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【裏切り者】

月曜日の夜。
夫のふとした言葉でフラッシュバックした。

私を責めるのをやめてくれ、と言ったけど
夫は1度で止まらなかった。

自分の気持ちを言葉にするのに
一生懸命だっから、蔑ろにされている気がして辛かった。

目を瞑って前のカウンセリングを思い出した。
殺してやろうか、と母に思うなら
それを止めずに頭の中で実行すること。
思い出したから、心の中にいる母の顔を
何度も何度も踏みつけにしてみた。

母は動かなくなって、何も言わなくなった。

罪悪感が襲ってきて、モヤモヤした。
母と同じことをしているんではないか、と
スッキリしなかった。

誰にも言えない、と思った。
自分が親を想像の中で足蹴にしていることを
夫に言えないと思った。

金曜日の朝。
ちょっとした言葉で夫がイライラして
私にチクチクした言葉を言った。
辛い気持ちだけど、娘を保育園に送った。
園で準備をしてたけど、頭の中はぐちゃぐちゃだった。
今にも泣きそうになっていて、
ここではまずい、と足早に園の門を開いた。

その瞬間に「裏切り者!!」と心の中で聞こえた。

裏切り者?
だれが?私が?

心の中の母はもう一度言った。

裏切り者!お前は裏切り者だ!

過去が蘇る。
1度だけ弟が母に反撃した時のこと。

殴り掛かる母を弟がドン!と押したのだ。
母は壁によりかかるように後ろによろめいた。

次の瞬間、母号泣。

裏切り者!親に手をあげるなんて!
お前なんて生まなけれよかった!
殴られた!こいつに殴られた!
なんとかして!

私は呆然とした。
やり返した弟にもびっくりしたし、
強く押されてもないのに
号泣する母にも引いた。

思い出していたらいつのまにか
自宅のエレベーターに乗っていた。

ボタンを押しながらムクムクと怒りが湧いてきた。



私が裏切り者?頭の中でお前を蹴ったから?
私が、裏切り者?
自分のことは差し置いて?

誰もいなくてよかった。
口から勝手に言葉が溢れる。

ふざけるな!
お前と!一緒にするな!
たった1度蹴られただけで何が裏切り者だ!
自分がこどもにしてきた酷い仕打ちを思い出せ!
こどもに不幸になってほしいのか?
普通は幸せを願うやろ!
ああそうか、お前は普通じゃなかったな
自分がやってきたことを反省もできない
無意味で価値のないやつだ!


リビングで一通り声を出して罵倒したら
ポロポロ涙が零れてきた。
母に向けて言った言葉が自分を指しているようで

私は価値がない
何も出来ない
普通に生きたいけどできない

こう思って生きていたから
母に向けて言った言葉が自分の事だと思った。

怒ったらママは静かになったけど
というかいつも通り反撃したら
無視しているというだけだけど

心の中がぐちゃぐちゃ。
言葉にできているのか、伝わるのかわからない。

私は【裏切り者】なんかじゃない。

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