スカウターが計測しているのは気ではなく「気の器」という話【ドラゴンボール考察】
スカウターとはフリーザ一味が所持している、戦闘力を計測できる機械である。
相手の力を把握できる便利なツールだが、このスカウターはどうやって相手の戦闘力を算出しているのだろうか?
単純に「気」を計測しているかと思いきや、実際の描写をよく見るとそうとも言えなそうなのである。
今回の考察では、このスカウターがどういう仕組みで何を計測しているのかを考えてみたい。
※なお、本稿ではアニメ版、続編作品、ゲーム、大全集、鳥山先生のコメント等の設定は使用せず、原作マンガ版の描写のみで考えます。
スカウターの機能
スカウターは左目に装着して使う機械だ。映し出した相手の戦闘力を測る意外にも、相手の居場所を特定したり、強力な戦闘力にアラートを出したり、何光年も隔てた先で音声通信ができたりなど、かなり万能なツールである。
一方で、スカウターは、地球の戦士たちが「気(気配)」を消すと、ほぼ反応しなくなる。
そして、空を飛ぶなど気を高める行為を行うと、スカウターに補足されるようになる。
気を消せばスカウターの反応が無くなり、気を高めればスカウターに反応されるという描写からすると、スカウターは相手の「気」に反応し、気の大きさで戦闘力を算出している、と見てほぼ間違いないだろう。
戦闘力=気で良いのか?
スカウターが「気」を読み取っていることは確実だが、スカウターが単純に「気」の大きさをそのまま読み取って戦闘力に表しているのかというと少し疑問が残る。
例えば、ベジータ対悟空のシーンだ。
ベジータが体に力を込めて気を上昇させ、悟空はそれに驚愕している。しかしこの時点のベジータは「戦闘力のコントロール」はまだできないはずなのだ。それはベジータの発言からも明白である。
しかし、悟空は明らかにベジータの気の上昇を感じ取っていた。戦闘力のコントロールができないのに力を込めると気は上がるのである。この矛盾はどう考えれば良いのだろうか?
気の器を読み取るスカウター
これらの描写に矛盾がないように考えると、スカウターで読み取っている戦闘力とは「気そのもの」ではなく、その人が持っている気の上昇限界値、「気の器」なのではないだろうか。ベジータは、普段の状態から力を込めて気を高めることはできるが、それはあくまで、気の器の範囲内での上昇に留まったものであり、戦闘力のコントロールとは別物なのである。
裏付ける要素としては、キュイの発言だ。
この場面では、キュイはスカウターでベジータを計測、自らの戦闘力値が上回っていることを確認して余裕の態度を取っている。
キュイがベジータを舐めているとしても、さすがに力を込めることによる気の上昇を考慮していないとは考えづらく、スカウターでベジータの気の器(上昇限界値)が自分を下回っていることを確認したからこそ、このような態度だったのではないだろうか。どれだけ力を込めても自らを上回る可能性が無いとするならば、この余裕も納得である。
戦闘力のコントロールの正体
そして戦闘力のコントロールとは、「気の器」自体を増減させることだと言えるだろう。悟空たちは普段、気の器を小さく抑えることでエネルギーを蓄積し、戦闘時にそれを開放することでバネのように反発させ、気の器を大きくしているのだ。
逆に言えば、戦闘力のコントロールができない種族相手ならば、スカウターの数値さえ上回れば、相手がどれだけ本気を出しても自分を超えることはない。スカウターの値が自分を下回るというのは勝ち確演出なのだ。
相手に確実に勝つことを目的とすると、相手の今の力がわかるよりも、相手が本気を出した時の強さがわかったほうが、戦うか、撤退するかの判断が正確になる。フリーザ軍では気の器を測るスカウターがあることで、勝敗の不確定要素を極めて高い精度で排除できるのである。
軍隊戦略という観点では、この「気の器」を測るスカウターは非常に優秀な仕組みであると言えるだろう。
※戦闘力のコントロールができる種族は、この時点では悟空含む地球人、ナメック星人、ギニュー、フリーザのみ。本来は非常にレアで出会うことはほぼないと言える。
まとめ
スカウターで計測しているのは気そのものではなく、その人が持っている気の上昇限界値、「気の器の大きさ」である。
戦闘力のコントロールとは、この「気の器」を一時的に増減させることであり、普通はそんなことはできない。
フリーザ軍の兵士達も、体に力を込めることで気を上昇させることはできるが、スカウターはあくまで「気の器」そのものを計測する機械であり、彼らが力を込めても戦闘力値(=気の器)は変化しない。
余談 スカウターは何故爆発する?
スカウターは相手の数値が計測できる限界以上になると爆発して壊れてしまう。
上記の際はベジータの戦闘力が22000を超えた段階で爆発しいる。ブルマがラディッツのスカウターで3倍界王拳を観測した際も、やはり21000を超えたところで爆発した。
この爆発の際、ブルマが怪我をしている様子が無いことからすると、この爆発は故障ではなく、意図的なものだと思われる。スカウターは、22000以上の敵に相対した際、機密を保持するためにあえて爆発する仕組みになっているのではないだろうか。
22000という限界値も、フリーザ軍の幹部、ザーボン(変身前)とドドリアが24000以下であることを考えると理にかなっている。
22000以上の敵はフリーザ軍の多くの者にとって勝ち目が薄く、負けて機密を晒すくらいなら負ける前に爆破してしまったほうが良いという、弱肉強食のフリーザ軍らしい非情な仕組みと言えよう。
なおギニュー特戦隊の所持する新型スカウターは悟空の18万を計測できているが、同じ型番と思われるフリーザのスカウターはベジータの戦闘力を計測して同様に壊れている。
恐らく、ギニュー特戦隊が持ってきたものは、一部の強者に配布するためリミッターの上限を上げている型番なのだろう。それでも一定以上で爆発するというあたり、部下の力を信用していないフリーザの心情が見えて面白い。
※なお、スカウターの爆発については公式サイトで専門家による解説も行われている。
※劇場版BROLYにおいては、99999まで計測でき、かつ爆発しない新型スカウターも登場している。
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