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展覧会レポ【咲・紫・雲】@藤田美術館
友人から「今、藤田美術館で(藤原)公任が出ていますよ!」と教えてもらったので、早速行ってみました。初の藤田美術館。今回はその魅力をレポートしていきたいと思います。今回の展覧会のテーマは【咲・紫・雲】です。
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藤田美術館が目指しているものは何か
友人から事前に聞いていたから良かったのですが、この藤田美術館、なんとぜ〜んぶ「キャッシュレス」です。入場料、カフェ等もすべてキャッシュレスですのでお気をつけください。まさに近未来的な美術館。また作品の紹介についても、すべて観覧者のスマホで見ることができるようになっています。受付で藤田美術館のWi-Fiに繋ぎ、QRコードを読み込むことで作品の紹介ページにたどりつくことができます。若者は簡単かもしれませんが、お年を召された方は多少不便を感じるかもしれません。あらかじめ準備しておくことをオススメします。(心の準備も。)
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扉を開けると、藤田美術館からのメッセージが映し出されます。この演出もとても素敵でした。一部を抜粋して紹介します。
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美術品を知る
美術品について「きく」とその先が広がります
そのものの歴史 宿る美意識 それを愛した人々
より深い感動がそこにあります。
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藤田美術館の思いがつまった言葉です。「きく」という表現は、香道でも使われる表現です。香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」。
※香道には「聞香(もんこう)」という言葉があります。
視覚芸術である美術では「みる」が一般的ですが、藤田美術館では、「みる」以外の別の鑑賞方法を提示してるわけです。
また、藤田美術館での表記のされ方は「きく」ですので、香道よりもさらに大きな解釈をしていそうです。(聞く、聴く、訊く…それ以外もイメージしている…。)美術作品と対峙し、作品について自分自身が「きく」ことで作品と自分の対話が生まれることでしょう。まさに対話型鑑賞(VTC/VTS)を促すようなメッセージだと感じました。
作品をいくつか紹介
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西行物語図屏風の金の美しさ、そしてその緻密さは圧巻でした。
※雲の使い方も会場の解説を読んで納得です←みなさんもぜひ会場にて
作品解説は次のように書かれています。
武家に生まれた西行(1118~1190)は23歳で突然出家し、修行のため各地をさすらいながら多くの和歌を詠み残しました。その生き方は憧憬の的となり、没後まもなく伝説化されていきます。鎌倉時代には、それらの説話や和歌をまとめた伝記『西行物語』が成立し、絵巻をはじめ、画帖や屏風など様々な形式で絵画化されるようになります。この屏風には、金雲の合間に『西行物語』の9つの場面が描かれています。…(後略)
ここで重要なのは、「なぜこの場面が選ばれたのか」でしょう。
まさに作品を「きく」わけです。作品を「きく」ことで、時代背景、様式美、人々が何を求めていたのか、などが浮かび上がります。実は、この9つの場面はすべて和歌が詠まれた場面なのです。
絵と和歌がセットになっているのです。屏風自体には和歌は書かれていません。しかし、見る人が見れば、「あ、これはあの和歌の場面だな」ということがわかるのです。書かれていないのに、和歌を想起し、その和歌にまで思いをはせる…。なんとも奥ゆかしい見せ方です。解説にあるように西行はその生き方から憧憬の存在でした。憧れは時として、その人のすべてを知ろうとする原動力となります。西行の和歌を知っていることは、当時の人にとって当然だったのかもしれません。
書かれていないにも関わらず「詩書画」を成立させてしまう当時の人々の教養の高さ、そしてその魅せ方にアッパレ!!です。
解説がGood Job
会場内では、パネルが設置されています。それぞれのテーマ(咲・紫・雲)において軸となるようなことが解説されています。ここでは内容を詳しく紹介しませんが、その解説が興味を引くものばかりでした。(学芸員さん、おもしろかったです!)
・梅と桜について(和歌の出場回数による受容のされ方)
・絵巻の技法について
・絵画における雲の役割
などなど、作品との関連させてみることで「あ〜なるほど」と思わせてくれるものばかりでした。作品を「きく」ことに加えて、さらに解説が加わることで、作品への理解が深まりそうです。
また、EXHIBITION(スマホの解説)には「うら」という項目があり、それをクリックすると学芸員さんの「作品に対する勘違い」や「質問されても困ること(まだ解明されていないから)」などが載っています。学芸員さん苦労がわかる素敵なコーナーです。覗いてみてください。
作品以外の楽しみ方
藤田美術館の楽しみ方はまだまだあります。写真で紹介します。
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いかがでしたでしょうか。藤田美術館の魅力は伝わったでしょうか。
藤田美術館では、その他にも茶碗や花入などの陶器もあります。次の展示には、【国宝 曜変天目茶碗】が出るようです。また伺いたいと思います。
書の世界は複雑で、さまざまな分野につながっています。
‐書の奥深さ、すべての人に‐
&書【andsyo】でした。
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