『犬王』観てきた、女王蜂ファンの感想
映画『犬王』観てきました。
上の写真は特典の松本大洋さんと古川日出男さんの小冊子です。
あの、アヴちゃんが声出演。
これは女王蜂ファンとして当然のノルマ、行かねば。
ということでなんの前情報も入れずただアヴちゃん目当てに観てきた人間の感想です。
※ネタバレ含む部分から注意書きを入れるので用心お願いします。
なんといっても映画館に響き渡るアヴちゃんの美声、これに尽きます。
湯浅監督がロックオペラで有名とは知らず、「歌唱シーンめっちゃ撮るやん!」と驚いてしまいました。なるほど、そういう表現の第一人者の方なんですね。
女王蜂ファンの皆さん、アヴちゃん目当てに観てもじゅうぶんお腹いっぱいになれる作品ですよ、ぜひどうぞ。
画面の色彩も綺麗だし、女王蜂の華やかでゴージャスなスタイルに共通する所もあります。
歴史物? 室町時代? と聞くと地味な感じがしますが全然ですよ。
はい、早速ここからネタバレ含みます!!
まるでライブハウス!
劇中ずっと私の胸にあったことは、
「あぁー、ライブ行きたい」
でした。鯨の歌好きです。
町人たちがぎゅうぎゅう詰めになって犬王を鑑賞してるシーンが繰り返し流れますが、羨ましいなぁと思ってずっと観てました。
“ソーシャルディスタンスを守りマスク着用の上、
声援はご遠慮ください。“
映画の中の人、楽しそうだったなぁ、しくしく・・・。
ライブはコロナ禍でもルールを守った上で参戦しています。ですが、約束事が多いのも事実でして、昔の自由なライブが恋しいです。
歌唱する琵琶法師の口元をしつこく撮っていましたが、あれは何かのメッセージなんですかね。唾が飛んでるなぁ・・・と思わずにいられないシーンでした。
“口の匂いがするようなロック”
って、誰の言葉だったか忘れましたが、いい言葉だなぁと今しみじみ思います。
清潔なロックってロックですかね。
人間臭いってのはロックの大前提と思います。
最近言われてる身体性ってやつに近いですけど、犬王は人間臭いのをいっぱい詰め込んだ映画だと思います。
犬王ラストの舞のシーン
天女様のショールみたいな物をつけて宙吊りで水面を舞うシーン。
ディズニーシーのアリエルのアトラクションを思い出しました。マーメイドラグーンシアター、アリエルの格好した本物の人間が天井からぶら下がって踊るやつです。
私はあれがだいっっっっっっ好きで、他のアトラクションそっちのけで1日に3回観るくらい好きです。あれもまさに身体性アトラクションですね。
そして舞の舞台、水上のお屋敷にグッときました。
あれ、現実でもやりたいです。
いつだか、48グループが船上で踊って歌うコンセプトを発表してましたが、水上夏フェスとかよくないですか?涼しげで。
犬王みたいに水面にカラフルな照明を反射させて演出すれば、なんかエモくていいなぁと妄想しました。
犬王と現代のアーティスト
犬王の時代から約400年後の現代。
ギターはピンキリ。調べたらアコギの初心者セット、島村楽器で9800円でした。吹奏楽部に入ればウン十万する楽器がほぼタダで使えます。PVはYoutubeで見放題、サブスクでヒット曲垂れ流し。
表現のハードルは格段に下がっています。鑑賞するハードルも。
でも、コロナでそれは一変しました。
犬王では皆が表現することに命懸けでした。
そして観る方も、お上に背いて犬王を応援したら切り殺されたのでしょう。
犬王が殿に言われるまま舞を諦めたのは、仲間だけでなくお客さんも守ろうとしたのかなと思いました。人気者は苦しいですね。
現代で、いろんなバンドマンやアーティストがルールを守って窮屈に耐えてるのが犬王と重なります。
全体を通して、私の好きなアーティストには伸び伸び活動してほしいので、犬王一派みたいに命を懸けるようなスタイルはやめて欲しいと心の底から思いました!
(後半の残酷な描写が胸に刺さり過ぎて、色々考えてしまいました。)
音楽は楽しいものでしょ? ラストで二人が選んだのも、初めて会った時の純粋に楽しいだけの演奏と舞でしたもんね。
・・・ということで私も純粋に音楽を楽しみたいので、コロナがどうの規制がどうの、ぐずぐず言うのは今日で終わりにしようかと思いました。一時の音楽業界へのバッシングが本当にもう、嫌でしょうがなくて・・・。
好きが高じると良くないこともあります。
あまり度が過ぎると怨念がこもってしまいそうです。草薙の剣や紫の仮面みたいに。
作り話だから、と棚上げできない凄みが犬王にはありましたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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