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毎日学校に通うコウヘイ

不登校。ここ数年は新聞やニュースなどでも頻繁に取り沙汰され、大きな社会問題となっています。

沖縄県でも、昨年度の小中学生の不登校が約5,700人と、過去最多となってしまいました。

僕が調べた限りでは、ほぼ全ての小中学校に不登校の子ども達がいます。
しかも結構たくさん。

浦添市立のA小学校に通う4年生のコウヘイ(仮名)も、2年前から不登校になってしまいました。

今回の記事は、不登校だったコウヘイのお話です。

コウヘイがサポショウでの個別サポートを受けて、今では毎日学校へ通い、新たな課題に立ち向かっているお話をお届けします。

最初で正直に書きますが、個人情報保護のため、内容は少し、イヤ、だいぶ変更しております。たぶん本人や親御さんが読んでギリギリ気づくかどうかのレベルです(笑)
しかし、サポショウの教育方針やサポート方法などはありのままにリアルに書いています。ぜひその部分を日頃の子育てや教育のお悩みに少しでも役立ててもらえると嬉しいです。

お父さんとの別れ

コウヘイのご両親は数年前に離婚されています。

そのことについて深くまでは聞いていませんが、

その時に一時期ご家庭が不安定になったことが

コウヘイの不登校の始まりとのことでした。

子ども達は一人ひとり全く違ったそれぞれの背景をもっています。
しかし、学校に行けばたくさんの同級生の中の一人です。
普通の小学生です。
その背景にまで寄り添い、その子にあった、その子のためのサポートをすることは、学校のシステムとしてかなり難しいのが現状です。
しかし子ども達のなかには、その背景にしっかり寄り添ってあげなければならない子がいるのもまた事実です。
人は、自分にしかないそれぞれの背景とともに前を向いて成長していくしかありません。
学校でできないことは、学校外でしっかりやっていくことが大切だと僕は考えます。

サポショウとの出会い

6月。コウヘイ4年生。

コウヘイのお母さんにサポショウを紹介してくれたのは、SSW(スクールソーシャルワーカー)と呼ばれる、教育委員会から派遣される支援員さんでした。

「元教員で子どもたち一人ひとりにとことん向き合う熱血先生が塾をしているそうよ」と伝えてくれたようです。
ありがたいです。その紹介の仕方ちょっと恥ずかしいですが(笑)

毎日、学校へ行けず、たまに行ったとしても相談室で過ごすコウヘイをどうにかしてあげたい!という思いのあるお母さんでしたが、相談する場所が学校以外になく、学校へ何度も相談するのも申し訳ない気持ちがあり、どうしていいかわからず困り果てているとのことでした。

お母さんからは迷うことなく「ぜひ相談させてほしい」とご連絡を受け、急いで無料個別相談の日程を調整しました。

SSWさんはコウヘイのお母さんにとってとても大切な存在でした。どこに相談しても「コウヘイをどう頑張らせるか」という話になっていくなか、そのSSWさんはお母さんの日々の頑張りに寄り添い、サポートしていました。
親御さんはどうしても「相談できるのは担任の先生だけ」と思いがちですが、そんなことはありません。相談できる人はたくさんいます。担任となかなか話が合わずに1年間ずっと悩み苦労している親御さんは、実は少なくないのです。

再スタート

お母さんとの無料個別相談を終え、僕の教育方針やサポショウのカリキュラムに納得・共感していただき、とりあえずコウヘイの無料体験からスタートすることになりました。

お母さんがおっしゃるには、コウヘイが学校へ行けない理由は「学校は人がたくさんいてうるさい」とのことでした。

サポショウは必ず無料個別相談をしておりますが、意外とそれだけで悩みを解決されてスッキリ帰宅される方も多いです。なかには、たった1回の相談で「担任の先生との関係性が良くなり、わが子にも嬉しい変化が出てました!」と驚く報告もありました。これ、僕が凄い!!のではなく(笑)親御さんがこれまでずっとお子さんのために試行錯誤し続けてきたからこそ、少しの助言をきっかけに一気に変化するのです。だからいつも親御さんには本当に頭が下がります。

コウヘイの無料体験スタート。これまで学校へ行けず、ずっともんもんとしていた日々を過ごしていたコウヘイにとってはある意味、再スタートです。

コウヘイは意外にも無料体験することをすんなり受け入れました。

「意外にも」と書きましたが、実は一度サポショウの見学に来た子のほとんどが、無料体験を「やりたい!」と言います。
少なからず勉強が苦手、もしくは勉強がキライなはずなのに、なぜか「塾」に行きたいというこの現象、どういうことかわかりますか?
そうです、子どもは心の奥底では「学びたい」のです。
だけど学校では学べず、させられてばかりで勉強もキライになり、どんどん自信も失っていく。そんな子どもは「ここならオレも勉強できそう!」と感じると、「やってみたい!」「やりたい!」と口にするのです。

4年生のコウヘイの無料体験は、まず3年生の学習からスタートしました。ただ、勉強の遅れを取り戻すことが一番の目的ではなく、学習サポートを通してコウヘイとの信頼関係を築き、本人の考えや気持ちを引き出すことをねらいとしまいた。

ちなみに無料体験は何をするかというと最初は何も決まっていません(笑)
子ども一人ひとりの課題はそれぞれ違うので、事前の個別相談で聞いたことや、親御さんのご希望、本人の今の状態などを見ながら、探り探り始めていきます。

何もかもうまくいかない日々

無料体験を終え、入塾を決意したコウヘイ。

コウヘイの学習の遅れに合わせながら、午前中の来室でサポートしていきました。

2年近くもほとんど学校に行ってなかったコウヘイにとって、当然ですが勉強はスムーズに進んでいきませんでした。

また、生活も昼夜逆転していたため、午前中の決まった時間に来室することも厳しい状態でした。

そんなコウヘイには、「できるかできないかでいうとギリギリできる」という課題を設定し、とにかく「自分にもできる、わかる」という実感をたくさん味わわせました。

また、遅刻については、親御さんとも相談しながらいろんな作戦を試してみました。

それでもコウヘイの遅刻はなかなか改善されませんでした。

「遅刻はダメ」それは誰でもわかっています。でも、遅刻をくり返してしまう子には、何か理由があるのです。
もちろん社会に出ると、遅刻なんて許されません。「個人的な理由があるんです」なんてことも通用しません。
だからこそ子どもの今、「遅刻をしないためにはどうすればよいのか」をたくさん考えさせ、たくさん試させ、たくさんチャレンジさせることが大切です。
「遅刻すんなコラ!」で遅刻が直れば簡単ですが、それはコウヘイにとっては最適な方法ではありませんでした。

感じる違和感

9月。入塾から3ヶ月。

あいわらず遅刻をくり返してはいるものの、来室したら集中して勉強しているコウヘイ。

少しずつできることも増え、目つきも学習意欲もずいぶん変化し、

自分の考えをしっかり話せるようにもなってきました。

しかし、僕はコウヘイの発言にある違和感を感じていました。

それは、コウヘイが学校へ行けない理由についてでした。

この3ヶ月、コウヘイとの話のなかで学校へ行けない理由をそれとなく聞くことがありましたが、コウヘイはいつも

「学校は人がたくさんいてうるさい」と話していました。

これは最初の無料個別相談の時にお母さんに聞いたこととも一致していたため、コウヘイは少し過敏なところがあるのだろうと考えていました。

しかし、また別の会話のなかでは

「学校は友だちと勉強できるから必要な場所」「みんなと勉強すると頭に入りやすい」などの発言がチラホラあったのでした。

ん?コウヘイくん、きみ、学校はうるさいからイヤなんじゃないの?(笑)

これはもしかして…

僕はコウヘイに聞いてみました。

僕「コウヘイ、もしかして朝早く起きれたら学校行きたい気持ちある?」

コウヘイ「はい」

行きたいんかーい!(笑)

違和感はドンピシャでした。

コウヘイは本当は学校に行きたいけど、朝起きれないから行けないだけでした。

これはそんな単純なことではなく、今は朝起きれないことが要因ということです。
コウヘイが不登校になったきっかけはご両親の離婚でご家庭が不安定になったことでした。複雑な心境のなかで、学校の人の多さや声などがコウヘイにとっては苦痛になったのかもしれません。
しかし2年が経ち、ご家庭も落ち着いてきたなかで、実は学校に行けない要因が変化していたのでした。
しかし今さら「本当は行きたいけど朝起きれない」とは言えなかったのでしょう。もしくは、本人すらもそこに気づけていなかったのかもしれません。
そこを僕が代わりに言葉にしてあげることで、コウヘイのなかで「朝起きれたら行きたい」という気持ちが明確に現れたのでした。

学校、行けちゃった

僕は不登校の子は必ず学校へ戻ったほうがいい!なんて1ミリも思っていません。

ただ、本人に「行きたい」という気持ちがあるなら、もちろんそこに寄り添います。

そこで作戦を立てました。

僕「朝の7時30分に、コウヘイの家の近くのコンビニで待ち合わせしないかい?けんしょう先生が来るというプレッシャーで早起きチャレンジしてみたら?」

コウヘイ「やります!」

前代未聞の作戦が決まりました(笑)

作戦の日、

まずは朝の7時にコウヘイにLINEしました。

僕「おはよう!起きてる?」

コウヘイ:既読なし

やはりそんなに甘くなかったか…。

とりあえず僕は約束のコンビニへ向かいました。

サポショウでは、親御さんの許可を得たうえで受講生とLINEでやりとりをすることがあります。
スマホを持っていない子は別の方法を考えます。
受講生一人ひとりの環境に合わせてサポート方法を考えるようにしています。これが個別サポートです。

約束の午前7時30分。

いまだに既読なしです。

あのコウヘイの様子だと、作戦成功しそうな気がしていました。

が、コウヘイの生活リズムの乱れは予想以上に大きかったようです。

とりあえずもう少しだけ待つことにしました。

午前7時40分。

LINEが鳴りました。

コウヘイ「すみません起きてます。あと少しで出ます」

キターーー!!

それから10分ほどして、

眠そうで、でもどこか晴れやかな表情のコウヘイがコンビニへ現れました。

僕「おはよう!ナイスコウヘイ!調子はどうだい?」

コウヘイ「元気です!」

感動しました。嬉しかったです。
子どものチャレンジする姿や頑張った瞬間、達成感に満ちあふれた表情。
教育の仕事をしていて一番やりがいを感じる場面です。

眠気ざましのチョコレートを食べさせながら、僕はこう言いました。

僕「よし!行くか!学校まで送るよ!」

コウヘイ「いえ、一人で行けます!行ってきます!」

え、コウヘイ、おめぇ、めちゃかっこいいやん(笑)

コウヘイはびっくりするほどあっさりと学校へ向かいました。

今回の作戦は予想以上にうまくいきました。大成功の事例です。
もちろん、すべてのサポートがこれほどうまくいくとは限りません。
ただ、これまでのコウヘイと築いてきた信頼関係。
実は背中を押してほしかったコウヘイの隠れていた気持ち。
そして、お母さんがこれまでずっと、試行錯誤しながらコウヘイのために頑張ってきた過去。
これらが重なったとき、子どもは驚くほどの変化を見せることがあります。

その日の夕方、コウヘイにLINEしました。

僕「お疲れ!どうだった?」

コウヘイ「意外といけました」

その日から、コウヘイは今も毎日学校へ通っています。

今回、コウヘイのお母さんにはあえて傍観するようにお願いしていました。
当然ですが、コウヘイのお母さんはこれまでずっとコウヘイの生活リズムを戻そうと頑張っておられました。
しかし、なかなかうまくいかなかったのです。
これはなにも悪いことではありません。
親子とはそういうものです。
僕だって、教育関係のお仕事を10年以上していますが、
わが子のことになると本当にうまくいかないことばかりの悩める父親です(笑)
今回はあくまでも僕とコウヘイの作戦。
お母さんにはうまくいってもいかなくても、コウヘイを優しく見守るサポート役に徹してもらいました。

作戦当日の朝、

コウヘイが2年ぶりに朝から一人で登校した日。

コウヘイのお母さんからこんなLINEがきました。

コウヘイ母
「少し寝坊しながらも自分で起きて自分で準備し、自分一人で家を出ました。夕方どんな顔して帰ってくるかわわかりませんが、どんな結果でもコウヘイのチャレンジをほめようと思います。今夜はコウヘイの大好物のシチューを作ります。本当にありがとうございました。」

新たな挑戦

2月。もうすぐ6年生のコウヘイ。

生活リズムは完全には戻らず今でも遅刻をくり返すものの、

コウヘイは毎日学校に通っています。

勉強の遅れもまだまだあります。

しかし、

コウヘイは常にサポショウで新たなミッションを設定し、挑戦し続けています。

「テストで100点取りたい!」

「90点だったチクショー」

今ではこんなことで悔しがるコウヘイです。

もちろん60点のテストは報告してこないことに気づいてますが、あえて知らんふりしています(笑)

何か一つの課題をクリアしたとき、それで全ての悩みが解決され、幸せハッピーな日々が続くと思いますか?
そんなことはありえません(笑)
人生なんて、常に課題だらけです。
それは大人の僕たちが日々実感、いや、痛感しています。
サポショウでは常に「今、向き合うべき課題」を設定し、サポートしています。
つまりサポショウにいる間は、常に努力し、成長し続けるしかないのです(笑)
とは言っても、苦行みたいなことはさせていません。
その子に合わせた、「できそうで、できなさそうで、でもちょっと頑張ればできる」という絶妙なミッションを設定し、とにかく小さな成功体験を積み重ねています。

お母さんの悩みは尽きず

サポショウは定期的に保護者面談をしています。

そのたびにお母さんは、コウヘイのことについての悩みをお話しされます。

当然です。

親として、わが子の悩みがなくなる日なんて一生きません(笑)

ただ、そんなとき僕は、お母さんにコウヘイの過去をふり返ってもらいます。

3年前に不登校になったコウヘイ。

昼夜逆転で本当に心配だったコウヘイ。

サポショウに入って少しずつ変わったコウヘイ。

ある日、急に学校へ行くようになったコウヘイ。

テスト100点めざしてるコウヘイ。

コウヘイ凄いっすよ。

そして、こんなコウヘイをずっと支えてきたお母さんも本当に凄いっすよ。

これはコウヘイのお母さんに限ったことでではありません。
親御さんは皆、「今のわが子のできないところ」だけを見て悩んでしまうことがよくあります。
何度も言いますが、僕もわが子については全く同じです(笑)
それは別に悪いことではないと思います。
わが子を思う親心です。
だからこそ、保護者面談等であえてこれまでの受講生の成長をふり返る時間をつくることで、親御さんと一緒に受講生の成長を噛みしめる時間を作っています。それが親御さんの安心と自信に繋がることを願って。

最後に

心の奥底にある声を拾う個別サポート

僕は小学校の教員を約12年間してきました。

たくさんの子ども達と関わってきました。

子どもは皆、心の奥底に思いがあります。声があります。

今の学校現場のシステムで、

子ども一人ひとりの心の声を拾ってあげるのは

とても難しいと身をもって感じています。

そして、

子どもには親には決して見せない姿があります。

これは事実です。

僕たち大人も、自分に都合がいいように

ついつい相手によって発言や態度を変えてしまうことありますよね。

だからこそ

親でもない、学校の先生でもない、

ナナメの存在が

今の子どもたちには必要だと思っています。

親と学校だけでなく、

たくさんの大人が子どもの成長にかかわることで

子どもは

子ども自身のタイミングで

ポロッと心の奥底の声を口にだします。

それを周りの大人で拾い、サポートし、

小さな成功体験を積み重ねてあげることで

これから力強く生きていくための

勇気と自信を育んでいきましょう。


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