『今だけ、金だけ、自分だけ』と言う事に行き着くようだ。ゴールドマンサックスなどの金融機関はまさにその代表格の様である。
トランプ前大統領も…アメリカファースト…を持論としており、『今だけ、金だけ、アメリカだけ』と言う新自由主義である。
しかし、これはコロナにより脆くも崩れ去った。オバマ元米大統領は2020年5月16日、新型コロナウイルス感染症拡大を巡り「(対応する)責任者らは何をしているか必ずしも分かっていない」との考えを示し、トランプ政権を批判した。その上で「彼らの多くは、責任者のふりすらしていない」と批判した。
この発言は大統領選挙にまで尾を引いて、トランプ政権の退陣につながった。
トランプのアメリカファーストは世界の覇権争いにはそれなりの効果があったのであろう。しかし、コロナという敵にはそれを唱えて戦うわけにはいかない。要するに見えない敵に対面して、どうして良いのかわからなかったという所であろう。新自由主義は地球レベルの広い立場で持続可能性のある人間社会を見ることができない。まさに今だけであり、金儲けには適しているのだろうが、二酸化炭素の垂れ流しやコロナの蔓延や原爆などにどの様に対処すれば良いのか判断がつかない思想の様だ。
コロナ禍でトランプ政権が新自由主義の限界を露わにした。
ウクライナ侵攻するプーチン大統領は『今だけ、金だけ、ロシアだけ』の新自由主義者である。この戦争が失敗に終われば新自由主義は終焉を迎えるのだろう。

ところで、これは国家レベルの話であるというのはどうなのだろうか?SDGsと表裏一体のESG投資は世界で2500兆円だそうで、日本の予算の20倍以上なのだ。企業でも地球環境を無視できない時代となって来た。

日本では統一地方選挙が迫ってきた。地方自治体でも当然、SDGsは基本となる。しかし、自治体の首長選挙で展開される論争には視野の狭い、重箱の隅をつつく様な今だけの問題に固執した主張と批判が散見される。
その様な発言を丁寧に観察すると、『今だけ、金だけ、自分だけ』という新自由主義に行き着くのが普通だ。たとえば、子育てだけに重点を置く政策、高齢者対策だけに置くもの、地域住民の利害に重点を置くもの。個々を見ると宜なるかなではあるのだか、何かしらバランス感覚の欠如を感じる。例えば子育て真っ最中の候補者が、それに特化する政策を掲げている場合では、限られた財源をそこに傾注するわけだ。子育てを終えた人や、高齢者は取り残されてしまうのだろうか?
これは突き詰めると自分だけに行き着く。
同じ内容でもSDGsの視点など、地球レベルの視点が加わると似て非なるものであり、バランス感が出てくる。それは本当のSDGsであれば新自由主義を超えた、新しい政治への展開である。それはイマだけではない、誰一人取り残さない、持続可能性のある成長を織るこむ政策提案と受け取れるのだ。

post-コロナでは世界中SDGsの視点で山積した課題を時間をかけて解決してゆく事になりそうだ。

コロナは人間社会を賢くさせてくれたのかも知れない。



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