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平成最後、緊張の夏

8月、12年間住んだマンションから引越しをした。

引越し前の間取りは3DKで62平方メートルだった。4年前に妻子が出て行った後、1人住まいには広すぎる部屋だったが、「いつか戻ってくるだろう」と淡い期待を抱きながら住んでいた。

何も起こらないまま、いつの間にか4年が過ぎた。今年8月に2回目の契約更新期を迎え、ついに部屋のダウンサイジングを決断する。

問題は膨大な不用品処分だ。食器棚、レンジ台、押入れ、大小のタンス…手付かずのまま残っていた立派な家財一式がそろっていた。

引越し後の間取りは1Kで22平方メートル。ほぼ3分の1になる。そのままでは到底、新しい部屋に入らない。不用品回収業者に依頼する。業者は見積もりに来た際、「2トントラックで2台は必要。30万円は超えます」と冷酷な通告。さすがに予算オーバーになるので1台分の積みきりでお願いする。これで16万円。食器棚やレンジ台は片付いたが、スチールラックなど、そこそこの大物が残った。

引越しの前日に頼んだのが軽トラ積みきり。2万1000円。ラック類も片付いた。大物としてはソファーやダイニングテーブルが残ったが、処分費をケチって「新しい部屋に持っていこう」と考えた。

引越し当日、作業は順調に進んだが、ダイニングテーブルやいす4脚は完全に入らず。家に入らず玄関前に。

部屋のなかはダンボールだらけ。さすがプロの業者だ。びっしりと隙間なく詰め込んだ。玄関から入ったときの動画がこれだ。

このままでは住めないので結局、もう一回、軽トラ積みきりを頼む羽目に。さらにダンボールの山を減らすため、サマリーポケットなる荷物保管サービスや家電・アイドルグッズの買取サービス、海外向け支援団体に発送ーーなどなど、ありとあらゆる手段を使う。大き目のダンボール3箱分のアイドルグッズや某リサイクルショップで550円の査定。振込み手数料を引くとなにも残らないのでそのまま引き取ってもらった。処分費は軽く20万円を超えた。引越料金11万円の2倍の費用がかかったことになる。

お金はともかく、心に重くのしかかったのが、荷造りの際に出てきた家族との楽しい思い出の写真や品物の数々だ。この4年、なるべく意識しないようにしていた別れを痛感したのがつらかった。「一番の不用品は自分かも」

新居のダンボール除去作業は順調にすすみ、今ではなんとか生活できるようになったが、タンス2つとソファーがあるため狭すぎる。大きすぎる冷蔵庫がキッチンの置き場に入らず、部屋に君臨しているのも響いている。落ち着かない生活はまだ続く。平成最後の夏は緊張の夏。

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