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通いたくなる味と活気 #やき鳥宮川

 焼き場がステージならカウンターはA席。横から観賞できるこの席はプレミアシート。焼き鳥屋は横から見るのが正解だった。寡黙に焼き続ける白髪のベテランもいれば、ホールでバリバリ活躍するおっちゃんもいる。ひたすら唐揚げを揚げ続ける職人もいれば早くも厨房に立つ若手もいる。厨房に見るのはオヤジたちの活気とチームワーク。オヤジのオヤジによるオヤジのための焼き鳥屋だ(もちろん女性も)。

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 ここは焼き鳥屋だが、唐揚げが人気らしい。いきなり嚙みつくと火傷してしまいそうな熱さに耐えながら、内側の肉汁を一滴も無駄にしないように口を閉じる。我慢の先にある美味しさ、揚げたての唐揚げを食べる醍醐味。ザクザクの白い衣がビールを呼び、仕事終わりの身体に開放感のエンジンをかける。

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 肉豆腐を頼む声が聞こえる。つられて頼む。席同士が近い居酒屋は他の客を参考にして何を食べるか決められるから好きだ。赤茶色の鶏を白い葱と一緒に口へ放り込み、ワンテンポ遅れて豆腐を入れる。味に染まった鶏肉と純白の白葱は言うまでもなく相性がいいし、豆腐は見た目の色濃さに反して相変わらずの優しい味で私を迎える。

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 隣の客がシュウマイを頼む。出来立ての湯気が私の鼻をかすめ、隣に運ばれる。すかさず私もシュウマイを頼む。タネに混ぜ込まれたきくらげが咀嚼にリズムを与え、大きく頬張っても一口を間延びさせない。飽きない美味しさ。コロナの心配はあるが、居酒屋は繁盛していてこそ、皆で"うまい"や"おいしい"をつくり上げている場所だとつくづく実感する。

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 タレを纏った大切りのレバーは妖艶さとワイルドさを兼ね備える。この味と食感は子どもには分からないし、大人の愉しみとして秘密にしておきたい。そんな優越感のような、後ろめたさのような味を感じさせる。それにしても、レバーがうまい店は何でもうまかった(自分調べ)。

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