Sunny

オーストラリアに住み始めてもうすぐ20年。本業は訪問介護士で、副業として日本の大学入試…

Sunny

オーストラリアに住み始めてもうすぐ20年。本業は訪問介護士で、副業として日本の大学入試の出願書類添削や面接のアドバイスなどをしてます。以前は高校留学生の現地アドバイザー(ガーディアン)を長年していました。興味分野は福祉と教育と自然科学で、趣味はジョギング。

最近の記事

病死により配偶者と死別した高齢遺族の悲嘆のプロセス 訪問介護士@オーストラリア

 ここ数日、先日亡くなったDさんのことを想う日々です。Dさんのシャワー後の気持ち良さそうな表情が何度も浮かんできます。そしてもう会えないんだな…と思う、その繰り返しです。予期していようといなかろうと、長生きだろうとそうでなかろうと、人が亡くなるのはやっぱり悲しいですね。  大学院のレポートで、対象者を決めて悲嘆のプロセスについて書くという課題があり、私はご夫婦で暮らしていて、どちらかが亡くなられた時に遺された方をサポートしたいという思いから、「病死により配偶者と死別した高齢者

    • 生命は儚い… 訪問介護士@オーストラリア

      この仕事をしていて一番辛い瞬間は、クライアントさんが亡くなったという連絡を受ける時…。こればかりは何年やっていても、慣れることはありません。この仕事を長く続けるほど、特定のクライアントさんとの付き合いが長くなるので、逆にその辛さも大きくなっている気がします。 そして、生命って儚いものだな…と思うのです。全ての人が年齢と共に徐々に身体が弱っていって、亡くなるわけではないのです。急に亡くなる方も沢山いらっしゃいます。今日も、昨日会ったばかりのクライアントさんがその日のうちに亡く

      • 終末期医療と尊厳死 訪問介護士@オーストラリア

        日本の終末期医療や尊厳死に関わる問題についてレポートを書くことを通じて、社会や医療、法制定の動向も含め、社会の中で生きることと死ぬことについて深く深く考えました。自分の命は自分だけのものではないのだというのが、私が辿り着いた結論です。今はここから派生して、人間の尊厳とは何かについて思いを巡らせて文献を読んでいます。学びとは奥が深く、終わりがない旅のようなものだと感じる今日この頃。私が書いたレポートを読んでいただけたら嬉しいです。 1.自己決定や権利に関わる問題  日本では、

        • Air museumに行きました 訪問介護士@オーストラリア

          今日はクライアントさんの希望で飛行機を見に、Air museumにお連れしました。 お仕事だけど、ちょっとした遠足気分♫ 何歳になっても、身体が不自由になっても、行きたい、やりたい、食べたいという前向きな気持ちがあることはすご〜く大事。それをサポートする、そんなケアが私は大好きです。 そして、ケアする側もこういうお仕事がたまにあると、忙しい毎日で滅入ることもある中で、フッと力が抜ける感じがします。こういう時間ってお互いに大事ですね。 Aさんの楽しかったよーという言葉と笑顔にた

        病死により配偶者と死別した高齢遺族の悲嘆のプロセス 訪問介護士@オーストラリア

          自分を守る介護のやり方 訪問介護士@オーストラリア

          今日は、数年に1回あるManual Handringのトレーニングの日でした。 オーストラリアでは、働く人の安全と健康に対する意識が高く、その仕組みもできています。このトレーニングもその一環で、身体の使い方やリフティングマシーン等の使い方を学びます。 介護のお仕事はどの企業でも、No lift policyは大原則。重いものを持ってはダメ、と何度も言われます。こういったポリシーを学ぶ度にいつも思うのですが、意識そのものが日本と大きく違います。相手の前にまず自分を大切にしなさ

          自分を守る介護のやり方 訪問介護士@オーストラリア

          昔ながらの床屋さん 訪問介護士@オーストラリア

          高齢の方が髪を切ったりブローをしてもらって髪を整えると、5才くらいグッと若く見えたり、素敵になります。これは高齢の方に限りませんが、高齢の方の場合は特に違いを感じます。 今日は、Sさんが奥様からそろそろ髪を切りなさいよ、とガミガミ言われて、床屋さんに連れて行くことになりました。Sさん行きつけの昔ながらの床屋さん、こういうところ、結構好きですね〜。レジも何年使ってるの!?というノスタルジックな代物、古びてるけれど味のあるポスター…。 髪を切った後に丁寧に髭も剃っていただきまし

          昔ながらの床屋さん 訪問介護士@オーストラリア

          掃除機のコードレス派VSコード派 訪問介護士@オーストラリア

          私は12年間介護士として様々なお宅のお掃除をする中で、あらゆる掃除機を使ってきました。そんな私は、断然コードありの掃除機の方が好きです。 なぜなら、吸引力が良いから。 いくらダイソンでも、バージョン8くらいまで、本当に吸引力が良くないのがストレス、そして手根管症候群持ちの私にとってはハンドルを握り続けてないといけないのが苦痛でした。ダイソン以外のコードレスの掃除機は、吸引力が論外。もう全然吸わなくて、何度も同じ場所を往復しないといけないのと、吸い取ったゴミを捨てにくい掃除機が

          掃除機のコードレス派VSコード派 訪問介護士@オーストラリア

          オーストラリアの自然に癒されました 訪問介護士@オーストラリア

          9月になり、日本の大学に通う娘が夏休みということで帰省中です。 私はと言うと、肩の痛みがまたひどくなってしまい、あーどうしよう、休もうかな、でも休めないしな…を心の中で繰り返していた8月、 有休が溜まりすぎてるから休みを取るか、現金化するように言われたのを機に、娘が帰って来るし!という勢いを借りて、何をするかも決めずにとりあえず3日の休みを取りました。 週末をはさんで5日間のお休みは、肩を休めることが最大の目的。でも、せっかく休みを取ったし…どこかへ行こう!と、これまた勢いで

          オーストラリアの自然に癒されました 訪問介護士@オーストラリア

          かわいそうじゃない!と声を大にして言いたい 訪問介護士@オーストラリア

          今日は久々にクライアントさんに怒りスイッチが入ってしまいました…。 それはなぜか。 認知症を患っているFさんは、こんな素敵な人いるの!?というくらい素敵な人なのですが、ショッピングセンターでランチを食べている時(一人だと何も食べないので、連れ出してランチを食べさせる、というのが私のお仕事)、車いすに乗った障がい者の方が横を通りまして、Fさんがその人の後ろ姿に向かって「かわいそうに」と言ったんです。 その時、私の怒りスイッチが入ってしまいまして、「かわいそうじゃないですよ!そう

          かわいそうじゃない!と声を大にして言いたい 訪問介護士@オーストラリア

          死んだら人はどこへ行くのか? 訪問介護士@オーストラリア

          今は死生学についてのレポートに取り組んでいます。 いろいろな本を読んだ中で、心に響く一文があったので、ご紹介したいと思います。 人は死んだらどこへ行くのか、という問いに対し、 「人は死んだら、残された者の心の中に行くのだ」 という言葉。 天国や地獄に行くのでも、土に戻るでもない、本当にそうだなぁと思ったのです。 これまで、仕事を通じて利用者様を亡くした経験がありますが、 毎日思うことはなくても、ふとした瞬間に、あーあの時〇〇さんはあんなこと言ってたなー、また会いたいな、あーこ

          死んだら人はどこへ行くのか? 訪問介護士@オーストラリア

          日本でも介護者支援が充実しますように 訪問介護士@オーストラリア

          オーストラリアには介護者支援というものがあります。介護を必要とする人だけでなく、介護を担う人も大切にしているのです。ケアラーには、高齢者を介護している人だけでなく、障がいのある人を介護している人、依存症や引きこもりの人の家族など、幅広い人が対象となります。ケアラー自身も自分自身の生活と人生を送ることが大切だとされているのです。 日本では、介護離職やヤングケアラーなどが社会問題として扱われながらも、介護者側の支援は手薄のように感じます。介護者は自分のことを後回しにしがちで、疲

          日本でも介護者支援が充実しますように 訪問介護士@オーストラリア

          趣味を模索中 訪問介護士@オーストラリア

          サクセスフル・エイジングには、生きがいを感じることはとても大事だそうです。近年のアンケートでは、生きがいの源泉・対象対象は、仕事・趣味・スポーツ・学習活動・社会活動・家庭・友人など多岐に渡ることがわかっています。 今のところ私の生きがいは仕事。でも、身体に限界が来ているのを感じているし、いつか仕事は辞める日が来るのもわかっているので、何か新しい趣味でも見つけたいなぁと思っていました。というのも、私はジョギングが趣味ですが、もはや走ることは歯磨きをするのと同じくらいしないと気持

          趣味を模索中 訪問介護士@オーストラリア

          本当に「死」は自己決定できるのか? 訪問介護士@オーストラリア

          今は尊厳死や安楽死について学びを深めています。 世界で安楽死が合法化される国が増えていますが、オーストラリアでも2017年にビクトリア州が初めて安楽死を合法化する「自発的臨死介助法」が成立し、2019年6月に施行されました。その後、西オーストラリア、タスマニア、南オーストラリア、クイーンズランド、ニューサウスウエルズでも可決されています。 オーストラリアは安楽死に対して比較的厳格なルールが維持されていますが、安楽死が認められている国の中には、「耐え難い苦痛」に経済的苦痛や精神

          本当に「死」は自己決定できるのか? 訪問介護士@オーストラリア

          「よく老いる」とは② 訪問介護士@オーストラリア

          よく老いるために必要なこと、それは「人との繋がり」を大切にするというのが私の結論です。結局それか、と思われるかもしれませんが、私が思っているのは友達を増やそう、家族を大切にしよう、ということだけではありません。直接的な関わりだけではなく、誰かと繋がっていると「感じる」だけでも大事だよ、ということ。「知り合い」でなくても、すれ違った人に挨拶するとか、レジの人と他愛のない話をするでもいい、実際に会わなくても誰かを大切に思っているだけだっていい。独りじゃない、と思えること。 なぜな

          「よく老いる」とは② 訪問介護士@オーストラリア

          「よく老いる」とは 訪問介護士@オーストラリア

          今、「よく老いる」ために必要なこと、というテーマでレポートに取り組んでいます。 これに取り組む前は、今日本でよく言われている「生涯現役」とか「アクティブシニア」とか、社会で活躍している高齢者をヒーローのように扱われていることにどこか嫌悪感を抱いていました。なぜなら、私が毎日会う高齢者は、当然のことながら誰かの助けを必要とする方々ばかりで、どんなに努力している人でも病気になるし、年を取れば身体機能は衰えるもので、みんなが望むピンピンコロリなんて幻想なのに…感じているからで、高

          「よく老いる」とは 訪問介護士@オーストラリア

          思いやりの連鎖 訪問介護士@オーストラリア

          岸田奈美さんの記事に共感して、これを書いています。 https://note.kishidanami.com/n/nfe63fbe2db0e?rt=email&sub_rt=daily_report_followee_notes 日本に住んでいた時は、私はどこか傲慢で自分で何でもやろうとしていましたし、それでも何とかなっていました。 でも20年前にオーストラリアに来て、英語も全くできない中、子どもが生まれて、自分の無力さを思い知らされると同時に、友達や家族以外の人からの優し

          思いやりの連鎖 訪問介護士@オーストラリア