見出し画像

連載作小説『ひよこ~昭和家族~』第22話 真実 【クリアーゲーム編7完結】

あの時からしばらくして隣中トリオはその後たまに【ビッグマート】で会うとコンビになっていた。ヨシの事を聞くとご両親が離婚され母とヨシは家を出て転校したという。妹さんは身体が不自由な為、あの家に残されて兄妹は離れ離れになったと話に聞いた。この1日は私に残された幻視のように今も記憶に刻まれている。

物語りに話を戻します。
『お紅茶でいいかしら。それともコーヒーにします?兄はコーヒーが嫌いですけど…。』
ひとつ違いだというヨシの妹が僕に聞いた…。
華やかなティーセットが並んでいた。
『やっぱりお医者の家は違うんだなぁ。』
小声で僕は呟いた。
『うん、なにか言ったか?』
ヨシが聞いた。『うん、なんでもない。』
『それでおふたりは2人で逃げ出したの?』
『そうなんだよ。考えている事がわかるやつで良かったよ、まったく。先輩達は何を考えているんだか…』
少し青白い顔の少女がケラケラと笑った。
『お兄様が迷惑をおかけしたそうで申し訳ありませんでした。』
『いえいえ、助かったのは僕の方です。』
『そんなつまらない話はどうだっていいよ。それより3人でゲームでもしないか?』
『ゲームがあるの?』
『またゲームの話?』
ほぼ同時に僕とヨシの妹さんが返答したので被った感じになって2人で顔を見合わせた。
彼女はにっこりと儚そうに微笑った。
『ブロック崩ししかできないけどな。』
ヨシが指差した先には黄色い任天堂のブロック崩しの家庭用ゲーム機があった。豪奢なテレビに繋がれていた。
『そうだ、ようこ。この人にプレイを見せてやれよ。妹はすごく上手いんだ。』
『ほかのゲームをやることがあまりないので、みなさんのように遠くへ出掛けるには手間がかかりますから…』
彼女は気丈に車椅子を軽く叩いた。
僕は困ってにっこりと意識して微笑んだ。
『笑顔は人の印象を良くするのよ』
母に教えられた言葉が脳裏で囁いていた。

『ありがとうな、妹と遊んでくれて…あまり他の子と遊ぶの見たことがないのでな…あんなに楽しそうな妹を見るのは久しぶりでな…。』
『なにもしてないから。』
今彼ら家族が抱えている問題には気づかず僕は照れて笑った。

たった1時間のその青白い顔の少女との邂逅は今でも何十年も前なのに私の脳に刻まれている。どうやら私は白い肌の人が好みらしい…母も色が白かった。どうでも良い事だが現妻は浅黒い🙆‍♀️回復力と抵抗力が強いのが取り柄で良く日に当たった人である。ꉂ🤣𐤔

『じゃ行きますか?!』
僕は頷いた。

計画した通りに少し離れた場所でヨシが走り出した。しばらく離れて走って追いかけるとビッグマートの第三駐車場が見えてきた。
用意周到に途中の空き地で彼と服のまま、ゴロゴロと転がった。取っ組み合った風である。ヨシのアイデアだった。

ビッグマートの第三駐車場に2人で離れて走り込んだ。何人かお互いのグループが離れて睨み合いながらはじ端に残っていた。

先に走り込んだヨシが自分のグループの1団に走りより後から追いかける僕を指さした。しゃがんでいた相手チームの2・3人が立ち上がって僕を見た。
僕は右に急旋回してビッグマートの第三駐車場の駆け込んだのと違う入口に向かって全速力で走った。走りながら見回すとそこには顔を見知った先輩が何人かいた。

先輩達に大きく大きく手を振った。高らかに何度も振った。後ろで見ているヨシに届けと思いながら振った。彼への別れの挨拶だった。

暫くの間、お互いの中学校で1年帽の決闘の名勝負として語られた僕とヨシがふたりで創作した喧嘩話の真実である。

適当に2人で作った言い訳話が広まってしまい、当時『あいつは凄い強かった。勝負は引き分けだった。』のちに聞かれると僕はそのように意識して言葉少なく語った。真実ではないから……な。

真実は僕があの日、ブロック崩しであの兄妹に負けたって事…



Powered by noripay works.


編集後記【クリアーゲーム編】を第三修正で完結しました。残されたプロットが箇条書きで思い出すのに手間取りました。その上、今の私には納得がいかない終わり方だったため、編終盤の構成を大きく変更しながらいい加減に書いた為詰まって投げ出しました。はい、根性無しですꉂ🤣𐤔
昔文書きの先輩から『最後まで書き切る事が大切だ、評価は二の次だ。』と口を酸っぱくして言われました。もう趣味ですが反省します。(´>∀<`)ゝ

そう遠くなく、友達や先輩にも、師匠達にも、お袋や親父、じいちゃんばあちゃんにも会えると感じています。もう生まれ変わって居ないかもしれませんが…。『後悔なきよう生きろよ。』皆が励ましてくれますように…(-人-)。
馬鹿げた残酷で中途半端なこの世界と『おさらば』するその日まで、見つける旅を勝手きままに続けようと思っています。皆の説教はまたその時聞きますꉂ🤣𐤔

あとシン完結外伝一話で『ひよこ』はしばらくお休みして(またぁ)他の駄作の手直しをしていこうと思います。

自己満な本作を読んでくださって本当にありがとうございます!申し訳ありませんでした┏○ペコッ


サークル準備中です。 設立の応援ご支援として プレゼント積立させていただきます。 ありがとうございます。m(_ _)m