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読書感想文:ヨシタケシンスケ「しかもフタが無い」(読書ノート画像つき)

ヨシタケシンスケさんの「しかもフタがない」を読んだ。

こちらの本を読んだきっかけは、前職場近くの本屋の一番目立つ棚にずらっと並んでいたことだった。その本や独自のフェアをちょうど実施していたのだが、その時のフェアの名前には「疲れているあなたに」みたいな宣伝文句が含まれていた気がする。現代人、色々疲れがちだもんな。それはそう。色々と疲れていればそりゃあ、本でも癒しを求めるよな。それはそう。

と、いう納得感のもと本棚を吟味し、選んだのがこの本だ。「疲れているあなたに」の棚を前に死んだ目で本を舐め回す勢いで眺めるよれよれの成人女性はさぞ不気味だっただろう。大目に見ていただきたい。これでも一生懸命生きてるのだ。

さて、それではヨシタケシンスケさんの「しかもフタが無い」について少し話したいと思う。ヨシタケシンスケさんといえば、「もうぬげない」や「わたしのわごむはわたさない」、「りんごかもしれない」などの作品で有名な絵本作家でありイラストレーターだ。特に「もうぬげない」はおそらくほとんどの方が一度は目にしたことがある作品だと思う。よくパロディの元ネタとしても使われているところも目にするし。


ところで、ヨシタケシンスケさんは絵本の他にもエッセイもいくつか出版されている。絵本でお馴染みのあの可愛らしい絵柄とふんわりしながらも鋭い視点で切り込んでゆくような語り口の組み合わせが秀逸で、読んでいて思わずくすくすと笑ってしまうエピソードがたくさんある。特に私は「思わず考えちゃう」が好きだ。興味のある方がいればぜひとも読んで欲しい。


さて、「じゃあその『しかもフタが無い』もエッセイなん?」と思ったそこのあなた。少しばかり違います。この本はエッセイではなくヨシタケさんが創作をなさる際の原点となるアイデアスケッチをそのまま本にしたイラスト集。上記の「思わず考えちゃう」でも記されているのだが、ヨシタケさんは普段日常で見たものや思ったこと、それを元に想像を膨らませたことをスケッチとして残していらっしゃるのだ。それがそのまま本になったものなので、中身はイラストとそれに添えられた簡単なコメントやセリフで構成されている。

大体こんな感じで1ページにつきいくつかのイラストが収録されている。このページ、なんか愛しくなるので好き。


見ていてほのぼのするもの、クスッと笑えるもの、少しハッとするものと多岐にわたるイラストがぎゅっと集められたこの本は、何かストーリーがあるわけでは無い。あくまで「スケッチ」なのだ。だがそれぞれのイラストや一つのページの中に集められたなんとなく繋がりのあるようなそうでも無いようなイラスト達の中から、きっとそれぞれお気に入りを見つけられると思う。ヨシタケさんならではの可愛らしい絵柄と「なるほど…?」と腑に落ちてしまう言葉が合わさると、時としてグサっと何かしらのかたちで「刺さる」のだ。その「刺さる」感覚がなんとも心地よく、愛しくなるのが本書の特徴だ。

ちなみに私が特に「刺さった」イラストは以下の二つだ。これ以外にもいくつも「良…」となるものはあったので、気になった方はぜひ手に取ってみて欲しい。

○○ちゃった結婚。覚悟が出来ちゃった二人の一連托生感が好き。
こんなふうに言われたら「そうかも…」となりそう。イラストも相まってめちゃくちゃかわいくて魅力的。


自分にはどんなイラストが刺さるのだろう?と少しでも気になった方、かわいいイラストが好きな方、そしてヨシタケシンスケさんのファンもヨシタケさんのファンの方もヨシタケシンスケさんのことをあまり知らない方も、ぜひご一読いただきたい。どんなイラストが「刺さる」のか、そしてその刺さり方はどんな感じだったのか。ツボった?ハッとした?それとも感動した?人によってさまざまだろうが、そんなふうにイラストを眺める時間は間違いなく「こういう時間も必要だよなあ」としみじみ思えるものになるはずだ。

最後に、この本書を読んでの読書ノートの画像を載せて終わろうと思う。前回紹介した「生きていてもいいかしら日記」ですでに察された方もいるかもしれないが、しれっと恒例ネタにする予定だ。絵心の無さが火を吹くことになったが、よく考えなくてもヨシタケシンスケさんのイラストのかわいさは私如きにだせるはずがないので大目に見ていただけると幸いだ。

※以下、若干のネタバレあり。気になる方は飛ばしてね 

ヨシタケシンスケさんの絵柄、単純そうに見えてすごいバランス感覚の元で成り立ってるのですごい


それでは、みなさん。それなりにいい感じに火曜日の夜をお楽しみください。

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