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【世界お茶まつり2022「ポタリングで楽しむ恋茶ロード」】SURUGA Cycle Journal Vol.92

3年に1度、静岡県で開催される世界的なお茶の祭典「世界お茶まつり」。2022年はその開催年です。今回は世界お茶まつりの開催に合わせて、お茶畑が広がる牧之原台地をポタリングでご紹介していきます。

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▼世界お茶まつり2022
https://www.ocha-festival.jp/

日本一の大茶園

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牧之原台地は大井川下流の平野と菊川との間に広がる標高100〜200mの台地。島田を軸としてヤツデの葉のような地形で広がり、最南端の御前崎まで28kmも続きます。明治以降、茶の栽培に成功してからは台地の90%が茶園となり、現在では静岡の茶の生産量の40%を占める日本一の大茶園です。大茶園には「恋茶ロード」と名付けられたウォーキングコースがあります。見渡す限りの緑の空間。時には喧騒を離れて、静岡の誇る大茶園の中を、香りと景色を楽しみながら歩くのもいいものです。でも牧之原大茶園は広大です!今回はそのスケール感も堪能するため、恋茶ロードからさらに足を伸ばして、自転車で牧之原台地周辺をポタリングしてきました。

▼恋茶ロードの旅
https://www.chagusaba.jp/wp/archives/category/koicha

ナビゲーターは、ロードバイク女子YUKAさんと、弊社サイクリングプロジェクト「ふくへんヒラタ」です。そして相棒は、牧之原台地の坂も難なくこなすパワフルなE-BIKEデイトナポタリングバイクです。それでは行ってみましょう!

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▼デイトナポタリングバイク
https://www.potteringbike.jp/

空港からのパノラマが気持ちいい!

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恋茶ロードのスタート地点は「富士山静岡空港」です。牧之原台地の上に位置する空港は見晴らしが良く、離着陸する飛行機も近くで見る事ができます。

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おススメは空港施設の「石雲院デッキ」。滑走路の真横に位置し、離着陸の瞬間を臨場感たっぷりに見ることができる人気スポットです。飛行機の離着陸がなくても、360度見渡せるデッキは開放感があり、つい長居をしてしまいます。

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空港にはバイシクルピットもあり、自転車への対応も◎です。

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迫力の飛行機ウォッチング!

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富士山静岡空港の滑走路横に「だいだらぼっち広場」という、飛行機がよく見える公園があります。

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広場の真横にオレンジの誘導灯があるので、まさにここの真上を飛行機が降りてきます。その距離頭上50m!かなりの迫力ですよ。

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ただ、現在はコロナ禍で減便のため、この日は飛行機のタイミングに合いませんでした。ということで、心の目で飛行機を見てきました。

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広場に「空見石」と名付けられた覗き窓のある石があり、覗き窓から見ると少し飛行機が大きく見えるそうです。駐車場も広く芝生もあり、暖かい季節には寝転がって飛行機を見たくなる場所です。お茶もあれば文句無しですね。

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空港から自転車で来るには5kmほど起伏に富んだ道を走りますが、今回はデイトナポタリングバイクのおかげで楽勝でした!

空港至近、森に囲まれたヒーリングスポット!

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富士山静岡空港近くでもう1か所おススメスポットがあります。「石雲院」です。

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石雲院は豪族、勝間田氏が創建した寺院で、住所は牧之原市になります。今川・武田・徳川といった有力な大名に庇護されました。

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山門、総門、参道の丁石、龍門の滝の彫刻などが市の指定文化財になっており、建築や彫刻技術に優れた寺として知られています。

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空港横の山中にあり、敷地内に入ると凛とした空気に背筋が伸びます。散策するにはとても心地よい場所で、特に真夏のひんやりした木陰がおススメです。

城マニアも注目の山城

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城マニアも注目の「諏訪原城跡」に来ました。
諏訪原城跡は、牧之原台地の北端部に近い標高212mから220mの台地に立地する山城です。

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「本曲輪(ほんくるわ)東側の斜面は断崖絶壁となっており、当時の大井川は牧之原台地に沿って流れていたことから自然地形によって守られた「後ろ堅固の城(うしろけんごのしろ)」となっており、天正元年、武田勝頼が家臣の馬場(美濃守)信春(ばばみののかみのぶはる)に命じて築城しました。駿遠の国境に位置し、武田・徳川の双方が国取りの拠点とした城です。」(島田市ホームページより)

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ビジターセンターにはサイクルラックが設置されています。

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城を推定復元したジオラマで当時の様子がわかり、日本の城について、変遷、城郭用語、諏訪原城の歴史や構造などが学べます。

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俳句と茶畑

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諏訪原城跡のすぐ近くに「芭蕉の句碑」があります。

「馬に寝て 残夢月遠し 茶のけぶり」
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この句は、 「未明に宿を立ち、馬上でうとうとしていると、落ちそうになって夢の名残から覚めてしまった。あたりを見回すと、空には有り明けの月が遠くに見え、近くの家からは朝茶を煮る煙が立ち上っている。」という様子を詠んだものです。

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目を閉じると、牧之原大茶園の夜明けの風景が浮かんできます。もう少し暖かくなったら、夜明けの牧之原台地をポタリングしたいと思いました。

昔の東海道の面影を訪ねて

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「芭蕉の句碑」の向かい側に「旧東海道金谷坂石畳」があります。ここは、いにしえの街道の面影を今に伝える道です。

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金谷坂石畳は、江戸時代末期、約400間(約720m)にわたり「山石」を敷き詰めて造成されました。この時使われた山石は、牧之原台地の耕作土の下に厚く堆積している「牧之原礫層」に含まれている大井川の河原石と同じ丸石で、現在の大井川の河原石よりもザラついて滑りにくいものです。

明治以降、電話線や電線等の敷設により掘り起こされ、その後舗装されたため、もとの面影は失われていました。平成3年(1991年)、町おこし事業として「平成の道普請(みちぶしん)・町民一人一石運動」により、約7万1000個の「山石」を敷いた、430mの石畳が復元されました。

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「旧東海道と石畳(金谷坂)」は昭和60年2月23日に市指定文化財に指定されています。ここにくると、昔の旅の大変さを知り、タイムスリップしたような気分になります。

夜景もきれいなパノラマスポット

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大パノラマの眺望スポット、牧之原公園にやってきました。この日は富士山が見えました!

広大な牧之原大茶園の一角にあるこの公園からの景観はとても美しく、正面には日本最高峰の富士山、右手には日本一深い湾である駿河湾とその向こうの伊豆半島、左手には南アルプスの山々、眼下には雄大に流れる大井川、そして周辺に広がる茶畑。ここからの眺めは、まさに日本を代表する景観と言えるでしょう。

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牧之原公園からの夜景は「日本夜景遺産」に登録されており、市街地の夜景と大井川や茶畑の明暗が、富士山や駿河湾のシルエットも含め絵画のように広がります。北側の斜面にはカタクリ(ユリ科でピンク色の花)の群生地があり、3月下旬から4月上旬頃が見頃となります。

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また園内には茶祖・栄西禅師の像があり、お茶のまち「金谷」のシンボルとなっています。

大茶園のランドマーク「ふじのくに茶の都ミュージアム」

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世界お茶まつりの会場にもなる「ふじのくに茶の都ミュージアム」にやって来ました。大茶園の中にドーンと建っています。

日本一の大茶園である牧之原台地に位置する「ふじのくに茶の都ミュージアム」は2018年春に開館し、外観に県産材を使用した吹き寄せ壁を設けるほか、博物館内には楽しく回遊できるようさまざまな見どころがあります。

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お茶の産業・歴史・文化を紹介する展示のほか、茶摘み・手もみ体験や、五感で感じる講座が充実していて、子どもから大人まで楽しくお茶について学べます。さらに、国内外の茶業関係者やお茶愛好者を対象に研修会等を開催し、情報集積・発信を行っており、まさに茶の都の中核施設といえます。

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ふじのくに茶の都ミュージアム」の屋上展望台からは、広大な牧之原大茶園が見渡せます。

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屋上に向かう館内では、お茶の試飲が!

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もちろん遠慮なくいただきました。爽やかな緑茶の香りが鼻から抜けていき、一気にリラックスの極致に。美味しいお茶は癒しですね。

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屋上から眺めた茶園は端が見えませんでした。どれだけ広大なのでしょうか。

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金谷坂にある「すべらない」お地蔵様

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今度は金谷坂石畳を下から上へ向かいます。徒歩で5分ほど登ると「六角堂」があり、平成5年に有志の手によって建立されたお地蔵様がいます。

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長い間旅人の足元を守ってきた”滑らない山石を敷いた石畳”に因み、このお地蔵様を「すべらず地蔵」と呼び、合格祈願や商売繁盛の名所となっています。

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毎年1月に開催される「すべらず地蔵祈願祭」では、"安全に・滑らず・転ばず・着実に進めるように"と、のぼり旗を揚げたり、絵馬やお守り、合格祈願鉛筆を求め、多くの受験生が"志望校に合格できるように"、また、"家内安全・商売繁盛他諸願成就できるように"、資格の合格祈願・無病息災・健康長寿・家内安全などを祈願に、県内外からたくさんの参拝者が訪れます。

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大茶園を見守る父的存在

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再び牧之原台地の上へ。

牧之原大茶園の基礎を築いた功績者、中條金之助景昭(ちゅうじょうきんのすけかげあき)の像があります。幕末に新徴組として旗本を率いた剣の達人でしたが江戸城明け渡しで移住、牧ノ原茶園開拓を苦難の末に軌道に乗せ、この地で生涯を閉じました。現在は、台地の上や斜面に広がる豊かな茶園を見守るように銅像が立っています。

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ここを起点に「蓬莱橋」まで手軽な散策を楽しめ、また、島田市街の夜景もきれいに見えます。

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人々を魅了する世界一長い木造美橋

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牧之原台地を巡った後、大井川におりてきました。そう、世界一長い木造歩道橋「蓬莱橋」です。

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全長897.4m、通行幅2.4mの昔懐かしい木造歩道橋で、1997年に「世界一長い木造歩道橋」としてギネスブックに認定されました。

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現在では数少ない賃取橋で、橋のたもとにいる「橋番」に通行料を支払ってから渡ります。1日250~300人、年間にすると10万人以上が訪れています。

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毎年5月には「蓬莱橋ぼんぼり祭り」が開催され、橋はたくさんのぼんぼりで飾られ、その他にもさまざまなイベントが行われて賑わいます。

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橋のたもとには勝海舟像とギネス世界記録認定のモニュメントがあります。

こちらは蓬莱橋の物産販売所「897.4(やくなし)茶屋」さんです。

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「島田市緑茶化計画コンセプトティー」や島田の逸品などを販売、テイクアウトやイートインのカフェもあります。

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お汁粉ウマウマでした。

江戸時代、東海道最大の難所、大井川

さて、最後に立ち寄ったのは「島田宿大井川川越遺跡」です。

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島田市博物館から東へ続く約300メートルのルート(旧東海道エリア)は、昭和41(1966)年に国指定の史跡になりました。

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江戸時代、幕府により架橋、通船を禁じられていた東海道最大の難所、大井川は川越人足たちの手を借りなければ渡ることができず、川越遺跡周辺は大変賑わっていました。

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島田宿の川越しの拠点となったこの地は、当時の町並みが復元・保存された江戸時代の情緒を残す野外ミュージアム的な空間です。

「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川」
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江戸時代、旅人が大井川を渡るためには、人足に肩車をしてもらうか、輦台(れんだい)というみこしのような乗り物に乗り、担いでもらっていました。

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その「川越し」の料金所(川会所)や、人足の待合所(番宿)などの風景を再現したのが、この遺跡です。

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ゆっくりとお茶を飲みながら、豊富な水量をたたえていた当時の大井川の姿や、困難を乗り越えて東海道の旅路を進む人々の姿に思いを馳せるのもいいかもしれません。

世界お茶まつり開催年である今年、また牧之原台地に足を運び、季節ごとに違う姿を見せてくれる大茶園や大井川に会いに来ようと思いながら家路につきました。

【Information】

▼富士山静岡空港
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp

▼​​​​​​​​​​空港東側展望広場「だいだらぼっち」
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/enjoy/shooting/daidarabocchi/

▼石雲院
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/site/kanko/34877.html

▼諏訪原城跡
https://www.city.shimada.shizuoka.jp/shimahaku/docs/kuni-01.html

▼芭蕉句碑
http://www.shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=115

▼旧東海道金谷坂石畳
http://www.shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=12

▼牧之原公園
http://www.shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=29

▼ふじのくに茶の都ミュージアム
https://tea-museum.jp

▼すべらず地蔵
http://www.shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=75

▼​​​​中條金之助景昭の像
http://www.shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=147

▼蓬莱橋
https://www.city.shimada.shizuoka.jp/kanko-docs/horai.html

▼大井川川越遺跡
http://shimada-ta.jp/tourist/tourist_detail.php?id=11

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