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日記 2023/9/13 夏風邪サラバと音楽編


地下鉄が地上に出たとき、夕焼けがとても綺麗だった。地平に向かって空が桃色に染まって、勢いの弱まった優しい雲たちも美しい桃色で縁取られている。沈みかけの太陽の光は暖かい。居眠りしていなくて良かった。この嬉しさを勢いに文章を書くことができている。

先週くらいに長きに渡って格闘した夏風邪とお別れした。話す時に咳が出ないのってなんて快適なんでしょう。右耳の聞こえにくさは若干残っているけれど、なんのその。私の快復とともに、早朝に“涼しさ”が到来したので私は穏やかさを取り戻している。寒さ。思い焦がれる寒さの切れ端が、半年ぶりに戻りつつある。ちょっとのチクチクくらいは多めに見れる状態にある。

日が短くなるのは、ちょっと寂しい。秋の夜長というくらいなので、これから段々と闇が侵食を始めて、夜の孤独が迫ってくると不安に思う人も多いはず。私の親しい友人も「冬季鬱になりやすい」と言っていた。分からんでもない。でも、夜のひとりの時間を愛する私やあなたは、これから様々なことにやる気が出てくると思う。何かを鑑賞し、何かを考え、何かを作り出す。ひとりの夜ってやっぱり必要。(普段からいつ何時もやる気がある人もいますよね、ごめんなさい。多大なる尊敬の念を持っています。)
あとは寒い夕方に「ちょっと涼しいな、おでん食べちゃお」「ホットコーヒー飲んじゃお」「犬とぬくぬくしちゃお」みたいなやつが私は大好きなので、基本秋の夜長、寒気、どんと来い。

(↑夏至を過ぎたときの気持ち。星野道夫さんはアラスカの地で、夏至を過ぎると少しずつ冬へ向かっていく太陽の軌道に寂しさを覚えていたと言葉にしていた。私の住む日本とは冬の厳しさが違うけれど、大地の鼓動を感じて生きることが生き物としてごく自然であることを思い出させられた。)

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帰り道、mei eharaさんをずっと聴いていた。10月のワンマンライブのチケットが取れて、一緒に行く友人と今一番どの曲が好きかをラインで語り合っていた。ずっと好きなのは「冴える」だけれど、近頃は「蓋なしの彼」「不確か」をよく聴く。「不確か」はアルバム “Ampersands” のバンドセットも好きだけど、EP「私をしも」のアコースティックの方がより不確かな感じが強くて、気に入っている。


帰り道といえば、冬場に作った帰り道のプレイリストがある。これはちょうど、夏至と冬至の間くらいの時期にぴったりのプレイリストだ。夕方に仕事が終わる日、車窓から夕焼けが見えて、ぼうっと揺られているうち、最寄りに着く頃には夕闇の街になっている。まるで今日だ、今日聴けば良かったな…。我ながらいいプレイリストだと思う。


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この間の日曜日、秩父ミューズパークで行われた WIND PARADE '23 の2日目に足を運んだ。去年、初開催のこのフェスに行ってからちょうど一年。楽しかったー!ZAZEN BOYSからのスタートは会場がシビれる空気を感じた。カネコアヤノのスリーピースも、セットリストが相まって良かったな。七尾旅人さんのライブ中は、考え続けること、向き合うことについてずっと思っていた。念願のサニーデイ・サービス、元々予定になかったという「スロウライダー」の演奏はかなり湧いた。ライブのことは音楽的観点で話すほどの知識はないのでこれくらいにしておく。一日を通して会場がとてもいい雰囲気だった。
2日間だったからか去年より空いていたような気もする。9月だけど思ったより暑いとか、西陽がきついとか、そういう反省はちゃんと活かして対策した。替えのTシャツは必要だな、と準備していったけど、同行した友人はトータル3枚のTシャツを持参していた。やりすぎ。


去年と同様、車で秩父まで向かった。あのときは入社した会社の仕事の話や、後輩もいたので就活の話なんかをしていたな。「しんどい、辞めたいー」と言っていた私。本当に辛かったのは、フェスの後の一週間だった。このとき本当に会社を辞めることにして、すぐに上司に伝えた。この少し前、音楽を聴きながらリモートワークで作業をしていて、カネコアヤノの「燦々」をなんの気なしに口ずさんで、気づいたら涙が溢れていた。そんな自分に驚いた。どこまでが自分に課されるべきもので、どこからが限界なのか。幾つになってもその判別をすることは難しいけれど、当時とんでもなく脆く、自我の在り処を見失っていたことだけは、確かだ。

一年ぶりに、同じメンバーと(ひとり仕事で来れなかったけれど)同じ場所を訪れる。そうすると、私を取り巻く環境、心身の健康状態、人との関係性、考え方や好きなもの、色々なことが変化していることに気づきやすい。いまやすっかりフリーター。リスペクトする大好きな人との時間も増えた。慎ましく、でものびのびとしていると思う。去年の決断は決して悪いものではなかったと今は言える。そんな風にして居心地が良いと感じる自分の形を探していく。多分これが、ずっと続く。来年もしまた行けるなら、今年の私を思い出して、色々平気になったな〜って思い出せたら良いけどな。

先月全然記事を書く気にならなかったのに、今日は嘘みたいに筆が進んだ。

私の秋が到来しているのかもしれない。

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