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普通の日のエッセイ

眠れない夜にぼーっと考え事をしていたら、去年は色んな人からたくさんの愛をもらった一年だったなあと思い、それじゃあ今年は私がたくさんの愛をあげる一年にしようと思った。

冬休みの間、たった三週間だったけど、恋人との共同生活は思いの外居心地が良く、寮の部屋でひとりぼっちの今はずいぶん味気ない。体はそわそわしているのに、心は何もやりたくないと言って聞かないから、あんまり何も捗らないし、レンジでチンした冷凍のマカロニチーズは味がしなかった。

夕方、私の部屋に恋人が遊びにきた。私に会いに来たはずなのに、私といると仕事が捗るからと言って早々に仕事を始めるから、私はそれをしょっちゅう邪魔したり、ふたりでベッドに寝そべってくだらない動画を見て、息ができなくなるほど笑い転げたりした。冬休みの間、四六時中一緒にいたものだから、この人が私の隣にいるということがあまりに自然になってしまって、ひょっとして生まれたときからこうだったのじゃないかとさえ思った。

お金はないし、普段は掘り出し物の古着ばかり着ていてブランド物には手が出ないけど、どうしても欲しいadidasのスニーカーが現れた。朝から晩までそのことを考えている。この世界で楽しく生きていくには、なんてお金がかかるんだろう。現代っ子は消費するためにお金を稼ぎ、物欲に限りはないから、一生働き続けなければいけないという話を聞いた。それならば、私は大量消費社会の申し子なのかもしれない。人の欲というのはなぜ尽きないか。ブリトニースピアーズはなぜ裸のような格好で、奇妙な踊りを踊り続けるのか。世界は謎で満ちている。

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