協会設立のご報告〜私たちなりのサステイナビリティへの挑戦〜
皆様、はじめまして。
一般社団法人日本サステイナビリティ推進協会
代表理事の斉藤圭祐です。
この度、協会の設立にあたり、私たちの活動内容について、設立の背景と共にお伝えしたいと思います。
■何を目指す協会なのか
どこか遠く感じていた環境問題も、世界的な規模で広がった気候変動抑制のためのデモやそのきっかけとなったスウェーデンの10代の環境活動家グレタさんの登場、世界銀行や機関投資家のコメント、SDGsを掲げて動き出す大企業のニュース、私たちにとっても身近なレジ袋有料化やストローやペットボトルなど削減の動きがあり、本当にまずい状況になってきているという認識が一般の生活者の中にも出てきたと思います。
実際、2015年のパリ協定を経て、国連で設定された持続可能な発展のための目標、通称SDGs(Sustainable Development Goals)が発表され、2030年という一つの区切りまでにどうしたら目標が達成できるか、世界中が動いているのが現状です。
こういう問題があるよね、なんとかしなきゃいけないよね、というフェーズから、このままでは本当にまずいので、この計画で、こういう施策を打ちます、という完全に実行をせざるを得ないフェーズに移行しました。
その中で、私たちは、どのようなことに挑戦するのか。
この持続可能な発展という大きな課題の中で、私たちは以下のことにフォーカスして活動をしていくと決めました。
それは、
"何かを生み出せる、作り出せる人"が、
当たり前にサステイナビリティの視点を持つこと
そして、
そこから生まれるプロジェクトを、様々な形で支援すること
私たちは、サステイナビリティ推進という課題に対して、何かを作り出せる人と共に選択肢を世の中に提供し続けることで挑んでいきます。
幅広い分野や要素を含むサステイナビリティという言葉の中で、
なぜ"何かを生み出せる、作り出せる人"に特化するかということを説明させてください。
そもそも、私たちの生活する社会の多くは、良いものも悪いものも、誰かしらの意志のもとで、生み出されたもので構成されています。もちろん、偉大な自然環境は別ですが。
一番大きな理由として、生活者全員が、全てを意識的に選択すること、は難しいと思っているからです。また、それぞれ生活している状況や社会的環境が異なるので、それぞれにとっての最適(良い/正しい)は常に変わります。
私たちがこれまでの生活の中で、繰り返し行ってきた選択や消費は、様々な問題を生んできてしまいました。生態系のバランスや気候変動、人々の人権や健康問題まで。
それは、無意識または表層的な理由で、選択・消費するものが、実はどこかに負の影響を与えてる可能性があるということです。
生活者の行動を喚起し啓蒙することも本当に大切ですが、私たちは、"何かを生み出す、作り出す側”が変わることで、結果的に良い循環に繋がるではないかと考えています。
もちろん、何かを生み出すのが、起業家やデザイナーだけではありません。
町の有志や青年会で行う町のイベントやお祭り、ママパパが子供に作る料理やアイテム、友達と楽しむキャンプやBBQ企画だってそうです。
何より、色んな問題や課題がある中で、私は何かを批判や否定をし続けるよりも、提案し続けていた方が、すごくポジティブだなと感じるのです。
そして、提案だけではなく、実現してしまうというのが、本当のリーダーシップだと思っているからです。
■どうやって実現するのか(提供サービス)
大きく3つのカテゴリーで、ビジョンに向かって活動していきます。
①学びの共有
サステイナビリティに関して、包括的に捉え、それぞれの行動指針を得ることを目的とした講座を提供します。サステイナビリティの原理原則や周辺要素、そもそもの歴史背景、世界や企業の動向などを振り返り、実際のアクションにつなげるためのフレームワークを体系化したものです。
<サステイナビリティ・シンキング講座> ←詳しくは、こちら。
こちらはの講座は、専門知識などは必要なく、誰でも受講することができます。すでにSDGsの文脈で活動している人にとっても、改めて頭の中を整理し、どこに向かっていくのかのヒントになると思います。
協会としての考えになりますが、この講座で専門的なデータやエビデンスを掘り下げていくことはあまりしません。なぜなら、専門的なデータやエビデンスは、知るためにあるのではなく、使うためにあると考えているからです。あくまで、包括的な理解と行動指針を得ること、この2つに絞ります。もちろん、しっかりと現状を把握することは大切ですので、別途コミュニティの方で皆で共有できたらと思っています。
②コミュニティ
学んで終わりではなく、プロジェクトを実現していくために必要な情報やデータをSNS上やクラウドのフォルダで共有し合い、共に進んでいくためのパートナシップを作るためのクローズドコミュニティを提供します。同じ方向を進んでいるのに、それぞれがプロジェクトの資料や企画を考える時に、同じようなリサーチと手間をかけて作るより、使えるものは共通のフォルダでもち、どうしたらそのプロジェクトが加速するか、面白くなる視点はないかと探せる方が生産的ですよね。
また、知ってるようで知らない社会の仕組みや構造に目を向け、なかなか話の聞けない専門家やアカデミアの方へのヒアリングをして、それを共有するなどのコンテンツを考えています。
プランによりますが、私と理事である坂野による月に一度個別相談会(60~90分)を設けて、具体的にプロジェクト実現に向けた動きをサポートできたらなと思っています。
対象の制限は特にないですが、こんな方に集まってきて欲しいなと思っています。
・企業の中で事業計画やSDGs推進、新規事業、マーケティング担当で、本質的な理解とプロジェクト化を進めたい方(また急に無茶振りされた方)
・自治体や町づくりの関連でSDGsの促進を始めたが、伸び悩んでいる方
・地域の活動家やNPO団体で、新たなパートナーシップをつくりたい方
・商店やブランドオーナーで、中長期的な発想で変化していきたい方
・クリエイターやデザイナー、広告PR関連で表現物やビジネスモデルを変えたい方
・素敵なママパパ
・環境問題や社会問題に関心があり、活動している/これからしたい学生
私自身も、参加者の一人です。自分の株式会社での事業やプロジェクトを進めていく上で、ここで共有しながら進めたいプロジェクトがあります。(案件が色々あるので、パートナーを見つけたい)
コミュニティに関する情報は、協会Facebookかwebサイトにてお知らせします。
※尚、コミュニティ内の情報やコミュニケーションの質を担保する上でも、サステイナビリティに関する捉え方やスタンスはある程度整えておきたいので、サステイナビリティ・シンキング講座を受講をしている方メインにしたいと思っています。
※全く問題ないレベルの知識や理解、行動をされている方は、別途ご相談の上、検討させていただきます。
③機会づくり
そして、世の中にどんどん新しい素敵な選択肢が生まれていくように、デザイナー/クリエイター(想いを持った人)が活躍するための機会を提供していきます。今までのクリエイティブアワードやビジネスコンテストとは異なる評価軸と仕組みで構築したアワードの開催。また、実践的な学びを共有しあえるカンファレンスなどを開催していきたいと思います。
優秀な人をスライドさせるには、課題だけではなく、周辺の環境も整える必要があると思っています。それは、ステータスやキャリア、お金、そして繋がりなど様々です。時代は少しずつ変わりつつありますが、まだまだ足りません。企業や投資家、自治体などを巻き込みながら、どんどん場を提供していければと思っています。
....こちらは、2020年秋頃をお楽しみに。
上記の3つを主な提供サービスとして、活動をしていくのですが、
特に大切にしていることを、補足させてください。
サステイナビリティは分野的にも、関連ワードに色んな横文字が多く、理解するのが難しいと思います。私もその一人でした。
そこで、どんな日本語であればしっくり来るのかと考え、この言葉にたどり着きました。
"誰かに、どこかに、しわ寄せがないか"
それはつまり、一歩立ち止まり、包括的な視点を持つということです。
自分が選択すること、作ろうとしていることは、どこにつながっているのか。そこに、どんな人や社会、自然環境への影響が考えられるのか。と、想像を広げることです。
わたしたちの考えるサステイナビリティは、ここから始まります。
そして、このことを私たちは「サステイナビリティ・シンキング」と名付けました。
時間をかけて専門性を学ぶことももちろん大切ですが、最初に原理原則や全体のことを把握すること、どう動けばいいかベクトルを示すことができればあとは、いくらでも自分で情報を探し、研究を始めて動くことができると考えています。
なぜなら今までの歴史の中で、違和感に気付き、行動してきた人たちの意志とその痕跡を、インターネットを使って知ることができるのだから。
■なぜ、やるのか?
環境問題にも、社会問題にも、色んな意見があり、それに対しての動き方も様々だと思います。
どのようなことが、私たちらしく、本当に未来につながる動きになるか考え続けてきました。
その中で、自分自身の経験を振り返り、ブレない想いや大切にしたいこと、そしてずっと感じてきた違和感が明確になってきたのです。
それは、人の意志の力を信じていることと、人の知恵の使い道についてです。
いつだって、時代をひっぱるのは、誰かの意志だ。
私は、そう思っています。課題やニーズがあり、マーケットがそこにある。だから、商品やサービスを作り、解決するのだと。昔も、今も、フィールドや手段が変わっても根底のところは変わらないはずです。
私自身、社会人経験は10年足らずですが、本当に色んなジャンルの面白い方と出会うことができました。
新卒で入社した広告会社では、「なぜそんな面白い企画を考えることができ、実現することができるのだろう、、、それも複数同時に。」と、面食らう優秀なクリエイターやプロデューサーの方が沢山いました。
個人でベンチャー企業の立ち上げや新規事業のグロースに携わっていた時に出会った起業家や専門家の人たちから、本当にまっすぐでピュアなこれをやりたいという想いと実現に向けたパワーを感じました。
独立後も、様々なアツい意志を持った方と、色んなプロジェクトを作る機会をいただきました。
一方、本当に素敵なプロジェクトを進めている方に沢山出会えた中で、違和感を感じる時もありました。でも、数年間、それがなんなのか明確にはならなかったのですが、最近になりようやく言葉として表せるようになったんです。
それは、商品やサービスを作るプロセスや前後においての影響についてあまり考えていない、いや考えていないというより視点にそもそもないという感じでした。
もちろんストレートに、社会問題を、社会が循環する形でサービスをつくられている素晴らしい方も沢山いらっしゃいますが、それ以上にそう感じる時がありました。
こうした状況には様々な要因が考えられると思います。
それは、経済やテクノロジーの発展のおかげで、ある一定のレイヤーでは、自由に選択し構築する事で、様々なビジネスやコミュニケーションが設計できるようになったこと。表層的な部分で工夫を繰り返し、素晴らしいことをしていると、ある一部的な評価軸の中で評価され、それが良いとされ、フォロワーも出てくるという循環が存在するからだと推測します。
お伝えしたいこととしては、シンプルで、素敵なアイデアやサービスなのに、どこかにマイナスを生んでしまったら、もったいないということです。
すごく極端な例を出すと・・
女子高生にあるお菓子を売るというミッションがあった時に、誰も思いつかないような切り口で、最新のコミュニケーションツールで、爆発的なヒットにつなげるといった施策があったとしましょう。
その時に、そもそもそのお菓子ってどうつくられたんだっけ?そこに使われている原料って、どのように調達されたのか?商品を売ることによる健康やゴミ問題って?など、考える人はほどんどいないでしょう。
もしかしたら、違法な児童労働につながるもの使用しているかもしれないし、そのお菓子を食べる習慣が今後のライフスタイルに影響を与えるかもしれません。
極端な考えかもしれませんが、ものを売る、そのサポートをするということは、そういうことも含まれます。だから、責任があるんです。
また、もう一つ例を出します。
ある起業家が、過疎化して超高齢化が進んでいる町のおばあちゃんのために、月額で小分けの袋に入ったサプリメントと冷凍お惣菜を届けるサービスを始めたとします。
一見、おばあちゃんの買い物や栄養バランスを補う良いサービスだなと終わりそうなんですが、リスクと副産物的な問題があります。
認知症予防には、運動や睡眠、食事などの沢山の側面のアプローチがありますが、一番は人に会うことだと言われています。頑張って30分かけて歩いて、野菜を買いに行って近所のお友達と会う機会を減らすことにつながるかもしれません。頑張って料理をするという、気持ちの切り替えと体の感覚を保持する習慣がなくなるかもしれません。
また、定額で送り続けることで、小分けにすることで、必ずプラスチックのゴミが出続けます。食材の栄養バランスが良いという一方で、その野菜はコストを抑えるため、農薬を使用し、大量生産したものかもしれません。
このように、分解して、包括的に見てみると、見えてこなかったものが見え始めます。
決して、ツッコミを入れて、否定的にサービスを止めたいわけでも、つまらなくしたいわけじゃなく、もう少し包括的に捉え、視点をずらしたり、ケアする部分を増やすことができれば、もっといい影響を生み出す事業になるということを伝えたかったのです。
特に起業家や経営者は、売り上げとステークホルダーのことが頭から離れません。なんとかしないといけない時期もあります。
どんな人でも、明日どうやってご飯を食べるかという状況の時に、中長期のことなどは考えられません。だからこそ、最初の発想時、見直す体力のある時に、知恵の使い道を少しズラしてみる必要があります。
事例が少し長くなりましたが、
優秀な人やまっすぐな意志を持った人というのは沢山います。
だからこそ、知恵の使い道を、少しだけスライドさせることに意味があると思っています。
長くなりましたが、
なぜ協会として活動していくのかという問いに答えるとすると、人の意志の力を信じているからこそ、知らぬ間にどこかでマイナスの影響が出ているという状態を極力なくしていきたいからです。
そのために、できるだけ簡潔にサステイナビリティの原理原則と構成要素を知り、本質を捉えることを目的とした講座の提供と、実現のためのコミュニティと機会づくりをしていきます。
■最後にメッセージ
色んな横文字で溢れて、気づくと6000字を超える文章となり、大変長くなりましたが、お伝えしたいことは割とシンプルです。
基本的に、好きなことをすればいい。
ただ、当たり前に自然環境や社会に配慮した上で。
必ずしも、直接的に環境問題や社会問題の解決をビジネスにする必要はないと僕は思っています。そこに、自分のやりたいと思える意志や分野がなけらば、どこかで辛くなってしまう。これは、周りの起業家や経営者を近くでみてきて感じていたことで、自分自身もそうだったからです。
自分のやろうとすること、選択することの過程や前後の影響を、客観的に捉え直して、対応していくこと。
要は、好きなことをすることの責任を、自分でとるということです。
当たり前に、サステイナビリティの視点を持った素敵な人が、少しずつ増え、共に今と未来に向かって、歩めることを楽しみにしています。
"僕たちの知恵の使い道は、まだまだある。"
一般社団法人日本サステイナビリティ推進協会
斉藤圭祐
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