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読書の世界へ「冷静と情熱のあいだ」

みー読書録のみー。です。
今回は前回の“Blu”編の続き

“Rosso”編

をしていきたいと思います!
どちらを先に読んでいただいても構いません。

前回の記事にも書きましたが。今回紹介する作品は
辻仁成さんと江國香織さん、2人の作家さんによる連作?共作?
となっています。

“Rosso”編は
江國香織さんが著者で、「赤の物語」として、対の作品になっています。
では、早速、あらすじに触れていきましょう。

冷静と情熱のあいだ 江國香織さん 角川文庫
 穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。これが私の本当の姿なのだろうか。誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。
 十年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。熱く激しい思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない、、、。
 永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

あらすじはこのようになっています。

前回の記事には書かなかったのですが

タイトルに付いている
「Blu」と「Rosso」
それぞれイタリア語で
「青」と「赤」と言う意味だそうです。

調べて初めて
「ポルコ・ロッソ」のロッソの意味を知りました(笑)

(ポルコ・ロッソはジブリ作品の「紅の豚」の主人公)


今回は、そんな、「赤の物語」を見ていきたいとおもいます。
こちらは、江國香織さんが「あおい」という女性目線で書いた物語です。

「あおい」も誰もが羨む幸せな生活をおくっていながら心の穴を埋めきれないまま生きていました。
心の穴はなにをしても埋められないまま30代に突入していこうとしてました。

フィレンツェで恋人と過ごす穏やかなとき
私だったら手放したくないなと思うのですが。「あおい」にとってはそういう対象とは少し違ったのかもしれませんね。

では、なぜそこまで「あおい」の中に心の穴ができてしまったのか。
じつは、

忘れられない人「順正」と埋め合わせきれない悲しみと約束を持っていたからです。

人って、幸せな思い出より、泣いたり、傷ついたりしたときの記憶の方がよくおぼえてたりしますよね。

「あおい」も「順正」も例に漏れない人だったのでしょうね。
詳しく話しすぎると物語の楽しみを奪いかねないのでここまでにしようおと思いますが、2人の間に起こった出来事は、

実は、誰の身にも起こり、誰かを悲しませることなのかも知れません

「あおい」はその出来事によって
「順正」と素直に愛し合うことが出来なくなってしまった。

その寂しさと切なさが物語を上質なものに仕上げていると思います。

この記事を書きながら思い出したことがあります。

恋愛は片思いだから面白い。
叶ってしまったら面白くない。ーチャールズ・シュルツー

全文が正しいわけではありませんが、「スヌーピー」の生みの親、「チャールズ・シュルツ」は言います。
恋愛は両思いとなった瞬間に物語性が失われてしまうということを言いたかったのかなと思います。

もちろん全ての恋愛が叶ってしまっているから面白くないと言うことでは無いと思います。
けれど、順風満帆な物語より波瀾万丈に生きている人や物語のほうが魅力的に見えるのは
「真理」かも知れませんね。

みー。的ポイント

「順正」が「仕事」にウェイトを置いているのに対し、「あおい」は恋人や友人などがいるが、
どちらかと言うと

普通の生活をしています。

そこに女性・「あおい」の図太さが見えるような気がしました。

2人はもちろんお互いに愛し合って恋愛をしていたのは間違いないのですが。細かい表現の中に、恋人の中の温度差を絶妙な匙加減で表現しているように思います。

その差が「Blu」編でのドキドキ感や切なさにつながっていくような気がします。
二つを読むことによって完成はされるけれど。
想像の余地がきちんと残されているように思う終わりになっていると思います。


拙い言葉でしたが、自分のできる限り「冷静と情熱のあいだ」の魅力を紹介させていただきました。
これからも
本の魅力を紹介していきたいと思います。

では、また。

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