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『採用基準』から感じた資本主義の上に成り立つ「成長という呪い」

マッキンゼーで長いこと人事の担当をしてた「伊賀泰代」さんの書籍『採用基準』を読みました。

実は2012年の本で、過去に読んだことがあり本棚で眠っていました。『採用基準』というタイトルからは就活や転職に役立つようなテクニックが紹介されているかと思いきや、その中身は「いかにリーダーシップが大切か」という内容になっています。

そのギャップと内容の良さが印象的で「まだ読み返したいな」と常日頃思っていました。

10年近く前に読んだ本なので内容は結構忘れていました。ほぼ初めて読んだくらいの新鮮さで読めました。

とくに印象に残ったのが

『リーダーを決める時は救命ボートの漕ぎ手を選ぶとしたら誰にするか?』

というくだりでした。

あなたは大切な人と客船に乗っていて海の上の旅行を楽しんでいます。その客船が不幸にも難破してしまったとします。海上には救命ボートがすでに準備されていて、それぞれのボートには漕ぎ手がいます。

あなたはどんな漕ぎ手がいる救命ボートに乗りたいと考えるでしょうか?

サバイバルやボートの操縦スキルはいまいちでも人当たりがよくておしゃべり上手な漕ぎ手でしょうか?

それともサバイバルやボートの操縦士スキルに長けているけど、無愛想で時には自分の意見を優先するために乗組員に感情をぶつけることをいとわないような漕ぎ手でしょうか?

もしも、状況が海の上ので遭難中ではなく、遊覧を楽しむためであれば前者の優しい漕ぎ手を選ぶことは間違い無いでしょう。

しかし今は遭難中です。救命ボートに乗る全ての人の目的は「陸地まで辿り着いて生存すること」です。

そんなときには無愛想でもなんでも、とにかく1人でも多くの人が助かる確率が高くなるであろう後者の無愛想な漕ぎ手を選ぶはずです。

『採用基準』では、リーダーとは後者の漕ぎ手であるべきだと説明されていました。

個人ではなく企業や組織の目的を達成するためには、枝葉にとらわれず本当にやるべきことはなんなのかを常に見極め、時には非情思える決断を自分の責任で遂行する。

これがリーダーのあるべき姿でありリーダーシップだというのです。

なるほど!と腑に落ちた部分もありましたが、その反面、そんなに企業や組織の目的を達成することって重要なんだろうかとも思ってしまいました。

わたしは「健康>家庭>仕事」という価値観を最も重要だと考えているので、書籍『採用基準』の意見は資本主義のうえになりたつ「成長という呪い」にとらわれた考え方でもあるように受け取ることができました。

本を読むことの最大の利点は他人の価値観に触れることができることです。これからもいろんな本を読んで、いろんな価値観に触れ、あくまでも中立の立場で「価値観のゆらぎ」を楽しんでいきたいです。

自己紹介
こんにちは、Nick(@supersoNick_boy)です。

リアライズ|外資系サラリーマンの生存戦略
というブログでコツコツ発信してます。

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