【小説】白骨死体の並ぶ旅館
「はぁはぁ…。これはすげぇ雨だ…。どこでも良いからどこか泊まれるところはないか?」
その日はものすごい豪雨だった。山をドライブしていたらものすごい雨で命の危険を感じていた。とりあえず泊まれそうな旅館をてきとうに検索してみる。
すると、ここから近いところに今からでも泊まれる旅館があった。しかも安い。
「こ、これは行くしかない!」
自分は即決でその旅館に泊まることにした。そして車を少し走らせてその旅館に行ってみる。すると、何か異様な感じがした。
「おいおい、この旅館本当に営業してるのか?」
明かりがないのだ。そんな旅館あるのだろうか? とりあえず最近のSDGsか何かでやっているのかと思ってその旅館に入ることにする。
「すいませーん、お邪魔しまーす」
「シーン…」
静寂で静まり帰る。誰もいないのだろうか? しかし、この天気じゃ山を下るのも怖いし今日はここに泊まらせてもらうことにした。
誰もいないならむしろお金を払う必要がないからラッキーという風に考えることにした。
「ふぅ…。とりあえず今日はここでゆっくりしてくか…。の前に探索だよな…」
スマホのライトを頼りに旅館の中を歩く。色々と光を当ててみると結構立派な旅館なんだなーということが分かる。
その後もとくに何かあるというのもなかったので、安心して泊まることにした。
「いやぁー、なんかカビ臭いのかなーとか思ったら人の手入れがありそうだなー」
とりあえず一晩寝れそうなところを探すために旅館をぐるぐるとする。そして今まで入ったことのなかった大広間に入ってみることにした。
「なんだろうなーここ。」
自分は今までなぜここを調べなかったのだろうか? 自分でも分からなかった。でもなんとなくだけど何か本能で嫌な気配を感じたからなのかもしれない。
だから、なにか調べることから遠ざけていたのかもしれない。
「お、お邪魔しまーす」
大広間の襖の扉を開ける。すると異様な光景が広がっていた。
「な、なんだよこれ…」
大広間にはずらーっと布団が並んでいた。
「おいおい、今から団体客でも来るっていうのかぁ…? ここにみんなで寝るのかぁ…?」
自分はふとスマホのライトを布団の方に向けて後悔することになった。
「う、うわぁぁぁぁぁ…!」
思わず絶叫した。そのずらーっと並んでいる布団の中1つ1つに白骨死体もずらーっと並んでいた。
「この旅館やべぇーって!」
すぐに違うフロアに移動した。
「なんなんだここはぁ…」
自分だけの呼吸音が聞こえる。相変わらずシーンと静かな旅館だった。それが逆に不気味だ。でもこんなところに長居なんてしたくない。
だから自分は豪雨の中、誰かいる分からない旅館を勇気を振り絞って飛び出していった。とにかく怖すぎて出ることだけ考えた。
「うわぁぁぁぁぁ!」
絶叫しながら車に飛び乗る。そしてなりふり構わずに山を下った。もう危ないとか考えている暇はなかった。
あの旅館は不気味すぎる。あそこにいる方が命の危険を感じる。そしてその日はなんとか家に帰れた。
………………………
後日、あの旅館をインターネットで検索しても出てくることはなかった。今になってあの旅館について色々と考えてみても分からないことだらけだ。
自分があの旅館について色々と考えた可能性としては何か犯罪のために使われていた旅館なのか、はたまた旅館で一晩明かしたものがああやって並べられているのかとか色々と考えている。
あの時、人がいたのかいないのかも分からない。けど、あの旅館は絶対にやばい。まず真っ先に考えたのはなんと言っても自分もあの白骨死体のように大広間に並べられることだ。
あのままいたら、そうなっていたというイメージしかない。あの時、飛び出した判断は絶対に正しかった。
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