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ご機嫌で行こう

昨日のこと。いつものようにドトールでモーニングをした。
トーストにブルーベリージャム、そしてアメリカン。
夫はモーニングセットのツナサンド。
この日は通院のためいつもより遅めの9時頃に入店。
いつもの時間帯に出会う「マダム」には会えなかった。

仕事が始まったら、きっとマダムに会えることも少なくなる。
いつもの時間より1時間は早く来ないと仕事には間に合わないから。
仕方ないけど、ちょっぴり寂しい。
細くて、おしゃれでヴィトンのダミエバッグがトレードマークのマダム。
シャネルの半袖ニットやお花の刺繍にビーズをあしらったカットソーなど。
毎回どんな装いで現れるのか楽しみだった。

仕事が始まっても、モーニングは続けたい。
週に1度は、このドトールで朝ごはんを食べたい。
無理のない範囲で、細く長く続けられますように。


買ってしばらく読みかけになっていた本二冊を読み終えた。
くどうれいんさんの「コーヒーにミルクを入れるような愛」、
小原晩さんの「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」。
どちらも味わうようにゆっくりゆっくり読んだ。

どちらもエッセイ

くどうさんはご結婚され、夫「みどり」さんとの話もちょこちょこ。
お友だちとの日常のやり取りを読むと、懐かしさと多少のヒリヒリ感が私の中に蘇ってくる。うわべとか建前とか社会的な付き合いではない、一歩も二歩も踏み込んだ友だちとのエピソード。
どうしても大人になって距離の取り方が上手くなって、深く付き合うお友だちは減ってきたように思う。
嫌な思いはしたくないし、させたくない。
これ言わないでおこう、今は距離を置いておこう、話を合わせておこう、など。
くどうれいんさんのエッセイを読むと、学生時代からの友人たちの顔を思い出す。

くどうれいんさんの文章は、まろやかだけど、時に湿り気を感じる。可愛らしいのに棘がある。棘、というとちょっと語弊があるかな、ピリピリした何かがある。
そこがとても魅力的。
どんどん売れっ子になっている印象だけど、どうか体を壊さず書き続けてもらいたい。読んでいると盛岡の風景が時折流れる。刺さるような真冬の風を思い出す。

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小原晩さんの「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」はずっと気になっていた本だった。本屋さんで見かけては、タイトルのインパクトに目を奪われる。
手にとっては悩んで買わない、を×5回はしたと思う。
表紙のイラストが知っている方だったのもあり縁を感じて購入。
これ、とても良かった。

社会人になってヘトヘトでお金がなくてクタクタだった日々のこと、
美味しい喫茶店のお気に入りメニューのこと、
幡ヶ谷で友人と3人暮らしをしていた日々のこと。
どのエピソードも自分のものではないのに、親しみを感じる。
自分の20代の頃を思い出した。
読んでいると小原さんの疲れを労いたくなるし、ごはんを作って食べさせたくなるし、喫茶店で同じメニューが食べたくなる。友人たちの思い出はそっと遠くから見守っている気持ちになった。

小原さんの他の作品も読んでみたい。
読みやすく親しみやすそうな人柄で、読んでいる時間が心地よかった。

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ご機嫌でいたいと思う。
ご機嫌になるものを間に挟んで、傍に携えて、過ごしていきたいと思う。

ご機嫌は、
コーヒーだったり、おやつだったり、トーストやフライドポテトや美味しいドレッシングのサラダだったりする。
愉快で爽快な物語や、心地の良いエッセイ、憂鬱さが不思議とクセになる小説や、表紙を隠したくなるようなまっすぐな自己啓発本かもしれない。
旅行や映画や美術館、友人とのおしゃべりの時間だったりもする。
汗だくのエクササイズだったりもする。

仕事にも時折存在する。
患者さん(施設だと入所者さん)や家族、スタッフの笑顔だったりする。
そして、いろんな人のnoteの投稿を読むことも、そう。
私が書くことも、そう。

ご機嫌で行こう。

仕事まであと少し。
きっと、なんとかなる。
なんとかならなくても、大丈夫。

人生をご機嫌で行こう、と思う。

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