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スズキと嶽きみの低温調理、紫蘇の風味

「スズキと嶽きみ」と書くと、何となくフォークデュオのようですが…夏の名残を痛感する気候の中、今が旬のスズキとブランドとうもろこしの「嶽きみ」を用いて低温調理をしてみました。「嶽きみ」は8月下旬から9月中旬頃が旬とされるので、秋になる直前に楽しめる夏の味覚です。幾つか低温調理を行う中で、変わり種の調味液で低温調理を行ってみたらどうなるだろう?と気になったのも、原動力です。今回は嶽きみをピュレにして試してみました。

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ちなみに、「嶽きみ」については、低温調理の前に別の調理を行いました。購入した青山ファーマーズマーケットの出展者(佐藤農園)さんから教えて頂いた、とうもろこしの甘みを引き出す方法です。そちらについても、後ほどご説明いたします。

スズキのタンパク質組成と適切な設定温度について

スズキは分類で言うと「スズキ系スズキ目スズキ亜目スズキ科スズキ属」と、固有の魚になります。ルアーフィッシングではシーバスと呼ばれる夏の好敵手ですね。

タフな見た目から想像できる通り、タンパク質は筋原線維タンパク質が多数を占めるようです。少々古い論文ですが、以下のものを参照しました。
出典:鈴木 たね子;赤身の魚と白身の魚,調理科学,v.9,n.4,(1976)
https://ci.nii.ac.jp/naid/110001171419

筋原線維タンパク質は50℃から硬くなる魚。他の代表的な魚はタイやヒラメです。ただ、スズキの身質はタイ、ヒラメよりも硬質なので、温度設定はピッタリ50℃にしました。

【スズキと嶽きみの低温調理】の調理についての詳細

【低温調理機の設定と使用する調味料】
設定温度:50℃
設定時間:15分
調味料:薄口醤油小さじ1、嶽きみのピュレ100cc、紫蘇5枚ほど

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低温調理のご説明の前に、冒頭で記載した、とうもろこしの甘みを引き出す調理法をご紹介します。
【調理の手順】
1. とうもろこしをセイロで10分蒸す
2. 用意しておいた飽和食塩水(それ以上溶けなくなった塩水)に漬け、皮やヒゲを取る
3. 水から引き上げ、水分をふき取り、ラップで包む

これで甘みが引き出され、同時に粒にシワが寄りません!

【調理の手順】
1. スズキの表裏に塩を振り、20分〜30分脱水する
2. 同時に上記の「とうもろこしの甘みを引き出す調理法」を行った嶽きみをフードプロセッサーでピュレにする
3. 大葉をみじん切りにする
4. ピュレに薄口醤油と大葉を混ぜ、スズキと共に真空パックにする
5. 低温調理開始、出来上がり

【注記】
1.
※臭みの素を取り、塩気を浸透させるのが目的です
※調味液は嶽きみの甘みを活かすため薄味なので、振り塩で塩味を決めます

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実食!【スズキと嶽きみの低温調理、紫蘇の風味】

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嶽きみの強い甘みと心地良い風味がスズキに精彩を与えてくれます。スズキはあっさりした味わいですが脂と旨味があるので、嶽きみが浮きません。相互に支え合う感じですね。別途用意したバジルペーストを少量加えると良い味チェンになります。

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さらに、嶽きみのとうもろこしご飯と合わせました。同じ食材で別の調理を行うと、満足度が桁外れに上がります!希少性の高い嶽きみを余すところ無く楽しむことが出来ました。

ただ、低温調理の設定温度については、50℃より2〜3℃高くても大丈夫かも?と感じました。スズキの身質は元からしっかりしているので、多少火を入れた方が魅力が高まるかもしれません。また、脱水後に2日ほど寝かせてから低温調理すると、更に一体感が高まるだろうな…と確信しました。

低温調理はすればするほど新しいアイディアが生まれてくるので、理系研究者の心を惹きつけるのだと痛感しています(笑)

低温調理に関心のある方は、【低温調理器についてのブログ記事】をご参照ください。

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