はるおのせい!


久しぶりに友達と会った。
かなり久しぶりだったので、奮発して高台にある瀟洒なホテルのレストランへ。
ゆったりとしたテラス席でのランチ。

近況報告から始まり、互いが焦り気味に話す。
せっかくのオシャレランチなのだが、私達は写真も撮らずに、『わぁ!!すごい!おっしゃれ〜!』と言ってはすぐに食べ始めてしまう。
映えを意識しないのは世代のせい?性格?と言って笑いが弾ける。

お互いの仕事の話しもする。
こんなことがあった、あんなこともあった、と、話はますます止まらない。

クリニックで受け付けをしている友達は、月に1度しか処方できない眠剤を、3週間しか経っていないのに出してくれと言われ、それはできないと説明したのだが、老人にぶちギレられたそうだ。

相当な激怒の末に老人は、『おまえみたいな腐った奴がいるこんな病院は潰れちまえ!』と言
った。
そこでドクターが出てきて、『あなたみたいな人は、うちでは看れない、よそに行ってくれて構わない!』と言ってくれて、とりあえずは収まったのだが、友はその後のお昼休憩で食事を取る気分になれず、泣いてしまったと言っていた。

『腐った奴!だなんて、親にも言われたことないのに!』ワハハハハーッ

今となっては笑えるが、その時を思い出すと悔しさが蘇ると言っていた。
そんな人に限って、しれっとまた来たりする。
わかる!わかる!
私にもそんな経験はある。

お客さんに理不尽に怒られたことは数え切れない。

なぜ私がそんな事を言われなければならないの??と。
怒りと悔しさと悲しさ…

若いお兄ちゃんに真顔で『お客様は神様って知らないの?』と言われたときは、怒りを通り越して吹き出してしまった。 
結果、さらに怒らせてしまい、会社に助けを求めることになった。

私の場合、お客さんは外にいる。
怒りに任せて怒鳴り声を上げているその人を、周囲の人達が見ている。
恥ずかしくはないのか?

盛り上がった私達は、街ブラ後に居酒屋へ。

まだまだストレス発散は続く。

なんでそんな物言いをする人がいるのかね?と
腹の立ったエピソードを披露し合う。

『名札どう思う?個人情報とか言うわりに、名札ってさぁ、もうやめてほしいよね!』

友達の職場の名札はフルネームで、ご丁寧にフリガナまで付いているそうだ。
私の名札は、平仮名で苗字だけ。

何かあったときに必要でも、不特定多数に名前を知られたくない。

『名前の代わりになるものないかなぁ』

『番号は?あ〜、それだと囚人みたいかぁ…』

『植物とか?』

『幼稚園みたいになっちゃうか』
アハハハーッ

最近、カスハラという言葉が出てきたことに喜びを感じている。
なぜ日本では、こんなにもお客さんにへりくだらなければいけないのか?

海外旅行で感じる日本との違い。
おもてなし接客は素晴らしいけれど、お客さん側は求めすぎなのではないか?
失礼でさえなければいいのではないか?
おもてなしとはなんなのだ?

『なんで日本はこんなふうなの?』

お酒が入り、より一層話しが盛り上がっていく私達。

『誰だ!この日本の風潮を作ったのは誰よ?』

『あれだよ、あれ!あの人!はるおだっけ?ひでおだっけ?』

『待って、調べるから!』

『三波春夫だ!お客様は神様とか言うからおかしなことになったんだ!』

『そうだ!はるおだ!はるおのせいだ!』
ギャハハハハハーッ

『神はダメよね、神は言い過ぎだったよ!そこまで言うことないよね!』

『じゃあお客様はなににしよっか?』

『なんだろう、天使?』

『天使も変でしょ』

『お客様は…ありがたい!くらいにしといてくれたらよかったのにね』

『ホントホント』

楽しい夜はまだまだ終わらない。

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