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SummerSoul

「大人の人にどうかと思ったけど、懐かしく思ってくれたら」
と打ち合わせに行った先で出してくれたカルピス。

口が広めのコップで、持ち上げて飲もうとすると、氷が動いて、カランと音がして、コップを置くときにコロンと音がする。

空調の効きすぎた会議室で汗をかきながら、持ってきた資料を丁寧に説明しているFくん。
お客さんも、うなづきながら資料を見てくれているので、説明は伝わっているみたい。

昨日、ひとり残って資料を作ってたFくんは、とてもつらそうに見えて、
「期待に応えたいから、もう少しやっていきます」

資料を説明しながら、今もつらそうなまま。
説明の合間に、静かになるとカラン、コロンと音がして、真剣な空気が少しだけ穏やかに。

「カルピス、とても懐かしかったです、ごちそうさまでした」
お礼を言って外にでると、日差しはまだ強くて、少し歩いただけで、引いていた汗が吹き出てくる。

みんな、夏には優しいから、
こんなに暑いんだから仕方がない、なんて言い訳も夏なら許してくれそうで。

誰かの期待に応えたい。
その誰かが、思い描いているFくんは、きっと、もっと楽しそうだから。

つらいことは全て夏のせいにして、少しでも楽しくなりますように。

カルピスを買って帰ろうかな。
カラン、コロンと上手く鳴ってくれると良いけどね。

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