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41 薬物治療の役目はアシストである

先日、勤務校に在籍する子どもに「エビリファイ」抗精神病薬の投薬が開始されました。
これから効果を観察しつつ、適切な支援につなげるように学校、医療、保護者と連携していかなければなりません。
ある同僚の先生が、
「ところで、エビリファイってどんな薬なのだろう?」
と職員室とつぶやき、薬の効果や副作用について話題になりました。

コンサータ、ストラテラ、インチュニブ…
現在、発達障害のある子どもに対して様々な薬が処方されています。一方で、保護者には薬物治療に対して消極的な意見を持っていらっしゃる方も一定数おられます。

今回は、薬物治療について私の考えを述べたいと思います。

結論から申し上げると、
「薬物治療はあくまでアシストの役目であると自覚して使うべき」
です。

これは、以前特別支援に関する研修会で発達支援を専門とする医者の方の講話で話されていた内容の要約です。

投薬しているからといって、それがゴールではない。一時的に特性や症状が抑えられているだけである。効果が見られれば、結果として落ち着いた生活を送ることができるが、特性や症状が消えたわけではない。落ち着いている内に、学習の質を向上させ、適切な行動を教えていくべきだ。

この話を聞き、改めて薬物治療はあくまでアシストとしての役割であると再認識しました。必ずするべきポイントは2つです。

ポイント①
家庭生活や学校生活の環境調整を行い、その子の特性に合った生活を送ることができるようにする
ポイント②
療育や自立活動を通して、個々の発達の状態や障害特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指す

これらのアシストとして薬物治療を行います。つまり、
環境調整で落ち着いた生活を送るため、療育・自立活動で適切な指導や支援を行うため
という前提があるということを忘れてはなりません。

そして、薬物治療ができるのは医者だけです。
我々教職員はどんな目的でどんな種類の薬をどのくらいの用量処方されたのかを家庭や医療に聞き、確認しておかなければなりません。

また、副作用は出ているのかどうか。どのような副作用が現れ、学校生活にどのような影響が出るのか。薬の効果は出ているのか。効きすぎていて、子どもの心身に逆効果になっていないか…

毎日の子どもの変化を観察し、よい変化も悪い変化も定期的に報告する必要があるでしょう。
そして、薬物治療がアシストとして機能していれば継続し、機能していない、副作用が強く、児童の心身に負担が生じているなら別の薬の処方に切り替えたり容量を変えたりするなどの対策を打っていかなければなりません。

これも全て子どもが環境調整で落ち着いた生活を送るため、療育・自立活動で適切な指導や支援を行うために我々教職員が行うべき職務だと考えます。

現在、薬物治療を行っている子どもは増えています。そして、それに不安を抱えているご家庭も一定数いるという現実があります。
だからこそ、学校が正しい知識を持ち、学校、家庭、医療と連携して将来の子どもの自立と社会参加に向けた支援を協力して行っていかなければならないと改めて考えました。

今回の記事は以上になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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