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僕とアシダカグモくん [小説]

僕の家では毎日のようにゴキブリが出現して家族みんながパニックになっている。ゴキブリは神出鬼没で寝室にも現れるので、怖くて夜も眠れない。
 そんな時にこの課程に救世主が現れたのだ。 アシダカグモくんだ。僕は最初はただのクモが出てきたなぁぐらいにしか思っていなかったが、その後にアシダカグモについて調べてみるとアシダカグモは、ゴキブリを食べてくれるらしいのだ。
 いわゆる益虫というやつだ。

「これはいいや!」と思い、アシダカグモくんをそのまま家の中で放し飼いしておくことにした。アシダカグモくんが出現してからもゴキブリはまだまだ家の中に現れていた。
 しかも、ほぼ毎日のようにゴキブリが出る。

そして「キャー!」といつものように家族みんなで悲鳴をあげる。そんな時だった。

「大丈夫か!?」と言わんばかりにアシダカグモくんが僕たちの悲鳴を聞いて素早く駆けつけてくれた。
 そしてゴキブリをパクっと食べてしまったのだった。 これには家族みんな大喜びだった。

そしてアシダカグモくんは、こちらを向いて「礼には及ばないぜ…」と言わんばかりだった。
 まさにアシダカグモくんはヒーローと呼ぶにふさわしい存在だ。
 それからも毎日家の中でゴキブリが出現していた。そしてその度にアシダカグモくんが救世主として駆けつけてくれた。

いつしか、アシダカグモくんに対して僕は家族愛のようなものが芽生え始めていた。
 アシダカグモくんがずっとこの家に居てくれればなぁとさえ思うになっていた。だがしかし、そんな日々が長くは続かなかったのだ。
 アシダカグモくんのおかげでゴキブリの出現回数が大幅に減っていった。しかし肝心のアシダカグモくんの姿を見なくなってしまったのだ。

最初はどこかに隠れているだけだろうと思っていたが、2週間3週間と経つにつれてこの家から出て行ってしまったんだということを僕は理解した。
 僕はとても悲しかった。家族同然と思っていたアシダカグモくんが、いなくなってしまったなんてとても考えられなかった。

アシダカグモくんは、家の中にいるゴキブリをお掃除して次の家で救世主として向かったんだろう。
 僕の家にアシダカグモくんは、いなくなってしまったけれども、次の家でもその家に住む人達の救世主となっていることだろう。
 僕は例えアシダカグモくんが違う家に行ったとしてもずっと家族だと思っているよ。

別れは悲しいけれど、これはヒーローの宿命として仕方のないことだよね。困っている人がいなくなったら、違うところへ行って困っている人を助けに行くってことだもんね。
 僕はそんなアシダカグモくんを家族として誇らしく思うよ。アシダカグモくんの活躍をこれからも応援しているよ。
 そして君と過ごした時間は一生忘れないよ。

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