評 #ライオンと蜘蛛の巣 #手嶋龍一 #佐藤優 #911 #フォークランド紛争 #パラダイス文書

ライオンと蜘蛛の巣 手嶋龍一

「インテリジェンスの型ではなく、ライオンすら蜘蛛の巣にからめとられる世界と言う暗示だろうか?」

2023年2月14日
インテリジェンス人間論を10話まで読んで、佐藤優と言う作家の情報の散らし方がいかに厄介かを悟った。
それを知らないと、景色が全く変わってしまう。
橋本龍太郎と鈴木宗男のエピソードは強烈だ。
こういうものの裏では、たぶん、仲たがいするように仕掛けられていたのだと思う。
人生はそんなもので、多くの人は他人の間違いや勘違いを矯正するほどに暇でもなければ、お人好しでもない。
それはともかく、お風呂を出て目についたこの本をいきなり読破することにした。
140ページで間もスカスカと思ったら、237ページもあった。

それはともかく、佐藤優と違い、アメリカ、イギリス、ドイツの記載が多い。
そして、大国の思惑といくつかの有名な政治家との邂逅やこぼれ話が面白い。
そして、911と同じく、フォークランド紛争も契機となる出来事が沢山あって、アラートも沢山鳴ったが、スルーされて事故が起きたと分かる。
一方で、ふと、高校の時に無理やりいかされた塾の世界史の先生の言葉を思い出す。
結果があって、歴史が動く。
その因果をまとめて覚えれば忘れない。
確かに、高校を卒業してしばらくは忘れなかった。
あの程度の演習のやりこみで、現役でセンター86点とか。
一方で、どうせ最後の時間だからと受験した倫理も80点あって、まあ、受験産業の悲哀を思い出す。

それはともかく、英国の教授に慰められるシーンもあるが、不勉強だからこそ、現場で人間らしい感性で、何かを訴えたり、聞いたりすることができる。
裏を返せば、勉強するほど、白川竜也よろしく、社会の闇や世界の闇と板挟みになる。
たぶん、パラダイスを謳歌した、王侯貴族たちが、大企業も国民国家も操って世界をコントロールしている。
本書だけでも、憎しみの連鎖が切れないようにコントロールされているのがわかる。

解放直後のブーヘンヴァルト収容所を訪ねる若き日のアメリカのジャクソン大統領の横には、二人のユダヤ人。
それがアメリカのブレーンになって行く。
個人の溝、組織の溝、合わせて、常人の目から見れば、神のみぞ知る。
しかし、大雑把にコントロールされる。
恐らく、下馬評であり得ない選挙結果による世界の大きな転換期はアンダーコントロールなのだと思った。
マルクの統一。
そして、統一国家ユーロの統一通貨ユーロ。

本書でも書かれているように、日米同盟と集団同盟の矛盾や亀裂の問題も専門家はよく見ているのだろう。
どこに、どんな穴をあけたら、別のどの個所に穴が開くか?
ヘルムートコールの晩餐が外交ツールと言うくだりは今どき盲点だ。

手嶋龍一で、初めて読んだのはウルトラダラーで、出版からそんなにたってもいなかったと思う。
その影響で、大学を辞める前から、30過ぎで結婚するであろうという予定から海外を無理して回った。
今は絶対に使わないお金の使い方。
路地裏を見て、スーパーの物価を見て、流石に、仕事やなんかでは出会いはなかったがスタジアムでの諸々も色々学んだ。
海外はそんなにいいものでもない。
これは確かで、特に、僕のようにそんなにお金を使えない立場で、しかも、社会勉強にお金を割いていれば、ちょっと特殊になる。
色々な意味で独身でないとできないことをしたと思う。
下ネタではなく、それだけ、黄色人種の若者が旅をするというのはそんなに甘くもない。
それはともかく、本で出てくる、様々な建物や店を目で見て、時に写真に収めながら、言葉にできないような学びもいくつかあった。

話を戻せば、カトリックとか、キーポイントの事件と戦争への誘いと言うのが本書で目立つ。
佐藤優と歴史学者や経済学者の対談もそうだし、ベクテルの秘密ファイルなども併せて照合すれば、軍産複合体の闇と引力はかくもすさまじいのだろう。
ハンガリー動乱の首相のナジというのも偶然だろうか?
ちょっとなまりやつづりをいじれば、ナツィになる。
歴史上の事件の重要人物はしばしば象徴的な名前になる。
それも、当人が犠牲者になって勝てない戦への突撃を演出する。
証拠なんかどこにもない。
一方で、ふと、そういう視線で、その結果、どういう政治経済が動いたかを考えさせられる。

田辺元によって戦場に送られた京都大学その他の学生。
それは、天皇家やそのとりまきの生活保障を決定づけた。
それは、田辺元の立場からすれば、悠久の大義かもしれない。
そして、完全占領ではなく、経済植民地として、日米財界のためのエコノミックアニマルが量産されていく。

各国や各財界の縦糸と横糸。
日本のスウェーデン大使館はイギリスにあったポーランドの同盟政府と連絡。
この時点でも、カンの良い奴なら戦争は作られたものだと気付くのだろう。
ただし、中高生までの世界史の試験では落第点になるのだろうけど。

ただ、一番のポイントは、ビルクリントンの飛行機が一本おくれて、一緒になったくだりかもしれない。
そこにたかる黒人女性。
創られたヒーロー、クリントン。
実はやんごとなき家だったという陰謀論もどっかで見たが、作られた貧困白人家庭からの成り上がり物語で作られるアメリカの国家元首。

別の本では、オバマ首相の就任前かそんな遭遇シーンもあった不思議。
それは、揺れ動く世界というメトロノームかやじろべえの深いところからのメッセージを世界のマスコミがメッセンジャーとして仕事しているからなのか?
既に唯一の超大国アメリカ。
これを、どうやったら、意のままに操れるか?
間にある中小各国の政治からキープレイヤーのコントロールによって調整していく。

発売15年以上たてば、アマゾンレビューにも納得の記事。
ライオンと蜘蛛の巣という言葉もさることながら、横に縦に類書を重ねていくことで、世界の構造がなんとなく見えてくる。

それにしても、この世界も様変わり。
まだ、多くの人が使い方を分かっていなかったインターネットやパソコンソフトにスマホアプリを多くの人が扱えるようになり、ある日突然にインテリジェンスが発生することになってしまった。
様々なインテリジェンスの様式やインテリジェンスの人間があるのだろうが、誰かの思い付きと気まぐれが国境線を変え得る時代。

時計を撒き戻せるなら、2006年11月10日に戻って、放射線科に入職するのを取りやめて、バイトしながら旅人になったほうが良かった気がする。
少なくとも、大学院も2年くらいで退職、退学した方が良かった。
言葉にするのも危ない、インテリジェンスよりヤバイ一部の大学病院の世界。
いやいや、お前の方がもうヤバいよって誰かの声が聞こえそうだ。
貧者の書く兵器は、時々、地球の裏側や5000km先で事故を起こすかもしれないが、ま、しょうがない。

なんか、キーワード書かないと、ヒット数稼げないかもしれないな。
ドローンドームをかわしてターゲットを撃破するにはどうしたらいいでしょうか?
こんな問題も、場所と人によっては金になる。
古来よりハードに頼ったらやがて人間はダメになる。
あるいは、より機械化兵器や無人兵器にシフトして専守防衛を破られる日本の未来にも関わってくるのかもしれない。

サンデーサイレンスなんかも懐かしい。
その親のヘイローと言い、どれだけキリスト教文化が世界を覆っていたかがわかる。
イスラム、中華、ヒンズーなどの人口比や産業比が上がっても、なんらかの構造を仕込むのがインテリジェンス。
この、匿名化され構造化された、文章とストーリーのなかに、また、未来の出来事に重なるものが出てくるのだろう。
書かれていないことも大事で、多くの国のキーはキリスト教の各宗派のままだ。
中国がイギリスやカトリックの匂いを追い出した事件はそれを裏付けるもの。
日本もキリスト教の信者数はともかく、キリスト教の学校は多いまま。
まあ、結局、どこの国も宗教も欲しいのは奴隷とそれが生み出す金と権力だからだろうか?
だから、持続的な平和の知恵よりも、浪費ありきの運動量礼賛なんかでバカなことをやるのだが、大衆なんか修正不能なのが世界の特徴なのかもしれない。

超大国と言うライオンもスパイのネットにからめとられて料理される。
スパイの型ではなく、蜘蛛の巣の怖さを表現したタイトルだろうか?
インターネットとはよくできた名前だ。
2023年2月14日18時18分

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