ステラおばさんじゃねーよっ‼️㉓アミダクジ
👆 ステラおばさんじゃねーよっ‼️ ㉒母への想い は、こちら。
🍪 超・救急車
自分の部屋に戻ったポーちゃんは、深いため息をついた。
昔から優しすぎるというか、考え過ぎなくせして優柔不断というか、たいちゃんらしいな。
母が生きているだけでもすごい事なのにな。
母の事で想い悩み苦しみ、半ばなげやりになれるカイワレに、ポーちゃんは酷く嫉妬した。
いつのまにかポーちゃんは、机の上の白紙に鉛筆で斜線を殴り書きしていた。
たいちゃんはお母さんを探せるのが幸せだって事、全っ然わかってない!
ドン!!
気持が昂り、持っていた鉛筆を紙に打ちつけたので、芯が折れてしまった。
幼い頃、既に母がこの世に居ないと知った。
それからは、理想の母を自分の頭の中で創り上げていった。
ポーちゃんがゲームクリエイターになれたのは、天国の母とのおしゃべりで育んだ創造力のおかげもあるのだろう。
窓の外を見ると夕空が広がり、雲間をぬって《天国の階段》と呼ばれる光が、いくすじも地上に降りてきている。
ママに会いたいな。
ポーちゃんは今、カイワレの命運を握っている。
アミダクジでの僕とたいちゃんの戦績は、5勝1敗。
カイワレが選んだのはいずれも、右のレーンだったと記憶している。
左のレーンはほとんど選んだためしがなく、それでいて負けても悔しそうな素振りもせず、ヘラヘラと笑っていた。
アミダクジは、二者択一。
これからのたいちゃんの人生を大きく左右してしまう。
ポーちゃんは熟慮の末、アミダクジを書き上げた。
「待ってろよ、たいしろう!」
ポーちゃんはそう呟き、カイワレへ挑むように、部屋から勢いよく出ていった。