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ステラおばさんじゃねーよっ‼️56.新年のご挨拶〜正月料理

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🍪 超・救急車


カイワレとポーちゃんのマンションにて。

ひかりを交え、和気あいあいと年越しそばで今年の食べ納めをした後、正月料理の仕込みを始めた。

お雑煮の関東風醤油だし汁を作るのは、ポーちゃんの役目だ。

餅を焼き、鶏肉、ほうれん草、しいたけ、なるとをのせ、だし汁をかけていただくと絶品である。

ひかりはというと、赤くむっちりした牛モモ肉の表面にすりニンニクと黒胡椒ををまぶし、全面に焼き色をつけている。

それに合うソースも手作りで、赤ワイン、バルサミコ酢、醤油、黒胡椒、隠し味にみりんとニンニクを少々入れ、煮立たせた。

料理が不得手なカイワレも、慣れない手つきでピンチョスを作っている。

土台はカマンベールチーズとハムで、飾りにスモークサーモン、パプリカ、ミニトマト、黒オリーブをのせ、カラフルなピックで留めた。

「わあ!たいちゃんのピンチョス、パーティらしくてかわいい!!」

「本当!華やかで美しい彩りですね」

カイワレなりに一生懸命作った料理を、ふたりから褒められた。

「へへ、ありがとう!」

カイワレが素直に照れていると、ちょうどひかりのスマホが鳴った。

「はい。では玄関先までお願いしますね」

⭐︎

どうやら神林家に代々伝わる、正月特製 和・洋・中の三段おせちが届いたようだ。

チャイムが鳴り扉を開けると、真紅の風呂敷包みを大事に抱えた運転手から、ひかりはそれを受け取った。

「ありがとう。今年のあなたのお仕事はこれでおしまい!わたしはタクシーで帰宅しますから、ご家族で、お正月を楽しんでくださいね。良いお年を!」

神々しい笑顔に運転手の顔もほころび、

「ありがとうございます。仰せのままにいたします。良いお年をお迎えくださいませ」

と言うと、エレベーターホールへとゆっくり消えていった。

玄関奥で待ち構えていたポーちゃんが、ひかりから風呂敷包みを受け取ると、

「重っ!カンちゃん、力持ちだね!」

と驚いた。

「だっていつでもウタを守れるように、ジムでトレーニングしてるから♡」

ひかりは笑顔で、本気の力こぶを出した。

「おおっ!ぶら下がっていい?」

ポーちゃんはおどけて、ひかりにまとわりつく。

そんな風に喜ぶふたりを見て、誰かを守りたい気持と行動というのは、男女の役割が替わっても良い時代なんだなぁ、とカイワレはひとり感心していた。

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