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#230:聴くことに関する本3選と良い聴き方のヒント

どんな仕事においても、いや、仕事に限らず、人の話を聴くのは大切だなとつくづく思う。

仕事で何か揉めてて事情を詳しく確認すると、だいたいはコミュニケーションの問題だということが多い。お互い認識が合っていないとか、言った言わないの話とか。そして、双方ともに相手の話を聴いていないことが多い。

いや、他人の話ではない。

よくちゃんと聴いてるの?というニュアンスで公私共にお叱りを受ける自分がいる。もっとも身近な妻や息子にも言われるし、会社ですら、控え目なニュアンスではあるが似たような指摘をいただいてしまう。

どうすればしっかりと話を聴けるのだろうか。


聴くことに関する本-3選

Amazonで「聴く」をテーマに本を検索するとかなりたくさんの本がヒットする。

聴くことの重要性は広く認知されており、それに対する本も流行っているようだ。

もちろん全部読んだわけではないが、個人的に巡りあって良かったと思う本を3冊紹介する。

①まず、ちゃんと聴く

とりあえず聴くことを考えるならまずはこの本を読んでみると良いかもと思う。聴くこととは何かという命題に真正面から回答してくれる。

「肯定的意図」というスタンスや「聴くことと伝えることのバランス」など多く発見がある。

聴くことに関するテクニックをいくら学んでもそもそもの聴くスタンスを誤っているとあまり効果がないことについてこの本で知る。

最初にそこを理解すると全ての基礎になる。

②LISTEN

この本は具体例が多い。

海外の本の翻訳でありながら、割とスッと読める。もちろんピンとこない事例もあるのだが、あらゆる聴くことのプロから集めたエピソードやノウハウなど、随所に刺さるものがある。

そして、世界のどこの国でも本当の意味で誰もが誰かの話を聴こうとせず、様々な問題が起きていることを肌で感じられる。

その問題の中で1番深刻だと思えるのは、誰にも話を聴いてもらえず孤独に苛まれてるという話だった。お互いスマホ片手に相手の話を聴いているようで聴いていない。身につまされる。

パラパラとめくって読むのも良いかと思う。

③動機づけ面接

最後はもう少しテクニカルな専門書。

何度も改定されているMotivation Interviewingという手法の本で、聴くことを仕事にしている人たちに向けた、いわゆるプロ向けの専門書である。

会社の同僚のアメリカ人が英語版を熱心に読んでいたので、何かのビジネス書かと思ったら、かなり毛色の違う本だった。しかし彼がすごく良い本でこの章が特に良いと勧めてくれたのが第5章の「聞くこと」という部分。

その章で「聞くこと」とは呼べない12の反応、という箇所には少し驚くようなことも書いてある。要するに、相手の話をよく聴くには障害となる反応が12パターン列挙されている。

「アドバイス」や「非難」などは、12パターンの一部としてそれらに含まれる。聴いてる側がそのような反応をすれば、話す人の話しを阻害するのは何となく想像できる。

しかし、それ以外に「同意する」「慰める」、「承認する」など一見は良さそうな反応すら、聞くことの障害物になるとのこと。結局は聴く側の意図により(それが良くても悪くても)、話し手が影響されないことがポイントになる。

これ以外にも、専門家でない自分でも学べることがたくさんあって何度も読み返している。

良い聴き方のヒント

たくさん本を読んでも、必ずしも聴けるようになるかは微妙である。自分でも変化があったかまるで分からない。

しかし3冊を読んで、共通点を見つけた。

3冊の共通点

その共通点としてはどの本も聴くことについてのプロが書いているということ。

「LISTEN」の著者はジャーナリストであり、インタビューすることが仕事である。インタビューを通じて、話を聴くことのプロである。

「動機づけ面接」はカウンセラーや医療関係者など、こちらも聴くことを仕事としている人に向けた本である。プロ用の専門書。

そして「まず、ちゃんと聴く」の著者は、株式会社エールというオンライン1on1という聴く場を提供する会社の代表である。

聴くをテーマに本を書く人たちなので、著者が聴くことのプロなのは当然かもしれない。共通点をみつけたというには、あまりに安直では?

だが実はそこにヒントはあると思う。

真剣に話を聴く場

インタビューやカウンセリング等で真剣に話を聴く場の経験について、プロ以外ではどの程度同じような経験があるだろうか。

インタビューとなれば良い記事にするためにも相手の話にフォーカスするし、こちらの意見を途中で差し挟むこともないだろう。相手の話をあらゆる角度から引き出すためにも、話しやすい雰囲気を作って様々な質問もするだろう。

つまり真剣に(プロとして)話を聴こうすると
そのような聴き方になるということ。

しかし、その職業以外の人にはそのような真剣に聴く場はあまりないはず。いや、厳密には1on1などそれに近い場はあるかもしれない。

ただ聴くに徹するインタビューのような場数は少なく、その聴き方に関する心構えもないのが普通かと思う。そして、ここは聴くべき場面だとは誰も教えてくれない。

インタビュワーになりきる

なので、最近聴くことが大事だなーと思われる場面はインタビュワーとなった気持ちで相手の話をしっかり聴いている。

まだほんの数回試している程度だが、こちらが聴くに徹するだけで相手は驚くほどたくさん話をしてくれる。

今のところ効果は抜群である。

自分がインタビュワーだと明確に割り切って、その役に徹すると、副産物として自ら聴き方のヒントも多く発見できる気もしている。聴くことに集中しているからこそ気付くようなこと。

例えば相槌のパターンとして、単に頷くだけ、相手の発言をリピートする、リフレーズなど、色々な選択肢がある中で適切なチョイスで相槌できたかは、以前考えたこともなかった。が、今はそのバリエーションとチョイスを常に意識しつつ話を聴いている。

まだ試行錯誤中ではあるが、聴くことについて最近の学びがあったので書いてみました。もし参考になる点が少しでもあれば幸いです。

長文をお読みいただきありがとうございます。

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