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【weekly post】2021年12月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in欧州

先週に引き続き今週も欧州の建設不動産系2021年12月分を取り上げていこうと思います。
最近ありがたいことに、「建設・不動産系見られてますよね」とか「建設・不動産のnote読みました」といっていただける機会が増えて嬉しいです。
これまで、投資検討でお話しをいただく起業家さんの事業領域って、建設不動産以外の領域が多かったんですが、今年に入ってから建設不動産ドンピシャの方から、建設不動産領域向け〇〇みたいなところまで、領域絡みのお話をいただく割合が増えていてありがたい限りです。

引き続き建設・不動産領域もそうですが、メディカル・ヘルスケア領域、教育領域は特に見ていきたいなと思ってますので(その他の領域ももちろん幅広にやっております)特にシード前後の起業家さんや外部調達ファーストラウンドで回ってるぞって方はお声がけいただけたら嬉しいです。
(ご連絡はこちらから!)

今回も前回に引き続き欧州ではあるんですが、12月分については欧州感のあるスタートアップは多くなく、結構アメリカっぽい企業が多かった印象です。
また、そもそも12月にファイナンスを行なっていた企業も少なかったので、今月はちょっと偏ったデータになるかなと思いますので、初めてご覧いただく方は、今回のデータだけで、「欧州の建設不動産スタートアップってこんな感じかぁ~」とはならないようにしていただければと思います!

12月のサマリー

今回のweeklyの対象になる企業は下記の通りで、該当する企業の数は9社でした。(11月の欧州の時にも書いたのですが、通常15社前後出てくるので11月に引き続き少なめの調達企業数になります。)

■対象企業
所在地:UK、スイス、オーストリア、イタリア
対象領域:建設・不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2021年12月1日~12月31日まで

2021年12月欧州建設不動産領域 ステージ別分布(シリーズAまで)

例月だと15社程度出てくるものなんですが、11月に引き続き12月も調達企業数は減少傾向に入ってまして、ステージの分布もSeedばかりといった感じでした。
調達企業数の傾向でいくと、USも大体毎月15社程度と同じような感じになっているのですが、USの11-12月は特に減少することなくいつも通りだったので各地域全てが減少傾向というわけではなさそうです。

ステージ別平均調達額

Seed偏重だったこともあり、PreSeedでの調達もなく、SeriesAも1社だったので、あまりこの数値はSeed以外参考にならないかなと思いますが、一応集計して載せておきました。
Seedについてはほぼ例月並みかなと思いますし、SeriesAについては、1社しかなかったのと大型調達ではなかったこともあり、8-9月水準の数値になりました。

調達企業の事業領域分布

調達企業数も少なかったので、例月でも少ない建材、建機などの領域は当然出てきておらず、いつも多い不動産関連ソフトが今月も多くなっているといった感じでした。
各社がやっている事業の内容自体も、何か環境に絡むようなソフトがあったりなど、欧州っぽさがあるかと言われればほぼなく、USでちょくちょく見るような内容が出てきているなぁという印象でした。

今回は、9社の中から唯一環境文脈っぽさがある1社を交えつつ3社ご紹介できればと思います。

①【オール電化オーダーメイドホーム】Nabr(Seed)

Nabr

設立:不明
所在地:UK
今回調達金額:$14M
調達総額:$14M
リード投資家:Zigg Capital(不動産テック系VC)
サービス内容等
すでにサンノゼでプロジェクトが進行し始めているようなのですが、サービスとしては、オール電化(っぽい)のオーダーメード住宅直販になります。Tのような感じで、waitlistに登録した上で、バーチャルのデザインスタジオにてインテリアデザインであったりオプションの選択などを行なって、欲しい家にカスタマイズを行い、そのままオンラインで購入してしまうというTeslaのような感じのサービスになっています。

面白いポイントとしては、もちろんカーボンニュートラルを目指した住宅であることや、オンラインで購入するという体験そのものもそうなんですが、購入の仕方も面白くて、従来通りのローンでの購入や(おそらく)所有権移転ファイナンスリースに加え、(おそらく)独自のLEAPプログラムが準備されています。
LEAPプログラムでは、1%の頭金を支払うことで居住者に対して、最大5年間住宅の購入価格を固定してくれるというもので、この期間中に不動産価格が上昇したとしても、価格を据え置いて買うことができるという仕組みを選択できるようにもなっています。

②【£1から購入可能な不動産小口投資】Proptee(Seed)

Proptee

設立:2020年
所在地:UK
今回調達金額:$66.8K(£51K)
調達総額:$66.8K(£51K)
リード投資家:Lebenheim Capital
サービス内容等
割とありがちな小口の不動産投資サービスです。が、今回取り上げた理由は、スマホでの取引を前提に作られたUIと1ポンドから購入可能という特徴が面白いなと思い取り上げました。

割とこれまでのサービスだと最低額などが決まっていて、ある程度の金額がないと買えなかった印象があるんですが、1ポンド(大体155円程度)から購入することができます。
また、不動産投資なので、当然毎月の家賃収入は還元されるのですが、メンテナンスコストなどを負担する必要はなく(不動産管理業社への管理料として、家賃報酬の10%が取られる)、不動産価格が上がれば、持分を売却することもできます。

③【空気質管理センサーとソフトウェア】Wiseair(SeriesA)

wiseair

設立:2019年
所在地:イタリア
今回調達金額:$1M
調達総額:$1.3M
リード投資家:Novum Capital Partners
サービス内容等
街中の空気の状態をセンシングする専用のデバイスと、行政向け及び個人向けに空気質を可視化するアプリケーションを製作している企業で、現在はイタリアで実証実験を行なっています。
空気質をただセンシングするだけでなく、交通、気象などのデータも統合し、あらゆる側面から空気質の分析を行なっているようです。
リアルタイムの空気質だけでなく、独自のアルゴリズムにより上記のデータなどを活用することで、時系列での予測も可能にしています。

空気質可視化ダッシュボード

ぱっと見公式HPには価格などが出ていないので、非公開なのかまだマネタイズしていないのかわかりませんが、いくつかのメディアを見てみると、将来的には行政だけでなく、企業の汚染物質排出削減に向けた取り組みも行うようなことが書かれていたので、可視化することで、Before-Afterが見れるようになる、また、施策ごとに削減インパクトを貯めれることを生かし、企業向けクリーンテックサービスとしてSaaSやコンサルティングなどで伸ばしていくのかなと勝手に想像しています

編集後記

今回は3社取り上げてみました。
冒頭でも書いた通りで欧州っぽさってのはあまりなかった印象がありますが、個人的に面白いなと思ったのは1社目のNabrでした。
オール電化や本編で書かなかったんですが、一応館内はアプリ制御できるそうですが、そういった面で面白さを感じたかというと、正直そこはあまり興味がなくて。。。
というのも、それによる付加価値が既存の住宅と比べたときに飛躍的に向上し、アップデートも今後かかっていくことで、さらにこう付加価値になるので、それがメインになって家を買うという行動があるようにはあまり思えなかったので…(もちろんイノベーター的な人が買うイメージはすごくわかる(僕の認識が浅すぎるという可能性は大いにありすぎるのですが…))
逆に面白いと思ったのは、買い方の部分で、カスタマイズ含めTeslaのようにオンラインで行なってしまうことや、もっとも面白かったのはLeapプログラムのところで(別にアメリカにしかないとかこのサービスにしかない仕組みではない)、5年間購入価格を据え置いてくれるというのは、日本だと正直物件価格は下がっていくので、メリットないですが、物件価格が上昇傾向にあるアメリカでは書いてにてっと非常にありがたい仕組みだなと思いました。

もう一つは3社目に取り上げたWiseairで、これが12月唯一の環境系という感じだったのですが、これは、ヘルスケア系スタートアップに近いような気がなんとなくしました。
ヘルスケア系のスタートアップって「可視化デバイス→データ活用による改善」というようなステップでサービスが変わっていってる印象を持ってるのですが、このサービスについても同様の変化の仕方をしていきそうだな雰囲気がありますよね。
ヘルスケアもそうですが空気質もかなり複合的な要素で出来上がっているような気がしているので、可視化した先でどの程度改善インパクトが出せるサービスになっていくのか楽しみです。

さて今回はこれにて終わりにしようと思います。
やっとこさ、2021年分が終了したので次回からは2022年分に入っていければと思います。

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