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#48:自分をシステムエンジニアだと思ったことはないけど、ずっとITを仕事にしている話

2002年にシステムエンジニア(SE)という職種で採用されて以来、20年近くそのまま働いた。保険のシステム子会社で新卒採用の募集職種がSEのみだったので、恐らく対外的にはSEとして働いてきたことになる。

しかし、私は一度も自分をシステムエンジニアだと心の底から思ったことはない。

なぜか。

少し記憶を呼び起こしながら書いていく。

改めて思うけど、それでもIT界隈で20年働ける。就職って、案外それで何とかなると言い切るのは、さすがに無責任か。いや、難しく考えてもうまくいくものではない。

導入研修

いま思い起こせばこの時から勝負は(?)決していた。文系出身でも大丈夫ということで、約3ヶ月アルゴリズムやコンピュータの基礎を学ぶ研修を受けた。研修はしっかりしていたが、こちらは正真正銘の落ちこぼれで、人のプログラムをコペピしたのがバレて随分怒られた。きっちり育つ人はたくさんいたが、自分は単純に向いていなかったのだと、今なら素直に思う。

配属後数年

特にプログラムを組むこともなく、保守運用や小さい開発案件を任された。ベンダーさんが開発してくる内容を管理して仕事を進めれば、問題なく物事が進んでいった。それっぽいことでテストの一部をやったり、トラブル時に障害原因を解析したりはあった。まあ生き抜く術としてその部分のみ発達する。極端な話、あの環境であれば誰でも障害解析だけできるようにはなったんじゃないかと思う。ヒトの適応力。

プロジェクトマネジメント

そこそこ中堅になってくると、少し大きな案件を任される。いわゆるプロジェクトマネジメント。最初はチームリーダー。そのうち、プロジェクトリーダー、そしてPM。

もちろんシステム的な話は出てくる。インフラや外部設計、テストに品質管理。でもそれ以前に要件や要員、スケジュールにコストの話。後半の要件や要員以降の話は、システムだろうがビル建設だろうが、何かのイベントだろうが、全く同じ話だ。要するに中身は変わっても、プロジェクトマネジメントすることは同じ。

そうすると、中身のシステム的な話はある程度範囲がカバーできていれば充分対処できる。いや、システム観点の諸々のトピックには、プロジェクトを重ねると詳しくなる。でも設計士やプログラマとしての観点で詳しくなるわけでなく、あくまでPM目線で吟味ができれば良い。

スポーツに例えると、プレーヤーとして全くダメでも、コーチや監督の違い。競技を理解して適切に指示できれば、プレーの実践はできなくても試合に勝てる。時に戦術理解は、観戦中心のファンの方が得意だったりもする。

IT部門

転職して、いわゆるIT部門で働いている。会社規模や企業特性で求められる役割は変わると思うが、基本的に設計士やプログラムを扱う機会は今のところ経験してない。もはやサプライヤーの立ち位置でもなく、ITガバナンスやプロジェクト管理をする。もちろんSEではない。

しかしITについての興味や関心は、どんどん強くなっている気がする。長年触れてきたテーマのため、どうやら必然的に詳しくなっている。自分の手を動かしてどうこうできるわけではないので、その劣等感はたぶんずっと拭えない。

でもITに関わる仕事は、自ら作る立場に居なくてもそれこそ沢山あって、それを生業にしている。生産性のない立場に時折疑問も感じるが、いや、何か建てる時に必要なのは大工さんだけではないな、と自分に言い聞かせたりする。

振り返って

いま振り返っても不思議な感覚。SEではないけど、その周辺をPMとして生きてきた。恐らく、この業界ではプログラマ、SEをできる人が偉いと自己暗示がある。まだその呪縛は強い。でもそれはただの自己暗示だけでもないとも思う。情報系学部出身でもなく、つまりコンピュータサイエンスも学ばず、システム屋として働くのは邪道だと海外で思われている節はある。

いや、だからと言って、20年働いてきたし、まあ結果的にはちゃんとそれで食べてきた。だからというわけでもないけど、色々何とかなるなーと思う。あまり仕事の定義やあるべき論には当てはまらなくても割と平気だ、と伝えたい。

SE募集のみという一見ジョブ型に見える会社でメンバー型で働きつつ、転職した結果、PMという役割でジョブ型の仕事に行き着いた。そんな41歳の話が果たして誰かの役に立つだろうか。

ひとつ言えることは、私の場合、未経験からスクールに通いエンジニアになる道では失敗していただろう。ITに関する業務の曖昧な広さ、システムエンジニアという職種のゆるい定義に助けられてここまで来た。ハードなエンジニア=プログラマでは生き残る術はなかったと思う。

長文をお読みいただきありがとうございます😭

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