脱プラスチックのお手本にしたい!優れた日本の紙のリサイクルの状況について!
レジ袋有料化以降、紙ストローや木製カトラリー等を見かける機会が増えたと思います。今後紙容器も増えていくと思いますので、今日は紙とリサイクルの事情についてお話させていただきます。
紙のリサイクル概況
2019年の紙・板紙合計の古紙利用率は64.4%、回収率は79.5%となっています。日本は、古紙の回収システムが整備されており、利用率・回収率は世界でもトップクラスにあるといわれてます1)。
これはすごい数字で元々紙はプラスチックと異なり、「再生可能で生分解可能」な資源です。このため、木を植え続ける限り利用可能で、廃棄処理の過程で環境中に漏れ出たとしても海洋プラスチック汚染は引き起こしません。
それに加えて約8割は回収されて、その大部分が新しい紙となってまた利用されているということになります。こんなエコでリサイクルが回っている資源中々ないと思います。
一方、プラスチックはリサイクル率こそは86%と紙より多いですが、その半分以上はサーマルリサイクルと言って燃料にされています。プラスチックをプラスチックに再利用する割合は低いのです。このため、利用されるプラスチックの大部分は初めて新しく作られ、最後は大半が燃料になります。
さらにプラスチックは「石油由来で有限な資源でほとんどが生分解しません」。ポイ捨てや偶発的に環境に流出すると海洋プラスチック汚染を引き起こします。
プラスチックと比較すると紙は地球に優しい資源である上に、長く大切に使うための仕組みが既に日本経済に存在していることが分かります。
リサイクルできる紙とリサイクルできない紙
紙コップは紙でできているのに水が漏れないのはなぜでしょうか?それは紙の内側にポリエチレンフィルムが貼ってあるからです。これは「紙だ!」と思ってたくさん使ったり、ポイ捨てしたりは絶対にやめて下さいね。
このようなタイプの紙はラミネート(紙にプラスチックが貼ってあるという意味)と言って、リサイクルの際にパルプとプラスチックの分別が難しいためリサイクルできません。
また、汚れ過ぎたもの匂いが付いたものなども、紙にリサイクルしたときに匂いや汚れが残ってしまいますので、リサイクルはできません。
これらのリサイクルできない紙は「もえるゴミ」になります。
※これは一般論ですので、詳細は回収業者や自治体に確認してください。
リサイクルできる紙
リサイクルできる紙の代表例は以下の通りです。
・新聞紙
・段ボール
・コピー用紙
・牛乳パック
・紙箱(ティッシュペーパー箱、お菓子箱、たばこの箱など)
・包装紙
・パンフレット
・ポストに投函されたチラシ
・封筒(窓付き封筒はNG)
・はがき
・紙袋
・トイレットペーパーの芯
・値札
・商品タグ
・台紙コピー用紙
・厚紙
・折り紙
・画用紙
・ボール紙
・カレンダーなど
※これは一般論ですので、詳細は回収業者や自治体に確認してください。
リサイクルできない紙
リサイクルできない紙の代表例は以下の通りです。
・鞄や靴の緩衝材
・匂いや汚れ、食品残渣のついた紙
・ワックス付き段ボール
・マスクなどの不織布(プラです)
詳細はhttps://note.com/susecoplant/n/ne7b4fbf35b5dに書きました。良ければ併せてお読みください。
・紙おむつ(プラです)
・ラミネートされた紙(紙コップなど)
・裏が銀色の紙
※これは一般論ですので、詳細は回収業者や自治体に確認してください。
牛乳パックのちょっとイイ話
牛乳パックは中の牛乳が漏れないようにポリエチレンフィルムがラミネートされております。また、生鮮食品を入れていて洗っても多少牛乳や匂いが残ります。このため、原則論はリサイクルできない紙に分類されるように思えます。しかし、リサイクルすることができます。
牛乳パックがリサイクルできるようになったのには以下のような取組があったからです。
1984(昭和59)年、山梨県大月市の主婦グループ「たんぽぽ」は、上質なパルプの紙パックが捨てられていることはもったいないと思い、日本で初めて紙パックの回収に取り組み始めました。
しかし、「禁忌品」であった紙パックを紙資源とするためには、量を確保すること、集めた紙パックを保管する場所、中身が腐ること、ポリエチレンを除く設備が必要なこと等多くの課題がありました。
「たんぽぽ」は、古紙回収事業者や家庭紙メーカーをはじめとして多くの関係者と連携し、「洗って・開いて・乾かして」というひと手間かけることによって紙パックを資源とすることに尽力しました。こうして海外とは異なる日本独自の高品質な再生品へのリサイクルの仕組みができました。2)
2) http://www.yokankyo.jp/cat01.htmlより
リサイクルできる紙は分別して出そう
紙はその姿によってリサイクル先が変わります。段ボールは段ボールになりますが、牛乳パックはトイレットペーパーなどになります。このため、回収に出す紙はきちんと分別して出しましょう。牛乳パックは牛乳パックだけで、新聞紙は新聞紙で、雑誌は雑誌で、雑紙(ティッシュをはじめとした箱類)は雑紙でまとめて出してください。
こうすれば別々に工場で新しい仕訳けが発生せずにスムーズにリサイクルできます。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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