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神の鳥“ニホンライチョウ”を絶滅から救え!

”Today Birds, Tomorrow Humans“ 
~今日、鳥たちに起こる不幸は、明日、人間の身に降りかかるかもしれない。そして今日、鳥たちに起こる幸福は、明日の人間を幸せにするかもしれない~“。

野鳥は自然環境の変化にとても敏感で、環境が悪化するとその場から飛び去り、良くなればすぐに戻ってきます。このことから、野鳥は「環境のバロメーター」と呼ばれています。
人間に身近なところで自然破壊に対するメッセージを与えてくれるこの野鳥をシンボルに、サントリーは愛鳥活動を続けています。

今回は絶滅の危機にさらされているニホンライチョウについて愛鳥活動一筋の髙井がお話します。

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本日の話者 髙井です。

2016年4月、わたくし髙井は憧れのライチョウに会いに、立山に行ってきました。まだ雪が厚くつもっている室堂に到着すると、

「いました、いました。」

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北アプルス(立山)に佇むニホンライチョウ(オス)。なんとカッコいいんでしょう。

まだ真っ白な冬羽のライチョウたちが、人間を全く恐れずに、普通にすぐそばを歩いていたりします。

何でも、人間を恐れないライチョウは、ニホンライチョウだけなんですって。世界中の他のライチョウたちは、狩りの対象になっているために、人間の姿を見たら、あっと言う間に飛び去ってしまうのに対して、神の鳥として崇めて大切に守ってきた日本だけに、こんな嬉しい風景がある。ちょっと誇らしい思いを抱きました。

おまけ

思わず、笑みがこぼれてしまいます。

この様子を見て「絶滅危惧なんて本当?」と首を傾げたくなりましたが、じつは、温暖化が進む中、積雪も少なくなり、天敵であるサルや餌場を食い荒らすシカが侵入してくるなどにより、個体数の減少が心配されています。このような動物の問題は何とか解決したいものです。


さて、その足で、私は富山市ファミリーパークに向かいました。
動物園では、絶滅危惧種を救うために、飼育繁殖技術の開発を行っていることをご存知でしたか?(愛鳥担当になる前は、“動物園=可愛い動物達に会える場所”としか知りませんでした)

トキやコウノトリなどの国内での絶滅を止められなかった要因の一つに、飼育繁殖技術開発が間に合わなかったことも挙げられると聞きます。
そんな状況から(公社)日本動物園水族館協会では、絶滅危惧種を救う取り組みを開始。山で採取したライチョウの卵を動物園などでふ化・飼育するプロジェクトを始めました。

ファミリーパークの皆さん

ファミリーパークはこのプロジェクトの一員。
私たちサントリーは世界愛鳥基金(※)を通じて、この活動の支援をすることになりました。

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飼育員とニホンライチョウ

そうそう、飼育の苦労話で一番驚いたのは、親鳥の糞を食べないと、ヒナが健康に育たないというお話しでした。親の糞を食べることで、腸内の善玉菌を受け継ぐんだそうです。でも、ファミリーパークのヒナは人工ふ化のため、親はいません。そこで、山からとってきた糞を調べて、必要な腸内の菌を与えているそうです。(今はやりの腸活ですね。)

すみません、脱線しました。苦笑

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飼育下の真っ白フワフワな冬羽のニホンライチョウ(メス)

人懐っこいニホンライチョウ

人懐こいニホンライチョウ

嬉しいことに飼育繁殖技術は向上していったものの、目標達成に向けての道のりはとても長く、サントリー世界愛鳥基金の助成を開始し3年が経過した後も、まだまだ活動は続きました。
ファミリーパークでは、更なる技術向上に向け、クラウドファンディングに挑戦するなど、その後も絶え間ない取り組みを継続してきました。


そして、2021年。
ついに、ファミリーパークでは母鳥が卵を温めヒナを育てる方法で、6羽がふ化。10月現在、その内の4羽が母鳥のもとで元気に育っています。

またひとつ、未来への明るい光がともったのです。

ヒナ

 飼育下のニホンライチョウのヒナ

親子

  飼育下のニホンライチョウ親子


今回ご紹介した活動の他にも環境省を中心にライチョウの復活保護作戦が“待ったなし“で進められています。こうした専門家による保護活動は勿論、ライチョウの危機的状況を知って、応援して下さる一人ひとりの想いが各保護活動の力となって実を結び、神の鳥ライチョウを次世代へ繋げていくのだと私は確信しています。

これからもサントリーは愛鳥活動を通して多様な生物たちが生きられる環境を守るお手伝いをしてまいります。

画像提供:富山市ファミリーパーク

※世界愛鳥基金とは
1989年に公益信託「サントリー世界愛鳥基金」を創設。野鳥保護を通じて地球環境保全を推進するため、国内外の鳥類保護活動の活動資金を助成するもの。1990年度を第1回とし、2021年度の第32回までに延べ451団体に5億8,011万円の助成を実施。

「日本の鳥百科」ライチョウ
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1350.html


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