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【weekly post】2021年6月アメリカ建設領域VC投資先Check

実は先週、大手ゼネコンに関する取り組みのまとめとかをweekly postに書こうと思ったんですが、思っていた以上にみないといけないものが多く、失敗しまして(時間が足りず断念)このマガジンを初めて初めて1週分飛ばしてしましました。

ってわけで、今回は気を取り直して、過去に建設領域のアメリカVCってことでご紹介させていただいていた「Brick&Mortal Ventures」と「Building Ventures」の6月の投資先を見ていこうと思います。

過去記事に関しては、2021年投資先のうち5月以前のものを掲載してますので、もしご興味あれば見てみてください。

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VCのご紹介(過去記事再掲)

・Brick&Mortar Venturesとは
2015年に設立されたサンフランシスコのベンチャーキャピタルで、建設関連のスタートアップへの投資を行っていて、シードステージからシリーズB程度までの新規投資だけでなく追加出資も含め行っています。

直近2019年夏には9,700万ドル規模のファンド組成を発表し、建設系の企業(建材、ソフトウェア、建機レンタル、ゼネコンなど)が中心となりLP参画しており、その中には日本の大林組も含まれています。また、LPとスタートアップの協業の可能性もあるとのことでした。

ファウンダーでマネージングディレクターのDarren Bechtelは、アメリカで120年以上続く世界最大級の建設会社Bechtel corporationの創業者の曾孫*で、兄のBrendanはBechtel corporationの代表に就任しています。(Bechtel corporationはLPとして入っていないので、CVCという感じではない)

(*曾孫か玄孫のどちらかのはず。。)

・Building Venturesとは
2017年、ボストンにできた比較的新しいVCで1号ファンドは、2018年に5,300万ドル規模でクローズしています。

既に20社程度に投資を行っており、ステージ感としてはシード~シリーズB程度までと前回取り上げたBrick&Mortar Venturesと同じような感じになります。

Brick&Mortar Venturesとの違いで言うと、Brick&Mortar Venturesは、建設領域を幅広くという感じだったのに対し、Building Venturesは、建築×持続可能性というような感じで、環境に配慮するような建設領域のスタートアップに投資をしています。

ファウンダーは、Jesse DevitteとTravis ConnorsでJesse DevitteはCADなどの建設向けソフトウェアをてがけるAutoDeskのVPも務めた経験があります。そのほかのメンバーも建設領域のスタートアップや大手企業にいた経験を持つメンバを中心に構成されています。

【損保向け請求管理】handdii(Brick&Mortar Ventures)

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ステージ:シード

調達金額:$3M

新規・追加:新規投資

リード・フォロー:リード

サービス内容等:

住宅向け損害保険における請求管理のサービスで、メインのユーザーは保険会社になります。

顧客の家で保険金請求が必要なことがあった場合、通常であれば修理業者を探し、見積もりをとって、保険会社が確認し.....と言ったフローが発生するので、フロー上で手戻りが発生したり比較検討に時間がかかったりしますが、このサービスの場合は、保険会社に代わって、地元の請負業者をネットワーク化し、請求のワークフローを標準化することで、顧客は業者選びが簡単になり、保険会社と請負業者も複雑な保険請求業務を効率化できるというものになっています。

現在は、水漏れ、一般的な機会損傷など簡単な修理においてアメリカの一部の州で提供が開始されているようです。(元々オーストラリアの会社)

【重機の自律化AI】SafeAI(Brick&Mortar Ventures)

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ステージ:SeriesA

調達金額:$21M

新規・追加:追加投資

リード・フォロー:フォロー

サービス内容等:

国内だとKOMATSUがこの領域で有名な気もしてるんですが、大型のダンプカーやショベルカー、ブルドーザーなどの重機の自律化を行うAIを開発しています。

新規で重機を買う必要はなく、既存の重機に対して、センサーやソフトウェアなどの「SafeAI Autonomous Kit」を取り付けることで自律化を実現します。

ConvertibleNote①→シード→ConvertibleNote②→SeriesA(今回)という感じでラウンドが進んできてるのですが、Brick&Mortar Venturesは、シードと今回で出していて、実はBrick&Mortar VenturesのLPである大林組(ちなみに大林組はここ2年程度で国内外6社に出資してます。)もConvertibleNote②と今回で投資してるようでした。

このほかにも今ラウンドでは、DG Venturesも出資してしていて、地味に日系の多いラウンドになってます。

【空調効率・空気質改善】Aeroseal(Building Ventures)

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ステージ:SeriesA(ファーストラウンド)

調達金額:$22M

新規・追加:新規投資

リード・フォロー:フォロー

サービス内容等:

Brick&Mortalの投資先とは少し毛色が異なりますが(VCの特色が違うので)こちらは、一般住宅やオフィスビル向けの空気質改善に向けたエアダクトシーリングなどを行う企業になります。

空調を使う際に温めた空気や冷やした空気を各部屋に運ぶために空気を通すダクトがあるわけなのですが、そのダクトの亀裂などから空気が漏れ出てしまうことで、部屋の温度を上げたり下げたりするのに必要以上のパワーを使わなければならなくなってり、その亀裂からホコリやアレルゲンが入ることで、空気質が悪化したりします。

特に商用ビルの場合、75%のエアダクトに漏れがあるようで、毎年$2.9Bの無駄になっているようで、同社のシーリング技術を活用することで、90%以上の改善率で漏れを防ぐことができます。

ちなみにBuilding Venturesはこのラウンドでフォローになっていますが、リードVCはビル・ゲイツやリチャード・ブランソン、ジョージ・ソロスなど名だたる実業家や投資家が参加し再生可能エネルギー分野などに投資を行うBreakthrough Energy Venturesが務めています。

まとめ

今回は6月分の3社のご紹介でした。

やはりBrick&Mortal Venturesは建設やその周辺領域ど真ん中という感じで、最後にご紹介したAerosealはBuilding Venturesらしい感じがしました。

1つ目にご紹介したhanddiiなんかは、国内マンション等の損害保険や火災保険でもかなり面倒があったりとか、コスト面で比較があまりなされてないなど同様の課題があるとの話を伺ったことがあります。日米で異なる業界慣習がある気がするので(日本っぽいなぁという慣習を聞いたことがあります。)そのまま日本でも同じことをすればってことはないと思うんですが、課題のフォーカスとしては面白いかもしれないですね。

最後のAerosealについては、個人的に面白いなぁと思いました。これは、日本だと戸建て向けは厳しいような気がしてるのですが、オフィス向けなんかは削減インパクトがめちゃ大きく出せる気がするので着眼点はすごく面白いんじゃないかと思います。

空調の電力使用量はまぁまぁ多いはずで、僕は夏前から早々とエアコンを動かし始めてるんですが、電気代の跳ね上がり方はすごく大きいですし、これはよく言われる話ですが、エネルギー消費が大きく環境負荷が高いものの1つにエアコンがあります。しかも今後この市場はさらに拡大されるとされています。現在日本では温度の細かな調節が可能なインバータ搭載エアコンが住宅用では100%となっていますが、海外を見てみると、アメリカでもインバータ搭載比率が16%(2018年)と低く、中国を除くアジアでも39%(2018年)、中東アフリカでは9%とかなり低く、そもそも電力消費が多いものが使われています。(インバータ比率等のデータはダイキン工業サイト参照)

こういった比率になっている背景にはインバータ搭載エアコンの価格が比較的高いことなどが挙げられ、所得の低い地域ではそもそも買えない状態になっていることもあるので、もし価格差的に、ノンインバータ×エアダクトシーリングを組み合わせることで空調効率を高めて消費電力も抑えられる、しかもイニシャルコストもインバータ搭載型より安いとなるなら、割と足元はこういった空調効率を高める技術などで凌ぐっていうのも需要として高まるのかなぁと思いました。

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