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眼がついた人工脳が作成される;どのように→なぜ生きるの時代へ

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ヒトの脳オルガノイドは、機能的に統合された両側の視神経小胞を組み立てる

Gabriel, Elke, et al. "Human brain organoids assemble functionally integrated bilateral optic vesicles.” Cell Stem Cell (2021)

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[ハイライト] -脳のオルガノイドを操作して原始的な目の領域を定義する(OVB-オルガノイド)-OVB-オルガノイドは、徐々に左右対称の視神経小胞を発達させる-OVBオルガノイドは、神経細胞と非神経細胞を発達させる。-OVB-organoidsは光に敏感

[概要] 視神経小胞は、胎生期に間脳から多段階の器官形成過程を経て発生する。我々は、人工多能性幹細胞(iPSC)由来のヒト脳オルガノイドを用いて、複雑なプロセスを単純化し、前脳に関連した両側の視神経小胞の形成、細胞の多様性、および機能性を実証することを試みた。脳オルガノイドは、30日目頃に視小胞の形成を試み、60日以内に徐々に目に見える構造に発展していく。この視胞を含むブレイン・オルガノイド(OVB-organoids)は、原始的な角膜上皮や水晶体様細胞、網膜色素上皮、網膜前駆細胞、軸索様突起、電気的に活動する神経細胞ネットワークなど、発達する視胞の細胞構成要素を構成している。また、OVB-organoidsには、シナプシン-1、CTIP陽性の有髄皮質ニューロン、ミクログリアも存在する。興味深いことに、様々な光の強さが一村一品オルガノイドの光感受性活動を引き起こすことができ、一過性の光退色後に光感受性がリセットされることもあった。

[結論] このように、ブレイン・オルガノイドは、前脳に関連する原始的な感覚構造を地形的に制限された方法で自己組織化するという本質的な能力を持っており、単一のオルガノイド内で組織間の相互作用を研究することができる。

>>> Newsweekに記載されている画像を絶対に見てほしい!!

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

正直にお話しすると、この論文の詳細なことはわからない、ほぼ門外漢である。そのうえで、もちろん、素晴らしい成果だ。苦しんでいる人々を救いうる!
ただ、Newsweekに出ていた記事に当たり前のような顔をして載っていた、あの画像(上記サイトを見ていただきたい)をみたときに、『脅威』を感じたのだ。以下、直感で話す。
よく、患者さんと冗談9割で談笑する話題がある。

近い将来、こんなことが現実になるかもしれませんね。
足骨折しました → はい、じゃ交換しましょう
15000円になります!、色と機能をお選びください!

その未来が、くる!、もう時間がない!!、そう感じた。
そのとき、リハビリテーションは、医療においてどのような役割を果たすのだろう?
いや、そもそも、医療という概念は存続しうるのだろうか?

それすらも、瑣末な問題なのかもしれない。
これは、人間とは、私とは何かという存在定義の屋台骨を揺るがす課題だ。
手塚治虫の作品、火の鳥『復活』のなかで、次のようなシーンがある。

この遠い未来の世界では、人工脳、人工臓器、あらゆるものが人工で製造できる。
そして、事故で身体の大半を失った主人公が、「ぼくは果たして人間なのか?」と問うシーンだ。

....もし自動車がつぶれてなおすとき、半分以上電車の部品ととりかえたら
....それは もう自動車といえるでしょうか?

スクリーンショット 2021-08-30 5.04.49

これはマンガの中だった、いま、現実世界のものとしてみえてきている。
そして、もっともっとヒキでみると、これは、ギルガメシュプロジェクト完成(永遠の命)への接近を意味する。
先ほどの『復活』のなかで主人公がこんなセリフを述べる。

永遠の生命…
それはもうかんたんに手にはいりますよ
ぼくをみなさい、ぼくがいい例だ。
いったん死んで、またこうやって復活した
これをおのぞみならかんたんです
もんだいは、永遠の生命を手にいれて….
なぜ生きるのかということですよ

これまで僕たちは、『どうやって生きるか?』に七転八倒してきた。
これから、生きるか死ぬかを選択できる時代が、やってくるかもしれない。
そのとき問われるのは、『なぜ、生きるか?』ということ。
定義が変わるぞ。準備セヨ。

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【あり】最後のイラスト

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