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成瀬は天下を取りにいく

はじめに

初夏の陽気が漂いつつも、梅雨の幕開けも間近に感じる今日この頃。第3回の読書感想文企画です。暇があれば、本屋さんに足を運び、時間をつぶす習慣が生まれた私は、どの本屋に立ち寄っても目に付くこの作品を購入しました。文庫本で読みたい気持ちを抑え、単行本で読むことにしました。

きっかけ

前述したとおり、どこの本屋に行っても、店頭に並ばれていたこの作品。そして、タイトルと表紙のインパクトの強さ。「本屋大賞」を受賞したこの作品を手に取らざる負えませんでした。また、友近さんや、Aマッソの加納さん、西川貴教さんなどの絶賛の声にも惹かれていました。

あらすじ

今回も例のごとく、簡単にあらすじを引用させていただきます。2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬あかりがまた変なことを言い出します。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うするような行動力。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せなくなります。今年度、最注目の新人が贈る傑作青春小説です!

かつてなく最高の主人公

主人公である成瀬あかりを表す「かつてなく最高の主人公」この言葉に、ワクワクしながら本を読み進めました。最後まで読み切ったあとの感想は、「まさにその通り」です。成瀬の人生における目標は、「200歳まで生きること」です。誰も成し遂げたことがないのは、誰も目指していないからだと話します。この理屈はなんとなく分かります。成瀬の真骨頂はここからです。夢を実現するために、できる努力を全力でこなすところです。前人未到の領域への近道は、理論的で現実的な積み重ねなのかもしれませんね。

気付かない影響力

もしかすると、何気ない私たちの行動が周囲の誰かに影響を与えているのかもしれません。成瀬のぶっ飛んだ行動が、周りの人たちの心境に変化を与えているのはもちろんですが、些細な言動や、個人的な行動でも、気付かぬうちに、世間の誰かに影響を与えていることが描かれていました。私たちの何気ない行動も、プラスかマイナスかは、分からないですが誰かを突き動かす原動力になっているかもしれません。

価値観の形成

私は、個人が持つ価値観とは、周りの環境によって形成されるものだと考えます。成瀬の幼馴染である島崎みゆきの移り変わりからも強く見て取れます。つまり、価値観は人との繋がりから変化させることができ、自分自身でも予測できない方向に形成される可能性もあると思います。私も、大学生になり、自分にはないモノをたくさん持つ友人と出会い、何か殻を破ることができたように感じています。

最後に

正直なところ、読む前の期待値が高かったことも有り、求めていたハードルを越えてくることはないと考えていました。が、しかし、そんな思いは杞憂に終わり、読み応えのある強い満足感を獲得することができました。成瀬の様になれなくても、似たような友人が周囲に居なくても、こんな少女が世界のどこかにいると信じるだけで、自分の未来に希望を持ち、明るい将来を築きたいと思うことができるような気がします。

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