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お皿に魅せられて

 iittala表参道 ショップ&カフェで出会ったTeema(ティーマ)シリーズのお皿。器をよく見る前から、デザイナーのカイ・フランクさんの思想に惚れてしまった。

"必要な装飾は色だけ"

 皿を人間と重ねる。「自分の個性(色)を持ちなさい」と言われる時代。その「色」は決して外部から取り入れた派手な装飾ではなく、自分自身の内に秘める力でないといけないと思う。シンプルさから溢れる自信、そして美しさ。それを体現したのがTeemaではないかと感じた。

 洋服も結局は「何を着るか」ではなく「誰が着るか」が重要であって、モデルが良ければ何でも似合ってしまう。この皿も内に秘める美しさ故に、どんな料理とも合ってしまうのだろう。そんなことを考えながら、それぞれの色にどんな料理が合うか想像していた(料理は全くできない)。

 ワインレッドがデミグラス欲を掻き立てる。クラシックなデミグラスソースのハンバーグが一番似合う。時にはステーキと赤ワイン、そしてこのお皿のペアリングをしても楽しいかもしれない。

 このお皿にはカレーを入れたい。もったりしたカレー派の私はキーマカレーかドライカレーで。サイドにナンも忘れずに。ターメリックなカレーと小麦色のナンが見た目にも美しくなりそうな予感。

 青みがかったグレーが海を想起させる。どこか島国の料理を味わいたい気分に。ぱっとギリシャが思い浮かんだ。実際に食べたことはないが、このお皿が似合うであろうことだけは分かった。

 優しいピンク。母親の作るたらこスパゲッティを思い出した。マヨネーズ多めのもったりクリーミーな味。誕生日にリクエストするほど好きだったこの味、母親の優しさには「パウダー」という名前があったのか。

 心を落ち着かせる色。心地よい香りと共に食べたい。ハーブ多めのチキンソテーはどうだろう。気の知れた仲間とリラックスして味わいたい気分。

 シンプルなお皿の最もシンプルな色。この上に複雑性を持ち込むのは皿に失礼なことではないかと思わされる。これに相応しいのは田園調布の洋菓子店「SAVEUR」のバターケーキしかないのではないか。私の行きたいお店リストにも常に入っている。

 料理をできるようになれば想像の幅も広がり、器選びもより楽しくなるだろうと思う。料理だけでなく器まで味わうのも楽しそうだ。


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