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大丈夫、きっと報われる

先日実家の東京に戻っている途中、以前所属していた研究室の学生(留学生)から相談の連絡が来ました。 

メールには、研究に関する具体的な質問に加え、どうも最近修士課程での生活に疲れていることや、博士後期課程への進学を辞めるかもといったことが書かれていました。幸い彼は数度のメールのやり取りで大分元気になりました。身近に話相手がいなかったのでしょう。

精神衛生状態を良好に保つことは、一般的な社会人の方々だけでなく学生にとっても非常に重要です。特に大学院生は先の見えない研究生活や就職口の無さからメンタルヘルス上の問題を抱えることも多々あり、対策としてほとんどの大学に相談窓口などが設けられています。

私の周りでも、今まで院生時代の同期や先輩が何人かこの道を辞めていくのを見てきました。彼らの多くは大変優秀で、辞める/辞めたと聞いたときはやはりショックでした。

私自身は優秀とは程遠い学生でしたし、博士課程進学を指導教官に相談した際にも、「3年で修了は不可」というありがたき?事前宣告を受けていました。従って、「早く結果を出さなければ!」という焦りはあまりなく、博士課程を3年で満期退学し、細々とお金を稼ぎながらさらに1年半かけて学位を取得しました。精神的につらい時期もありましたが、基本的に能天気に生活していたように思います。

私が院生生活の間心掛けていたのは、「周りと比べない」のと「一人で頑張りすぎない」ということでした。
以下は優秀な人には全く当てはまりませんが、誰かの参考になれば幸いです。

<周りと比べない>
大学院生に限らず社会人の方でも、周りと自分を比べてしまうことってありますよね。私もダメだなと思いつつ、学会では他大学の院生や若手研究者と自分を、友達と会えば社会人として頑張っている彼らと自分を比べていました。
気持ちが前向きで、彼らを参考に自分も頑張ろうと思えるのなら良いのですが、基本的に他人と比較して良いことはあまりありません。

そこで、私は「最後に立っていた人が勝ち」という自分ルールを作りました。つまり、自分の能力が他人より劣っていようと、学会発表で炎上し手厳しいコメントをされようと、最後に自分がいるべき(臨むべき)場所に居れればそれでいいや、と思うことにしたのです。
要するに、ライバルたちと同じ土俵で戦うのを辞めました(いつか詳しく書きますね…)。

賢い考え方ではありませんが、これによって他人と比べることが少なくなりました。それだけでなく、「自分が好きで選択したのだから、今の苦しみはすべて自分の責任」みたいな気負いがなくなり、逃げたいときや時間が必要な時、思い切って休むことができるようになりました。
まあ、それでも他人と比較して気分が落ち込んだ時は、思いっきり泣きわめいて歯ぎしりしても良いと思います。すっきりしますよ!

<一人で頑張りすぎない>
どんな分野でも、研究を続けると必ずどこかで止まったり、穴が見つかったりと、頭を悩ませる事が多々発生します。また、そもそも課題を解決するためのアイディアが思い浮かばなかったりといったことも珍しくありません。

勿論このようなことが起きないよう研究内容は練りに練る必要がありますが、完璧を目指そうとすると得てして結果が出なかったり、どつぼにはまる可能性が高いです。

この様な時にすぐに誰かに相談できる人であれば良いのですが、中には「自分でどうにかしなければ!」と頑張ってしまい、結果的に進捗が遅れ精神的にも追いつめられるといった人もいます。

私も人に相談するのはあまり得意な方ではありませんが、経験上研究内容で行き詰った時は必ず「誰か」に相談した方が良いです。
誰かに話すことで、研究内容に関する直接的なアドバイスを得られる可能性もありますし、そうでなくても自身の研究を言語化し整理することができます。

その「誰か」は指導教官が一番ですが、何らかの理由でそれが困難な場合は、話しやすい隣の研究室の教授でも、ポスドクや先輩でも良いです。
とにかく、一人で頑張りすぎずに誰かに話すこと。これだけでも、気持ちは随分と変わるはずです。周りの人は、意外と学生のことを気にかけています。

気分が落ちているときに研究をしたり、論文に追われたりしていると自分がやっていることや今後さえも不安になり、身動きが取れなくなってしまうことがあります。でも、その時間はきっと報われるから大丈夫。
学部から博士課程の論文提出が迫るこの時期、皆さん何とか心身ともに健康で乗り切ってください。




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