コンサルの潮流 Part.2
前回の「コンサルの潮流 Part.1」で、数年前から起こっているコンサル業界のあたらしい潮流は、以下の3つと説明しました。
1.事業投資
2.高級派遣
3.フルサービス
Part.1で、『事業投資』の説明をしたので、Part.2では、『高級派遣』について説明していきます。
高級派遣とは?
コンサルといえば、大企業の経営層に対するアドバイザリーが中心でしたが、経営層よりももう少し下の層である部長や課長クラス向けの支援が増えています。
具体的には、
・事業戦略の策定・実行支援
・説明資料作成
・プロジェクトマネジメント
・会議のファシリテート・議事録作成
・社内コミュニケーション(政治)
などなど。
これらは、経営層むけのコンサルティングに比べれば難易度は低く、事業会社の社員でもできるような内容もあることから『高級派遣」と呼ばれています。
『高級派遣』というと、やや馬鹿にしているに聞こえるかもしれませんが、これはこれで企業に必要とされている役割です。一方で、どのコンサルにおいても、現在の収益を支えているのは、間違いなくこの『高級派遣』です。
なぜ、高級派遣コンサルが増えたのか?
企業がもとめる理由
コンサルを雇う会社の視点でみると、
『人財不足+給与体系が柔軟でない』からです。
大企業では、新規事業の策定、M&A、システム導入、組織改革など、会社の成長のためにやらなければいけないことがたくさんあります。
さらに、テクノロジーや社会の変化スピードがはやいため、それに対応するために、変革をし続けなければなりません。
そのため、それぞれのプロジェクトを推進できる優秀な人財が不足しているです。
不足しているなら、コンサル会社の優秀な人財を、自前で雇ってしまえばいいです。しかし、コンサル会社の人間の給与は高いです。
同程度の給与を支払うとなると、社内基準の2~3倍になりますが、日本の大企業では、そのような給与クラスをつくることができません。また、ほかの社員から不満もでるでしょう。
そのため、優秀な人財を獲得するために、わざわざコンサル会社から高級派遣してもらうのです。
ただし、給与で支払うよりも、高い金額を支払うことになっているのは言うまでもありません。
コンサルが求める理由
コンサル会社の視点でみると、
ズバリ!『儲かる』からです。
経営層向けの案件は、一つの企業にたいして複数プロジェクトを走らせることはありません。
しかし、ミドル層向けの案件は、複数のプロジェクトが同時に走ります。よって、コンサル会社はプロジェクトの数だけ稼げるのです。
くわえて、高級派遣の場合は、プロジェクトの難易度が相対的に低いため、コンサルに入ったばかりのジュニアクラスでも、あるていどの価値を出すことができます。
ジュニアクラスは給与も低く、利益率が高いため、ジュニアクラスの稼働率を高めることで、利益を増やすことができるのです。
このような理由で『高級派遣』は近年、急増しています。
高級派遣=常駐型
高級派遣の場合は、社員といっしょになってプロジェクトを推進するため、コンサルタントがクライアントの現場に入り込む『常駐型』のプロジェクトが多いです。
どのようなコンサル会社であっても、プロジェクトの半数以上は常駐型だと思います。とくに、業務改革やシステム導入はほとんどが常駐して行います。
わたし自身も、これまでのプロジェクトの大半は『常駐型』でした。最初は、つねにクライアントに見張られているような気がして、やりづらかったですが、そのうちに慣れました。
逆に、おなじ場所で仕事をしていると、必然的にコミュニケーションも増えるので、へんに警戒されることもなく、仕事を進めやすくなったという経験の方が多いです。
地方の常駐もある
また、都内のみならず、地方企業への常駐プロジェクトもあります。
わたしは、大阪のプロジェクトにアサインされていた時期があり、月曜の朝(または日曜の夜)に大阪に入り、月~金はホテルで生活をし、金曜の夜に東京に帰ってくる、という生活を2年ほど続けました。
当たり前ですが、ホテルなので、毎日、かえったら部屋がきれいなっています。
さらに、常宿なので、金曜のチェックアウトのときに、ワイシャツから下着まですべてクリーニングにだして、月曜に受けとる(毎週、部屋においてくれていました)という生活。
部屋の掃除や洗濯から解放されて、とても快適でした。
急拡大の影響
話をもどしますが、この高級派遣を拡大するためには、コンサル会社は、コンサルタントの数を増やす必要があります。
とはいえ、いきなり優秀なひとを大量に採用することはできませんので、新卒でも中途でも、ハードルを下げて、質よりも量を重視して採用しています。少しぐらい不安であっても、とくかく採用してしまえ!という風潮です。
そのため、コンサルタントといっても、正直、レベルの差がかなりあります。もちろん優秀なひとはいますが、一方で、まったくできないひとも混じってしまっています。
とくに、有名で、大きなコンサルファームは、近年、その傾向がつよいです。わたしの会社もおなじです(ひじょうに残念)。
逆にいえば、コンサルを採用する企業も、ひとくちに『コンサルタント』といっても、当たりもあれば、はずれもある、ということを理解した上で、どのコンサルを採用するのかを、吟味しなければなりません。
提案書の内容とプレゼンだけで判断するのは危険です。
もし、コンサルを選ぶコツを知りたければ、ご連絡ください。
また、思ったよりも長くなってしまったので、「フルサービス」については次回にします。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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