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【詩】花束

夕日に霞む工場地帯を
電車の窓越しに眺めていた

眠りたい
夢の中へ逃げ込みたい
日常の連鎖の中から


俯きながら歩く
改札の前と人の波


飛び交う誰かに向けられた
棘のある言葉で
かすり傷


この街がシャボン玉で溢れたら
僕らが夕日の空を見上げたら
すべてを放り捨てて
手を握れたら


誰かに花束を贈って
手紙を添えて
また願う